【ポルシェ最希少カラー】ムーンストーンに魅せられた男──幻のボディカラーを追い続けるコレクターの物語

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｜　ムーンストーン──幻のポルシェカラーに人生を捧げた男　｜

ポルシェにとって「ボディカラー＝顧客の見果てぬ夢」である

さて、ポルシェはボディカラーを「顧客が夢を実現するための手法」であると捉え、これまでにも様々なカスタムカラーを提供し、現在でも「ペイント・トゥ・サンプル」「ペイント・トゥ・サンプル・プラス」なるオプションを取り揃えることで顧客の要望に応え続けています。

その歴史の中では文字通り「数え切れない」ほどのボディカラーが生まれては消え、しかし「もっとも生産台数が少なかった」ボディカラーとして知られるのが”ムーンストーン”。

今回はそのムーンストーンを追いかける一人の男の物語です。

ムーンストーン──幻のポルシェカラーに人生を捧げた男

世界中のコレクターが血眼になって探しても見つからない──それが、ポルシェ史上最も希少とされるカラー「ムーンストーン」。

このカラーに取り憑かれたアメリカ・テキサス州のジャスティン・ローザー氏は、何年にもわたって世界中を旅し、このカラーを持つポルシェを探し続けています。

世界に223台のみ、希少カラー「ムーンストーン」の正体

「ムーンストーン」は、1979〜1980年のわずか2年間に、911（Gシリーズ）、924、928に対し計223台だけ塗装された特別色であり、光や天候によって白、ピンク、紫にも見えるという不思議な色合いが特徴です。

彼が最初に出会ったのは2018年に掲載された911ターボ（930）の広告であったそうですが、子どもの頃に好きだった紫がかったキャンディーを思い出し、見た瞬間に「一目惚れ」。

その後、924、911 SC タルガ、そして928と、次々にムーンストーンの車両を収集することに成功し、特に928は世界でわずか9台しか存在せず、彼のコレクションの中でも“最後のピース”として大きな意味を持つのだそう。

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10,000kmの旅の果てに、色の誕生秘話を探して

928（愛称：Oli）を引き取りにドイツへ渡ったローザー氏は、その足でヨーロッパ各地を巡る旅へ出発することとなり、目的はただ一つ──ムーンストーンの「起源」を探ること。

最初の訪問地は、ポルシェの聖地であるシュトゥットガルト・ツッフェンハウゼンで、その地で彼を待っていたのは、この色を手がけた伝説的デザイナー、ヴラスタ・ハッター氏。

ムーンストーンの正体は、ドイツ語で「フリーダー」と呼ばれるライラック（リラ）の花だそうですが、5月になると街中で咲き誇るこの花からインスピレーションを得たとヴラスタ・ハッター氏は語ります。

開発当時、金属顔料ではなく特殊な顔料が使われ、時代の先を行く色だったにもかかわらず商業的には失敗してしまい、しかし50年後の今、その美しさが再評価されつつあるというわけですね。

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ついにピースは揃ったのか？──“ムーンストーン”との絆は終わらない

ローザー氏の欧州への探求の旅においては様々な人との出会い、発見、そして体験があったそうですが、この旅を総括し「この色は、僕が生まれた1979年に登場した。偶然とは思えない」と語るローザー氏。

出会いと再会、過去と現在、そしてクルマと人──ムーンストーンは、彼の人生そのものを彩る“運命の色”だったのかもしれません。

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