| 中国の自動車メーカーもBYDの価格優位性にキャッチアップすることに余念がない |
これからは中国の自動車メーカー間でも熾烈な競争が繰り広げられることになりそうだ
さて、EVにとって目下の「夢のバッテリー」は全固体電池(ソリッドステートバッテリー)ではありますが、これは実用化に最も近いとされるトヨタ、BMWともに「市販車に搭載できたとしても、生産台数が限られる」とされ、価格そして台数的にも「(これを積んだEVは)普通の人が手に入れるにはハードルが高い」クルマとなるもよう。
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ソリッドステートバッテリーのトップランナーであったBMWでもその実用化に苦慮。「2030年まで量産はできないだろう」とし、ノイエクラッセは全固体電池抜きで発売
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その代わりというわけではありませんが、現在「シリコンバッテリー」なる、リチウムイオンバッテリーの発展型とも感がることが可能な新しいバッテリーがそろそろ市場に出回ることになるとも報じられ、こちらについてはポルシェ、そしてメルセデス・ベンツ、さらにはテスラが採用することになると言われます。
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中国Zeekrは「ゴールデンバッテリー」を実用化
そして今回、中国のEVブランドであるZeekr(ジーカー)がゴールデンバッテリーと呼ばれる新型バッテリーを導入すると発表しており、これはわずか15分の充電で500kmもの走行距離を賄う電力を蓄えることができるというもの。
この”ゴールデンバッテリー”というのはZeekrが与えた名称であり、その性質で表現するならば「リチウム鉄 - リン酸(LFP=Lithium-Iron-Proshapte)バッテリー」。
なお、この「15分」があればバッテリーを10%から80%にまでチャージできるというので、相当な急速充電にも対応しているということになりますが、これは夢物語ではなく、Zeekr 007(セダン)に搭載され、もうじきデリバリーが始まるのだそう(実際の生産がすでに開始されている)。
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このZeekr 007は、親会社である吉利汽車(Geely)の開発したPMA2+アーキテクチャをベースとしており、(ちょっと甘めの)CLTCサイクルでは最大870kmの航続距離を誇るそうですが、将来的にはこのプラットフォームとバッテリーともども、同じグループにあるポールスターやボルボ、そしてロータスにも共有されることになるのかもしれません(吉利汽車はシナジー効果の追求に余念がなく、おそらくは”そう”なるだろう)。
さらにZeekrは(おそらくグループ内すべてのブランドが利用できる)充電スタンドを中国国内に建設するとコメントしており、2026年までにはおよそ10,000基の充電器が設置されることとなるもよう。
ゴールデンバッテリーとはどんなバッテリーなのか
そこでこのゴールデンバッテリーについてもう少し深く掘り下げてみると、Zeekrいわく「 新しい材料と、簡素化された構造設計を採用することにより、83.7%のボリューム利用率を実現した」。
リチウム鉄 - リン酸バッテリーそのものは新しい技術ではなく、NMC(ニッケルメガネーゼコバルト)バッテリーと比較してエネルギー密度が低いそうですが、Zeekrは僅かな材料の変更、そして変更の妙をもってブレイクスルーを成し遂げたとも考えることが可能です。
これによってこの「ゴールデンバッテリー」は”コンパクトでエネルギー密度が高い”という性質を実現するに至り、高密度に関わらず高い安全性と耐性性を誇るのだそう。※中国の国立自動車品質検査および試験センターによって実施された厳格な安全性テストによって証明された、とのこと
そしてこのゴールデンバッテリーは浙江省にあるGeelyの工場にて製造されることについてもアナウンスされていますが、これによって外部サプライヤーへの依存度を下げ、かつコストの引き下げも達成できるとしています(中国ではBYDが自社でバッテリーを製造することで圧倒的な価格競争力と収益性を誇っており、Geelyもこれに倣うものと思われる)。
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