
| ただし現時点では正式に新型GT-Rの開発は開始されていないと言われる |
R32、R35世代のGT-Rのように、次世代GT-Rにおいても「現実を歪曲するくらい」の速さを見せて欲しいものである
さて、日産CEOが内田誠氏からイヴァン・エスピノーサ氏へと交代したことでがぜん現実味を帯びてきたのが「新型GT-R」。
同氏は生粋のスポーツカーファンだと公言しており、「ひとつだけ」日産のクルマを蘇らせることができるならば、それは”個人的にはシルビア”だと答えています。
さらに、イヴァン・エスピノーサ氏は「日産にとってのGT-Rのポジション」を強く認識しており、トヨタでのスープラ、レクサスでのLFAのように、そのブランドにおけるイメージを牽引する役割を担うと捉えていることが報じられています。
新型GT-Rに求められるものとは?ポルシェ911超えへの期待と課題
2008年、日産がR35 GT-Rのニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおけるラップタイムが7分30秒を切ったと発表したとき、それはまさに「大事件」でもあり、当時その記録は絶対王者であったポルシェ911の記録を上回るもので、ポルシェ本社には軽いショックが走ったほど。
実際にポルシェの北米法人はそのタイムがフェイクであるとも主張したくらいであり、というのも当時は「出力と重量、駆動方式」によって自ずと程度ラップタイムが推測できた時代。
しかしR35 GT-Rは(R32 GT-Rがそうであったように)当時の常識からすると「どう考えても(スペックから推測して)そんなわけはない」というタイムを叩き出したことで周囲を驚かせたのですが、これを可能としたのは(主に)R35 GT-Rが持つトルクベクタリング4WDシステムで、この機構がそれまでの常識、あるいは「物理の法則」を捻じ曲げてしまったわけですね。
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それ以来、GT-Rは“ジャイアントキラー”としての地位を築いてきたという事実があるのですが、そして次なるGT-Rがどのような形で登場するにせよ、再び911を倒す存在でなければならないという期待がかかっています。
Image:NISSAN
「GT-Rは本物でなければならない」
ニューヨーク国際オートショーにてカーメディア、Motor1のインタビューに応じた日産USAのチーフプロダクトプランナー、ポンズ・パンディクティラ氏は、新型GT-Rに求める要素をこう語ります。
「第一に、それは“本物”でなければならない。たとえば、FFの電動車をGT-Rと呼んだら……それはちょっと違うでしょう? GT-Rはそのルーツに忠実であるべきだし、ニュルでの実績を持っていなければならないんだ。
GT-Rの信頼性を築いたのは、911をその“ホーム”であるニュルブルクリンクで打ち負かしたこと。それは次世代モデルでも変わらず必要なんだ」
Image:NISSAN
現行911の速さは?GT-Rが超えるべき壁
しかし、これは簡単なハードルではありません。
現在のポルシェ911は進化のスピードが凄まじく、2023年にGT3 RSが記録したタイムは6分49.328秒。
しかも、当時よりもニュルのタイム計測基準は厳格になり、20.83kmのフルラップ(従来よりもコースが長くなった)が義務付けられたという条件下です。
ちなみに、GT-Rが記録を出した2008年当時の基準で換算しても、ポルシェ911 GT3 RSは6分44.848秒で走行しており、新型GT-Rがこの壁を超えるには、R35 GT-Rから45秒もタイムを短縮するという「とんでもない速さ」が求められるわけですね。
しかも、ポルシェには今後登場予定の「911 GT2 RS」など、さらなる強敵も控えています。
Image:NISSAN
電動化は避けられない運命
そしてボンズ・パンディクティラ氏は新型GT-Rには何らかの電動化が不可欠だともコメント。
「高出力エンジンだけでは、もはや排ガス規制をクリアできない時代です。だからこそ、バッテリーやモーター技術がどれだけ進化するかにかかっている。数年かかるかもしれないが、GT-Rは必ず戻ってくる」
現時点で日産は新型GT-Rの開発に正式に着手していませんが、構想から市販までには通常4年ほどかかると言われています。
それでも新たにCEOに就任したイヴァン・エスピノーサ氏が筋金入りの“クルマ好き”であることを考慮するならば、そう遠くない未来になんらかのGT-Rに関する報告を聞くことができるのかもしれません。
ただし今後もポルシェ911はさらに速くなっていくことが確実であり、日産が新型GT-Rで再び世界を驚かせるには、並々ならぬ覚悟と(2008年にスポーツカーの常識をひっくり返したような)技術の結集が求められ、しかし次世代GT-Rが再び“ポルシェ・キラー”としてサーキットに君臨する日を信じて待ちたいところですね。
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参照:Motor1