2023年第3四半期のEV販売では過去に例がないほどBYDがテスラに近づく。テスラの支配が終焉を迎え、新しい時代のはじまりか

｜　2023年第4四半期においてテスラが販売台数における優位性を築くことは容易ではないだろう　｜

BYDはもちろん、中国EVメーカーが世界を牛耳る日はさほど遠くない

さて、テスラに続いてBYDも2023年第3四半期の決算を発表し、テスラとBYDとが「ほぼ同じ台数を販売した」という過去に例がない事実が明らかに。

テスラの販売台数は435,059台、そしてBYDの販売台数（BEVのみ）は67％増の431,063台だと発表されているので、その差はわずか「3,456台」。※両社がこれほど接近したことはない

これは今まで他社を大きくリードして生きたテスラにとっては異例の状況だと捉えてよく、第4四半期にはテスラがそのリードを（四半期ベースで）ついに失う可能性を示しています。

テスラが今後王座を維持することは難しいだろう

なお、テスラの2023年第3四半期の成長率は27％にとどまり、これは新型モデル3投入に起因する工場設備入れ替えのため「数週間にわたるダウンタイムが生じたから。

よって、このダウンタイムを考慮しなくても良い第4四半期には（第3四半期に比較して）もっと台数が増える可能性があるものの、さすがにBYDの勢いに対抗することは難しいかも知れません。

ただ、2023年通年で見てみると、テスラは1月から9月までで約130万台のEVを販売し、一方のBYDだと100万台強。

よって”あと3ヶ月で”BYDがテスラの通年での販売台数を抜くことは考えにくく（ただし可能性はゼロではない）、この9ヶ月で「30万台」の差があるのに対し、第3四半期では3,456台しか差がないという事実もBYDの強さを示す一つの証左だといえそうです。

参考までにですが、2023年10月10−16日の統計によると、中国におけるBYDの総販売台数（BEVのみではなく、PHEVを含めて）は51,700台、そしてテスラ（もちろんBEVのみ）だと8,100台なので、BYD全体だとテスラに6倍以上もの差をつけているということになり、BYDの基盤は相当に強いと考えていいのかもしれません（BYDは新興EVメーカーではなく、もともとガソリン車メーカーであり、その際に構築した大きな販売網を持っているため、新興EVメーカーに比較すると販売体制、販売に関するノウハウが優れている）。

EV販売「世界第三位」はフォルクスワーゲン

そして現時点で2023年第3四半期のEV販売における3位はフォルクスワーゲンで、前年比41％増の209,394だと報じられているので、テスラやBYDの「（成長したとはいえど）半分以下」。

参考までに、2023年10月10−16日の中国における販売だと、上述のとおりBYDだとが51,700台で1位、2位は9,400台で（宏光ミニEVで知られる）Wuling、3位は9,100台のGAC Aion、4位は9,000台でLiAuto、5位は8,100台でテスラ、6位は5,400台でフォルクスワーゲン、7位は4,700台でシャオペン、8位は4,400台でNIO、9位は3,700台のDeePal、10位は3,700台のLeapMotor。

短い期間での統計なのでこれが四半期や通年といった順位にはならないかもしれませんが、それでも「中国の自動車メーカーの勢い」がよく分かると思います。

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参照：InsideEVs, CarNewsChina