ゴルフ8後継、電動版「ID.ゴルフ」の登場が最短でも5ヶ月遅れるとの報道。原因は子会社カリアッドによるソフト開発遅れ、これでまた重役の首が飛びそうだ

｜　フォルクスワーゲンの力をもってしても電気自動車制御用ソフトウエアの開発にこれほどまでに手こずるとは　｜

おかげで現行ゴルフ8の延命は間違いないだろう

さて、EVへのラインアップ置き換えを強力に推進していたものの、思うように市場が成熟せずに方針の転換を迫られているフォルクスワーゲン。

ドイツからの新しいレポートによると、2027年に発売予定のピュアエレクトリック版「ID.ゴルフ」は、15か月遅れると報じられており、その遅延の理由は「ソフトウエア」。

よってID.ゴルフの発表は早くても2029年ということになりますが、フォルクスワーゲンは今月初めにもスケーラブルシステムプラットフォーム（SSP）に基づくモデルの発売を延期しており、その理由もやはりソフトウエアだと言われています。

フォルクスワーゲンは長年ソフトウエアの開発遅延に悩まされてきた

なお、フォルクスワーゲングループにてソフトウエアの開発を担当するのは子会社の「カリアッド」で、ここはVWのほか、アウディやポルシェ、ベントレーなど同グループ内の（主にEV向け）ソフトウエアの開発を担当していて、しかしこれまでにも遅々として予定が消化されず、結果的にグループ内各ブランドのEV（Q6 e-tronやマカンなど）の発売が遅れているという事情も。

そしてこの責任は非常に重く、引責という形でこれまでにも何人かの重役が更迭されており、そして昨年には新しいCEOを据えたばかりであったのですが、それでもソフトウエアの開発が遅れており、今度はフォルクスワーゲンの主力モデルであるゴルフにまで影響が及ぶということになりそうです。

そしてこれによってニューモデルの投入が遅れるということは、すなわち現行モデルを延命せねばならないということも意味しており、つまりVWは既存のMEBプラットフォームを引き続き使用する必要が生じるわけですね。

そしてこのままMEBプラットフォームを使用し続けるのでは競争力を維持できず、よって「MEB+」にアップデートされることになりますが、これはいわば「余分なコスト」でもあり、そしてこのコストを回収するためにフォルクスワーゲンはしばらくこれを使用し続ける必要があるとも報じられ、ちょっとしたソフトウエアの開発遅れが大きな影響となって跳ね返ってくるということに。

なお、フォルクスワーゲンはつい最近、米EVスタートアップ、リビアンとの提携を発表し、これによってリビアンの持つソフトウエア関連技術を活用できるようになりますが、この効果が現れるのは2020年代後半からだと言われているので、それまでの間、そして現在開発進行中の案件についてはフォルクスワーゲンは「自力で」解決するしかないのだと思われます。

参考までに、フォルクスワーゲンは「ディーゼル不正事件」によって地に堕ちてしまったイメージを回復すべく、内燃機関搭載時代のビッグネームを（ゴルフ含めて）すべて廃止しすべて「ID.」へと置き換える予定であったものの、このID.シリーズがいまひとつ受け入れられず、よってその戦略を一転させ、ゴルフやティグアン等人気モデルの名称を継続させ、「R」「GTI」といったグレード名についてもサブブランド化して継続する意向を示しています。

それら人気モデルを死なせたり、失わせたりするのは愚かなことです。VWとIDにはつながりがあり、IDをキャンセルする必要はありません。IDのロジックは維持しますが、象徴的なモデルには名前が付けられます。

フォルクスワーゲンCEO トーマス・シェーファー

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参照：Manager Magazin