自動車信頼性調査に異変。首位が定位置であったトヨタが4位に、上位常連であったポルシェが8位に沈む。自動車の基本性能ではなく「インフォテイメント」関連が影響か

｜　クルマの進化とともに「調査内容に歪み」が生じ、クルマの評価が難しくなっている　｜

ただし近年では「インフォテイメントシステム」も紛れもないクルマの一部である

さて、2022年モデルの車両に関するJ.D. パワーの車両信頼性調査によると（2022年モデルを指定しているのは、納車から数年が経過したほうがある程度トラブルが出て信頼性の高い結果となるため）、オーナーから報告された問題は前年度に比較して「6%増加している」とのこと。

このデータは34,175人のオーナーから収集され、問題の発生頻度を100台当たりの問題数（PP100）で評価しています。

トヨタが信頼性において「4位」に沈む

今回の調査において特筆すべきは（これまで信頼性調査ではトップの常連であった）トヨタが4位に沈んでいること。

とはいえ、トヨタは「モデル別調査」にて”アバロンが最も高い信頼性を誇る”と評されており、そのほかにもカムリ、カローラ、RAV4、シエナ、タコマなど高評価モデルをたくさん揃えていて、しかしそれでもこの位置に甘んじているのは「評価がよろしくないモデル」が存在するからだと思われます。

2022年モデルの「信頼性調査」ランキング

• 1位：レクサス – 100台あたり140件の問題
• 2位：ビュイック – 100台あたり143件の問題
• 3位：マツダ – 100台あたり161件の問題
• 4位：トヨタ – 100台あたり162件の問題
• 5位：キャデラック – 100台あたり169件の問題
• 6位：シボレー – 100台あたり169件の問題
• 7位：GMC – 100台あたり181件の問題
• 8位：ポルシェ – 100台あたり186件の問題
• 9位：BMW – 100台あたり189件の問題
• 10位：ミニ – 100台あたり190件の問題

信頼性調査には「今までの自動車にはなかった」要素が大きく影響

この結果は「高い品質を誇るトヨタ」としては異常であるとも考えられますが、J.D. パワーによると、ソフトウェアに関連する問題が近年増加しており、特にAndroid AutoやApple CarPlayに関する問題が最も一般的な問題となっているのだそう。

さらにBluetooth接続やWi-Fiもソフトウェアの不具合による問題の9%を占めていて、スマートフォンの統合、使用、接続に関連する問題は全体でトップ10に挙げられ、業界全体で最も頻繁に発生している問題だとされるので、トヨタはこのあたりが「弱かった」のかもしれません。

つまるところ、近年のクルマは（トヨタ含め）エンジンやトランスミッション、トラクションコントロール、アンチロックブレーキ、クルーズコントロールなどの「自動車としての基本的な機能」以外にも頭痛の種を抱えていて、いかに自動車として「ちゃんと走ったとしても」インフォテイメントシステムに不具合があれば評価を著しく下げてしまうということに。

そう考えるならば、この分野にさほど力を入れていない「比較的安価なクルマを製造するブランド」の信頼性が相対的に上がってくる可能性もあり、これは「いびつな」歪みであるとも考えられます。

参考までに、ポルシェもまたこれまでの信頼性調査では「上位常連」であったものの、今回は8位に沈んでおり、トヨタ同様に「インフォテイメントシステムが弱い」ということなのかもしれません（実際にそういった話はよく聞くことがある）。

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参照：JD Power