![フォルクスワーゲン](https://intensive911.com/wp-content/uploads/2022/11/VW-6.jpg)
| いかにフォルクスワーゲンといえど、その分野に特化した新興自動車メーカーの助けを得ねば生き残れない時代にさしかかった |
常に「オープン」な経営方針を貫かねば生き残れない
さて、現在は「100年に一度レベルの自動車業界における構造変化」が起きていると言われていますが、この変化は各自動車メーカーへと様々な影響を与えており、一部にはチャンスを与え、またある一部からはチャンスを奪い去っています。
そしてこの変化によってチャンスを失われてしまった筆頭がフォルクスワーゲンで、期待していた電動化へと市場(顧客)がついてこず、さらにはずっと「格下」だと認識していた中国勢に追い上げられ、主力市場である中国での存在感を失いつつある状況です。
フォルクスワーゲンはいくつかの対策を講じてはいるが
よってフォルクスワーゲンはこの1年ほどで大きく方向を転換しており、たとえば中国の新興自動車メーカーとの(EV分野における)提携を行ったり、廃止を決めていた過去のビッグネームの活用を決めたり、デザインを(IDシリーズに採用していた)未来路線からヘリテージ路線へと切り替えるとアナウンスを行ったり。
そして今回報じられているのが「新しい電動版ゴルフはリビアンの助けを得て作られる」ということ。
そもそもゴルフはID.3の登場によってゆくゆくは(ID.3へと切り替えのため)廃止される予定ではあったものの(当時のフォルクスワーゲンは、ディーゼル不正事件を連想させるガソリン車の名称をすべて廃止したがっていた)、「ID」シリーズが根付かず、そのため苦肉の策として「ゴルフ」など一部のモデル名を電動化時代にも継続させる方法性へとシフトしています。
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そして今までは「新型(電動版)ゴルフがどういったクルマになるのか」についてはあまり語られてこないままであったものの、今回同社のCEOであるトーマス・シェーファー氏が電気自動車版ゴルフの登場が近づいている(ただし2029年)ことを明らかにし、いくつかの情報を提供することとなっているわけですね。
まず、この新型「第9世代」ゴルフの開発を助けているのが米新興EVメーカー「リビアン」ということ。
新型ゴルフのプラットフォームそのものはフォルクスワーゲンの次世代車両向けのスケーラブル・システム・プラットフォーム(SSP)ではありますが、フォルクスワーゲンとリビアンは、次世代車両のための電気アーキテクチャとソフトウェアを開発するために58億ドルの共同事業を立ち上げたばかりで、この新しいゴルフMk9がその恩恵を受ける「第一号」となるもよう。
「私たちはソフトウェア定義の車両についての方針を決定しました。それはリビアンとの共同事業を通じて行われ、新しいエレクトロニクスアーキテクチャを一緒に作り上げることになります。しかし、私たちはこの旅路をより象徴的な製品から始めたいとも決めました。ですから、最初にゴルフからスタートすることにしました。」
フォルクスワーゲンCEO トーマス・シェーファー
この「VW+リビアン」によって誕生するゴルフは、予想外の組み合わせかもしれませんが、これは自動車業界がどれほど変化しているかを示していて(つい先日は中国の自動車メーカーを共同にて開発した”AUDI”が発表されたばかりである)、既存の自動車メーカーが、テクノロジーに長けた新興企業から支援を受ける必要がある時代が到来したことを意味します。
そしてこの電動版ゴルフが登場したとしても従来のガソリンエンジンモデルがすぐに終了するわけではなく、ガソリン版ゴルフは2019年末に登場したMk8をベースとし、現行同様にガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドエンジンを搭載して2035年まで販売される可能性があるとされ、この「2035年」とは欧州連合が新車の有害排出ガスを禁止する予定の年であり、内燃機関車の販売が事実上禁止される年でもあり、それまでフォルクスワーゲンは「現行ゴルフを延命させる」と見られているわけですね。
そしてちょっと興味深いのは、トーマス・シェーファー氏が「アウディやポルシェもリビアンの支援を受けており、2027年までには新しいモデルが登場する予定」だと述べていること。
加えてリビアンの「新しいエレクトリックアーキテクチャとソフトウェア技術は、サブコンパクトカーを含むすべての主要車両セグメントに対応する」とも述べており、これはフォルクスワーゲンの子会社「カリアッド」を通じて開発していたソフトウェア技術に見切りをつけたのだとも考えることが可能です。
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参照:Automotive News