ポルシェが911ダカールのワンオフモデル「レッド58」を公開。ポーランドの伝説的ドライバー、そして当時ラリーを戦った赤い空冷911へのオマージュ

｜　当時ラリーを走った空冷ポルシェ911は一時行方不明になるも、2021年に発見される　｜

ボディ上には当時のレーシングナンバー「58」が再現

さて、ポルシェが911ダカールの特別バージョン、「911ダカールRED58スペシャル（ワンオフモデル）」を公開。

これはポルシェ創立75周年記念の一環としての活動であり、ポーランド史上最も偉大なラリードライバーの一人であるソビエスワフ・ザサダ氏へのオマージュなのだそう。

ソビエスワフ・ザサダ氏は1968年に過酷なラリー競技、ロンドン・シドニーマラソンに参加したドライバーの一人であり、3,400マイルにも及ぶレース中、ソビエスワフ・ザサダ氏は空冷911にて参戦し過酷なオーストラリア区間を制した、と紹介されています。

ポルシェは当時の空冷ポルシェ911に敬意を表した特別仕様車を製作

当時このレースを戦い勝利を収めたポルシェ911はオーストラリア国内で販売されることとなったそうですが、ずいぶん長い間行方不明となっていたそうで、しかし2021年にドキュメンタリー作家であるアンドレイ・スラザック氏とヴォイチェフ・ジュレック氏に”残骸が”発見され、その後にレストアされてることになったと伝えられています（その姿はまだ公開されていないので、レストア中だと思われる）。

そしてこの空冷ポルシェ911を探し求め、発見しレストアを行う段階については「Red 58」というドキュメンタリー映画にて詳しく描かれていることについても触れられています。

そしてもちろん、今回公開された最新の”911ダカールRED58スペシャル”は、伝説的な911に敬意を表するワンオフモデルとして、ポルシェのパーソナリゼーションプログラム「ソンダーヴァーシュ」が全身全霊をこめて製作することになりますが、このソンダーヴァーシュは通常オプション、そしてその上のエクスクルーシブ・マヌファクトゥアでも対応できないほどのカスタムを実現するためのプログラムであり、まずは911ダカールRED58スペシャルのためにブラッドオレンジを調合することに。

さらにリアには手描きにて「Poland」レタリング、ドアには「58（当時レースを走った空冷911のレーシングナンバーが58だったのだと思われる）」の数字があしらわれ、Bピラーにはソビエスワフ・ザサダ氏のサインとポーランド国旗をあしらったクロームプレートが取り付けられています。

一方、ポルシェは「時間的な制約から」カスタムカラー（ワンオフカラー）を調合しペイントする「ペイント・トゥ・サンプル」プログラムでは今回のペイントを完成させることができず、例外的に手作業にてクリアコートをペイントするなどの対応を行ったことについても言及しています。

ポルシェ911ダカールRED58スペシャルのインテリアもまた「当時の空冷911へのオマージュ」

この911ダカールのインテリアでは、ソビエスワフ・ザサダ氏と彼の古い空冷911への特別なオマージュを随所に見ることができ、ヘッドレストには「58」のエンボス加工が施され、アームレストにはソビエスワフ・ザサダ氏のサインがエンボス加工されることに。

加えてドアにはLEDプロジェクターライトが装備され、ロンドン・シドニーマラソンのロゴが浮かび上がるといった仕掛けも施されているようですね。

なお、このポルシェ911ダカールRED58スペシャルの特別仕様の範囲は単に見た目の変更だけではなく構造的・機能的・素材的な部分にまで及んでおり、ルーフラック、リカバリーフック、ロールケージ、そしてポルシェ伝統の千鳥格子柄（ペピータ。先日発表されたポルシェのゲーミングチェアにも採用されている）のバケットシートが装備されています。

そのほか、（おそらくはこちらもワンオフにて）チタンカーバイドにて製造されたタフなポルシェ・デザイン製クロノグラフも発表されており、911ダカールRED58スペシャルとともにソビエスワフ・ザサダ氏の偉業を讃えています。

なお、ぼくがちょっと気になったのは、ソビエスワフ・ザサダ氏がいまこのポルシェ911ダカールに乗って何を思うのだろうか、ということ。

たとえば、「最新の911は最良の911」だと感じるのか、それとも「シンプルな空冷のほうが良かった」と思うのかということなのですが、このあたりはソビエスワフ・ザサダ氏のみならず、空冷ポルシェにて目覚ましい活躍を見せたワルター・ロール氏の意見も聞いてみたいところですね。

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参照：Porsche Polska（Facebook）