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ポルシェ、VWグループとの「兼任」CEOに不満?新トップを模索中との報道

ポルシェ

| 現在、ポルシェとVWグループのCEOは同一人物である |

そして今のところ、この効果は「良い方面に」現れていない

ポルシェが新CEOの人選を始めたとの報道。

現CEOのオリバー・ブルーメ氏は2015年からポルシェを率い、2022年にはフォルクスワーゲングループ(VW)のCEOにも就任しており、その後も両社のトップを兼務しています。※ややこしいが、フォルクスワーゲン「単体(グループではなく)」には別のCEOが任命されている

しかし投資家や関係者の間では、この「二足のわらじ」が問題視されており、ポルシェを実質的に支配するピエヒ家は水面下で後任候補を探していて、すでに内部候補と外部候補1名ずつに絞られているとも伝えられています。

VW新CEOが「電動化を加速」と演説にて強調。ただし新CEOはポルシェCEOと兼任しており、ポルシェでは「内燃機関存続」としている矛盾を指摘される
VW新CEOが「電動化を加速」と演説にて強調。ただし新CEOはポルシェCEOと兼任しており、ポルシェでは「内燃機関存続」としている矛盾を指摘される

| ポルシェとVWとでは様々な点で相違が多く、両社のCEOを兼任するのには無理がありそう | おそらくは頃合いを見てどちらかのCEOが交代することになるだろう さて、フォルクスワーゲンのCEOが電撃交 ...

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なぜCEO交代を望むのか?

両社(ポルシェとフォルクスワーゲン)が直面している課題は以下の通り似ていますが、その「解決策」はまったく異なるもの。

  • 中国市場での販売不振
  • 電気自動車(EV)開発の遅れ
  • 米国での関税リスク

例えばポルシェはブランドのDNAをより重視した「パフォーマンス」に焦点を当てる必要があり、その段階では「内燃機関」に重きを置いた「排他性」が求められます。

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一方のフォルクスワーゲンでは、よりコストの低い電気自動車を中国のパートナーとの協業によって生み出し、「汎用性」を追求する必要が生じています。

つまりポルシェは「内燃機関」「ポルシェにしかない価値をもって差別化」「よりプレミアムに」、フォルクスワーゲンでは「電動」「ライバルに対抗し同じ土俵で戦う」「より広い範囲に低価格をもって普及」という真逆の戦略が必要となってくるわけですね。

よって、オリバー・ブルーメ氏がその矛盾した戦略を一人で担当すべきではなく、VWグループ全体の立て直しに集中すべきだとの声が強まる一方、ポルシェは自社に特化した舵取り役を必要としているという声が高まっているのが今の状況です。※オリバー・ブルーメ氏個人の能力の問題ではなく、相反する戦略を同じグループ内にて、一人の人物が担当することで対外的な混乱を招くという意味なのだと思われる

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VWのCEOが内紛でクビ、かわりにポルシェCEOが兼任にてVWのCEOへ。これでさらに両者の意思が「統合」されることに
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背景にあるポルシェ株主の圧力

こういった状況に加え、ポルシェSE(持株会社)とVWグループの複雑な所有構造もさらに状況を難しくしていて、VWはポルシェを傘下に収めていますが、そのVW自体がピエヒ(ポルシェ創業家)一族に支配されている状態で(よって、これまでにもピエヒ家の以降による人事がなされている)、こうした「ねじれた支配構造」もまた問題。

ピエヒ家ではCEOの兼任が常に議論の的となっており、さらに投資家たちも「VWの問題はVWで」「ポルシェの経営はポルシェ専任のCEOで」という明確な分離を求めているのだと報じられています。

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ポルシェCEOはル・マン開催期間中、同社従業員と一緒に現地でテントを張ってキャンプ観戦をしていた。「まさか我々のCEOが短パン姿で食事の列に並ぶとは」
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ポルシェの今後の展開

まだ正式発表はありませんが、もしポルシェに新CEOが誕生すれば(オリバー・ブルーメ氏はポルシェよりもVWグループ全体を見る役割に集中する可能性が高い)、ポルシェはよりブランド戦略に特化した経営を進められる可能性があり、オリバー・ブルーメ氏がVWの再建に専念することで両ブランドの立て直しが加速するのか、それとも経営の混乱を招くのか、今後の動向に注目されるところでもありますね。

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参照:jalopnik

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