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新型NSXは期待薄?二代目NSXでの「3000万円の誤算」によりNSXの復活計画が凍結か。失敗の裏にある初代との決定的な違いと未来への教訓

ホンダNSX タイプSのフロント

Image:Honda

| ホンダは「赤字」によってNSXどころではないのかもしれない |

「2代目NSX」がホンダに残した教訓とは

日本の自動車技術の結晶であり、世界に誇るスーパースポーツ「NSX」。

初代モデルが1990年代の自動車史に燦然と輝く伝説となった一方、10年の空白を経て鳴り物入りで登場した2代目(NC1型)アキュラ/ホンダNSXは、ファンや市場から複雑な評価を下される結果となったのはご存知のとおりです。

現在、ネット上では「3代目となる次世代EV版NSX」の噂や憶測が絶えず飛び交っているものの、ホンダは当初予定していたEVとなる後継車計画を事実上延期し、さらには「BEVからハイブリッド路線へ」と全体の戦略をシフトさせているという状況。

ホンダが再び「NSX」という聖域のバッジを掲げることに慎重になっている背景には、2代目モデルが犯した「高額な誤算」への深い反省があると考えられ、伝説の継承がいかに難しかったのか、そしてホンダが未来へ進むために得た教訓とは何だったのかを紐解いてみましょう。

ホンダ NSX タイプSのサイド

Image:Honda

この記事の要約(3行まとめ)

  • 2代目NSXの商業的苦戦:3.5L V6ツインターボと3基のモーターを組み合わせたハイテク四輪駆動スーパースポーツとして登場したものの、北米での累計販売数はわずか1,814台に留まる
  • 金融危機に翻弄された開発史:当初は5.0L V10フロントエンジンモデル(ASCC)として開発されるも、2008年のリーマンショックで頓挫。紆余曲折を経てハイブリッドとして市販化された複雑な過去を持つ
  • 中古車市場で起きている逆転現象:新車時価格約2100万円(現在の価値換算)だった2代目が1500万円前後へ急激に値を落とす一方、状態の良い初代NSXがそれを上回る価格で取引される皮肉な事態が発生

2代目NSX「市販化」への道のり

2代目ホンダNSXの開発から生産終了にいたるまでの道のりは「まさに波乱万丈」。

ホンダが初代の「ボトルに詰まった稲妻をもう一度捉える(奇跡を再現する)」ことを目指してスタートしたプロジェクトは、10年以上の歳月と2つのコンセプトカー、そして世界的な金融危機に翻弄されることになります。

最初の試みは、2007年のデトロイトモーターショーで発表された「アドバンスド・スポーツカー・コンセプト(ASCC)」で、これは初代のミッドシップレイアウトとは根本的に異なり、フロントに最高出力約450馬力の5.0リッターV10エンジンを搭載した、フロントミッドシップのモンスターマシン(リバティ・メディア傘下前のF1カルチャーや当時の金融好況を反映したGTカー)となる予定であったわけですね。

アキュラ ASCCコンセプト(グレー)、フロント

Image:Acura

第2世代のホンダNSXは当初「V10、フロントエンジン」として企画されながら、なぜ「V6+ハイブリッド」となったのか
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しかし、その翌年である2008年に世界を襲ったリーマンショック(世界金融危機)によって、ホンダは生存を最優先するためにこの実験的なV10スポーツカー計画を完全凍結せざるを得なくなり、その後2012年になってようやく現在のハイブリッドパワートレインの原型となる2つ目のコンセプトが披露され、2015年に量産モデルとして発表、2017年モデルから本格的なデリバリーが開始されたという経緯を持っています。

開発には、アイルトン・セナが深く関わった初代の精神を受け継ぎ、佐藤琢磨選手をはじめとするインディ500やデイトナ24時間レースの覇者たちがテストドライバーとして参画。

「ヒューマン・センタード・スーパーカー(人間中心のスーパースポーツ)」というコンセプトのもと、驚異的なサーキットパフォーマンスと日常の快適性を両立することを目指すこととなりますが、メカニズム的には最先端の技術を詰め込んだものの、実際に市販されてみるとインテリアの一部に一般的なホンダ車(インフォテインメントシステムなど)のコンポーネントが流用されていたことなどが災いし、プレミアムセグメントの顧客が求める超高級車としての満足感を十分に満たすことができず、販売面では苦戦を強いられる結果となっています(さらには内外装の選択肢が非常に限られており、富裕層の興味を惹くことが難しかった)。

ホンダNSX:車種概要、性能・デザイン・スペックなどの特徴

2代目NSXは「技術的には」当時の最先端を極めたコンポーネントの塊で、そのスペック、および現在の中古車市場における最新の動向は以下の通りとなっていて・・・。

2代目アキュラ/ホンダNSX(NC1型)主要スペック

項目2代目 NSX(標準モデル)2代目 NSX Type S(最終限定車)
パワートレイン3.5L V6ツインターボ + 3モーター(SPORT HYBRID SH-AWD)3.5L V6ツインターボ + 3モーター(インジェクター、ターボ等強化)
最高出力507馬力(エンジン単体 / 581馬力(システム合計)529馬力(エンジン単体)/ 610馬力(システム合計)
最大トルク550Nm600Nm
トランスミッション9速デュアクラッチトランスミッション(DCT)9速デュアクラッチトランスミッション(DCT)
0-60マイル(約96km/h)加速約 3.0 秒3.0 秒未満
最高速度約307km/h約307km/h
限定台数 / 販売実績北米累計:1,814台(最高年間セールスは2017年の581台)全世界350台(うち米国300台、日本30台)
ホンダNSX(2代目)のエンジンルーム

Image:Honda

現在の中古車市場における価格トレンド

新車当時の価格は156,000ドル(現在の物価価値換算で約210,000ドル=約3,300万円、日本だと2370万円)という超高額セグメントでしたが、商業的な成功を収められなかったことから、中古車市場での減価償却が比較的早く進んでいるというのが現在の状況。

  • 2代目NSX(中古相場):北米だと過走行気味の最安値圏で約100,000ドル(約1,600万円)、低走行の極上車でも155,000ドル(約2,480万円)前後で推移※日本だと2300万円程度から
  • 初代NSX(中古相場との逆転):一方で、ピュアなアナログスポーツとして世界的なコレクターズアイテムとなった初代(NA1/NA2型)は価格が高騰。メンテナンス状態の悪い個体こそ50,000ドル前後から存在するものの、低走行のコンディションが良い個体は150,000ドル(約2,400万円)に達し、希少な限定車など一部の例外では200,000ドル(約3,200万円)を超えるなど、新旧モデルの価格が完全にクロスオーバー(逆転)する現象が起きている※日本だと900万円くらいから。NSX-Rは8000万円以上
ホンダNSX(初代、オレンジ)

Image:Honda

競合とポジショニング、ホンダの未来戦略

「最先端のテック」が裏目に出た市場での立ち位置

2代目NSXが発売された当時、マクラーレン・570Sやフェラーリ・488GTB、ポルシェ・911ターボといった強力なライバルがひしめいていて、これら欧州の競合たちが「ブランドの血統」や「官能的なエキゾーストノート」、「圧倒的なラグジュアリー感」を前面に押し出していたのに対し、NSXは「3モーターハイブリッドによる緻密なトルクベクタリング」という理詰めのテクノロジーで対抗することに。

しかし、これが逆に「ゲームをプレイしているような感覚」と捉えられ、アナログな運転の楽しさを求める伝統的なスーパーカー購入層の心に響きにくかったという側面も指摘されています。

かつ、「ハイブリッド」であるにもかかわらず出力がライバルに比較して大きくリードしているわけでもなく、さらに加速性能についても抜きん出ていなかったことから「ハイブリッド化の恩恵を受けることができていない」と判断されてしまったのもまた事実。

ブルーのホンダNSX

Image:Honda

2026年現在のホンダ/アキュラの戦略への影響

この2代目の経験は、現在のホンダの電動化戦略に大きな影響を与えていて、ホンダは当初、2030年までに北米での販売の60%を完全なEV(電気自動車)にし、ハイブリッドを飛び越えて一気にBEVへシフトするアグレッシブな計画を立てていましたが、その際にはフラッグシップとして「EV版NSX」の復活も示唆されていたのも記憶に新しいところです。

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しかし世界的なEV需要の減速やGMとの共同開発の解消(ZDX EVの終了など)を経たのち、ホンダは2026年5月のグローバルビジネスブリーフィングにおいて明確な「ハイブリッド(PHEV/HEV)への回帰と強化」を打ち出しており、これによると次世代の2モーターハイブリッドシステムを搭載した15の新型モデルを2030年までに投入する予定であり、完全にEVへ舵を切るリスクを避け、顧客の現実的な需要に寄り添う戦略へとピボットすることが示されています。

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結論

2代目アキュラ/ホンダNSXは決して悪いクルマではなく、むしろ、現在のフェラーリ(296GTB)やランボルギーニ(テメラリオ)がこぞって採用している「ダウンサイジングターボ+マルチモーターPHEV」というパッケージングを10年も先取りしていた、早すぎた天才だったと言っていいのかもしれません。

しかし、初代が提示した「軽量・シンプル・安価でありながらフェラーリを超える」というエッセンスとは対極の、「重く・複雑で・極めて高価」なクルマになってしまったことがマーケットとのズレを生んだ最大の原因であったのだとも考えられます。

ホンダNSX タイプR(ホワイト、フロント)

Image:Honda

ホンダが数年以内に「NSX」の名前を再び復活させる可能性は極めて低く、しかしそれは”諦め”によるものではなく、2代目での苦い経験を視野に入れ、そして現在進めている新世代ハイブリッド技術の熟成を待ち、次こそは「時代が求める完璧な回答」を導き出すための、前向きな潜伏期間であると信じたいところでもありますね。

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参照:CARBUZZ

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