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恐るべしホンダ。1981年の名作「モトコンポ」は初代NSXのトランクに収まることが今になって明らかに【動画】

ホンダNSX(初代)のトランクに収まるモトコンポ

| ミッドシップV6の背後に滑り込む「トランクの奇跡」 |

ホンダはもちろんこれを「意図して設計した」に違いない

「限られた空間に、どれだけ効率よく荷物を詰め込めるか」――ホンダが長年培ってきたこのパッケージング技術の高さは世界中で知られていますが、誰もが予想だにしなかった組み合わせを試したオーナーが出現し、そしてその結果に世界が驚愕することに。

イギリス・ヨーク在住のNSXオーナー、クリス・スコット氏が、JDM(日本市場専用車)のミーティングで出会った仲間と共に、「1981年製の初代モトコンポは、1990年製の初代NSXのトランクに収まるのか?」という一見無謀な実験を行ったのが今回のことの発端です。

年の差約10年、ジャンルも「シティコミューターの相棒」と「本格ハイパフォーマンス・スーパーカー」という対極に位置する2つのホンダのアイコン。その実験結果は、驚くほど満足感に満ちたものでありながら、同時に「ある重大な対策」を必要とするものであったこともわかっています。

この記事の要約

  • 世紀を超えたパッケージング実験:シティの「おまけ的存在」だった折りたたみスクーターが、約10年後に誕生したV6ミッドシップスーパーカー「NSX」のトランクに入るのかを検証
  • ジャストフィットの事実:内装を傷つけることなく、NSXのリアトランクに見事に横載せで収納可能。ホンダの類まれなる空間効率設計が証明される形に
  • 実用における最大の罠:モトコンポには横倒し時の漏れ防止機能があるものの、経年劣化等により燃料やオイルが漏れるリスクが高く、「事前の完全水抜き(液抜き)」が必須

シティ積載時との決定的な違い

1981年に登場したモトコンポは、初代「ホンダ・シティ」のトランクにすっぽり収まる車載用スクーターとしてシティと同時開発されており、一方のNSXは1990年にデビューしたスーパースポーツで、ミッドシップにV6エンジンを横置きした関係上、その背後に用意された荷室スペースはわずか154リットルしか確保できず、当然ながら折りたたみバイクを載せることなど1ミリも想定されてい無かったクルマです(このリアトランクは色々と物議を醸し、ゴルフバッグを乗せるためにリアオーバーハングを延長したと非難されたこともあるが、ホンダは後にこれを否定している)。

しかし実験の結果、ハンドルとシートを格納したモトコンポは、NSXのトランクライニング(カーペット)に無理に押し付けることもなく、一切の加工なしでスルリと収まったというのが実験の結果であったというわけですね。

なお、初代シティのトランクに積載する際はモトコンポを「直立(正立)」させた状態で固定するための専用ベルトやアンカーボルトが車体側に用意されており、しかし高さに限りのあるNSXのトランクに収めるためには「バイクを横に寝かせて載せる」必要があり、ここにこの実験の成否を分ける最大の注意点が隠されていることも明らかになっています。

なぜ世代を超え、NSXはモトコンポが積めるように設計されていたのか

ここで、今回時空を超えてコラボレーションを果たした2台のスペックを振り返り、なぜこのパッケージングが成立したのかを考えてみましょう。

ホンダ・モトコンポ(1981年式)主要スペック

項目仕様・数値
全長×全幅×全高1,185mm × 535mm × 910mm(折りたたみ時:全幅315mm / 全高580mm)
乾燥重量42 kg
エンジン49cc 空冷2ストローク単気筒
最高出力2.5馬力 / 5,000rpm
特徴的な機能ハンドル、ステップ、シートをボディ内に完全格納できる「スーツケース形状」

解決すべき技術的課題:液漏れとの戦い

モトコンポは本来「車載」を前提としていたため、燃料やオイル、バッテリー液が傾けても漏れにくい構造(オイル専用コックや密閉型バッテリーなど)があらかじめ設計に盛り込まれています。

しかし、これはあくまで「40年以上前の新車時」の基準であり、別のNSXオーナーであるドミニク・デュブレイユ氏が同様の横載せ実験を行ったところ、設置した瞬間に燃料(ガソリン)がトランク内に漏れ出し、実験を即座に中止せざるを得ない事態に陥ったといい、愛車のトランクをガソリンまみれにしないためには積載前に燃料やオイルといった全ての液体類を完全に「抜き取る」というひと手間が絶対に不可欠というわけですね。

後世にも受け継がれるホンダの「遊び心」

この「4輪+2輪」というユニークなライフスタイルの提案は1980年代のホンダが発明した独自のカルチャーで、当時、日常の移動(シティ)の先にある「ラストワンマイル」をモトコンポで移動するという思想は、現代のマイクロモビリティの先駆けと言えます。

そして現代においても「バイクとクルマ」の両方を製造するメーカーはホンダとBMW、プジョーしか存在せず(ただしプジョーのバイク事業は他社に売却されている)、近い例だと最近トヨタが「ランドホッパー(下の画像)」を提案したくらい。

それでもこの「NSXにモトコンポが積める」というのは非常に大きな驚きを持って迎えられており、そしてこれは「意図しないとできない」離れ業でもあるため、NSXのエンジニアたちはこの「隠し機能」を実現するために多大な労力を払ったということになりそうです。

トヨタ・ランドホッパー全景

Image:TOYOTA

新型「モトコンパクト」ならどうなる?

もし、液体を抜く手間に悩まされることなく、この「スーパーカーに電動モビリティを載せる」というロマンを現代のスペックで実現したい場合、ホンダにはすでに完璧な答えが用意されています。

ホンダは2023年、完全電動化された現代版モトコンポである「モトコンパクト(Motocompacto)」を一部海外市場で発売しており・・・。

【現代のモトコンポ:モトコンパクト】
・パワートレイン:100%電気(充電式バッテリー)
・形状:さらに薄く、完全にフラットな超軽量スーツケース型
・積載性:ガソリンやオイルが存在しないため、どれだけ傾けても「液漏れリスクはゼロ」

この最新のモトコンパクトであれば、初代NSXはもちろん、トランク容量がさらにタイト(110リットル)になった2代目NSX(ハイブリッドモデル)のフロントまたはリアのラゲッジスペースにも、机上論では何の問題もなく、かつクリーンに収納することが可能なのだそう。

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1981年のモトコンポと1990年の初代NSX。

設計された時代も開発チームの目的も全く異なる2つのモデルが2026年の今、イギリスの小さなミーティングで「奇跡のジャストフィット」を見せたという事実は世界中のJDMファンやホンダフリークの心を熱くさせてくれるひとつの事象。

実際にこの組み合わせでドライブに出かけるには、目的地に着いてからガソリンを入れ直すといった「愛ゆえの手間」が必要になりますが、しかし、ガレージを開けたとき、日本の自動車史に輝くミッドシップスーパーカーのトランクから、これまた伝説のコンパクトバイクが顔を出す――その景色の持つワクワク感は、合理性だけでは語れない、自動車趣味の極みと言えるのかもしれません。

初代ホンダNSXにモトコンポを積んでみた動画はこちら

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