｜ さらにこの世代の911ターボSフラットノーズは米国向けだと39台しか製造されていない ｜
現在までにわずか2オーナー、そのコンディションには折り紙付き
さて、高額落札連発のオークションシリーズ「ホワイトコレクション」ですが、今回お届けするのは1,462,500ドル（現在の為替レートにて2億1500万円）にて落札されたポルシェ911ターボS「フラットノーズ」。
このポルシェ911ターボS「フラットノーズ」はカエル顔を持たない911であり、当時米国市場向けとして製造されたのはわずか39台という希少車です。
-
-
ホワイトのポルシェが合計56台、同じコレクターから競売に出品される。911GT2、ナナサンカレラから究極にカスタムされた918スパイダーまで「レア物祭り」だとして話題に
｜ ここまで「ホワイトの」ポルシェばかりを集めるにはさぞ苦労したことだろう ｜ なぜここまで収集したコレクションを手放すのか、その理由については明かされていない さて、先日は「すべて内外装がオレンジに ...
続きを見る
ポルシェ911ターボS「フラットノーズ」は非常に高価なオプションであった
なお、これだけ台数が少ない原因としてはその「価格」に終止していて、このフラットノーズを選択するにはX85なるオプションを選択する必要があり、そしてこれを選ぶと「完成した普通のポルシェ911」をポルシェのカスタマイズ部門（エクスクルーシブ）が分解し、再度この仕様にて組み立てるという行程を経ており、結果として車両価格の60％程度を要求されることとなるわけですね（つまり、最終的な価格が”通常のポルシェ911ターボS”の1.6倍になる）。
そして今回落札されたポルシェ911ターボSフラットノーズにつき、最初のオーナーへの納車を担当したのはニューヨーク州タッカホーのクラシック オートモービルズ。
当時最も高価なポルシェであった911ターボSの価格がX85「フラットノーズ」によってさらに60,179ドルも引き上げられ、これに加えてライトルートウッドを使用したダッシュボード、パーキング ブレーキ レバー、シフター (それぞれコード X17、X31、XC8) が追加されています。
さらにはカシミアベージュのヒーター付きレザーシート、レザー仕上げのダッシュボードとセンターコンソール、マッチングカラーのベロアフロアマット、電動スライドサンルーフといったオプションも。
このボディカラーを持つポルシェ911ターボS「フラットノーズ」はわずかに2台
ボディカラーは「グランプリホワイト」、そしてこのカラーに塗装されポルシェの工場から出荷されたX85「フラットノーズ」は2台しか存在しないのだそう。
なお、ホイールは3ピーズ構造を持つ「RSカップ」スタイル、そしてアメリカで好まれたというポリッシュ仕上げ。
このポルシェ911フラットノーズは、新車当時にクラシック オートモービルズからカリフォルニア州ダンビルのブラックホーク コレクションに販売され、なんと2016 年までその施設内に保管されていた、とのこと。
よって出品時走行距離計に表示される走行距離はわずか59マイル（約95km）にとどまり、外装と内装ともに未レストアです（つまり工場出荷時のまま）。
おそらくは現存するポルシェ911フラットノーズでは「もっともコンディションが良く、もっとも走行距離が少ない」個体ではないかと見られており、それが今回の高額落札に結びついたのかもしれませんね。
現在のオーナー（ホワイトコレクション）が購入したのは2016年8月ですが、この際には大規模整備が施され、新しい油脂類、フィルター、燃料ポンプ、インジェクター、ブレーキ ライン、ドライブ ベルト、ストラットが取り付けられたことも説明されており、ホワイトコレクションは他の車輌同様、「お金にこだわらず」最適なコンデイションを維持することに全力を注いだようですね。
さらにはこれもコレクション内の他のクルマと同様に「毎月エンジンをかけられ、各部が動作温度に達するまで走行していた」とも説明されています。
出品に際しては（パンク修理用の）エアコンプレッサー、カーカバー、工具セット、ポーチ付きオリジナルオーナーズブック、（販売時に仕様を掲示する）オリジナルウィンドウステッカー、ドキュメントバインダーが付属する、とのこと。
この世代の911ターボは「911ターボ」の歴史の中でもひときわ特別なモデルであり、圧倒的に速く、圧倒的に排他的なスタイリングを持ち、かつ圧倒的にゴージャス（そして圧倒的に高価であった）。
実際のところシンガー・ヴィークル・デザインもこの世代の911ターボをイメージしたレストモッド「ターボスタディ」を発表しており、ポルシェ自身も最新の911ターボにて、この特徴的なドアのステッチを復活させるなどアイコン性も十分。
この後の911ターボ（993世代）ではターボチャージャーがシングルからツインになり、駆動方式がRRから4WDへとスイッチしていますが、その意味でもこの世代の「911ターボ」のドライビングエクスペリエンスは他にはないものだといい、「クラシックなポルシェ 911 ターボの頂点」だと評する人も多いもよう。
-
-
シンガーがまた「究極の」ポルシェ911レストモッドを発表！今回はなんと930ターボをベースにした「ターボ・スタディ」
｜ シンガー・ポルシェ911「ターボ・スタディ」はまさに走る芸術品 ｜ これほどまでに美しく豪華なポルシェレストモッドは他にない さて、主に964世代のポルシェ911を美しく、そしてパワフルにレストモ ...
続きを見る
おまけにこの個体は「フラットノーズ」という排他性を持っており、今後長きに渡り高い価値を持ち続けることになりそうです。
あわせて読みたい、ポルシェ911関連投稿
-
-
レア中のレア！ポルシェ911「フラットノーズ」が中古市場に登場！911なのにカエル顔ではなくリトラクタブルライト装着、その価格は4300万円
｜ この「フラットノーズ」は当時で約540万円のオプションパッケージ ｜ さて、レア中のレアなポルシェ911、1988年製の911ターボカブリオレ「スラントノーズ」が中古市場に登場。この個体は911タ ...
続きを見る
-
-
グランツーリスモに楽曲「Turbo Lover」が収録されたジューダス・プリーストのポルシェ911ターボが競売に登場
｜ まさに「Turbo Lover」。あのジューダス・プリーストのギタリスト所有 ｜ ジューダス・プリーストのギタリスト、グレン・ティプトンが所有していたポルシェ911ターボ（930ターボSE）がオー ...
続きを見る
-
-
911なのにカエル顔じゃない！76台のみが製造された964世代の911ターボS”フラッハバウ”はこんなクルマだ！
｜ 現代では「もっともレアなポルシェ」の一台となり、販売価格は約8800万円 ｜ さて、ポルシェ911といえば「カエル顔」で知られますが、実はカエル顔ではない911も過去にはいくつか存在しています。そ ...
続きを見る
参照：RM Sotheby's