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BMW次世代EV版「M3」にはあのV10そしてV8サウンドが擬似的に再現。ただしガソリン版では「MT」「後輪駆動」が廃止される可能性が濃厚に

BMW M コンセプト・ノイエ・クラッセ(レッド)のフロント

Image:BMW

| 新型「EV版」M3ははじめて「スポーツカーとして成功するEV」になるのではと期待している |

同時に「ガソリン版」新型M3にも大きな期待が寄せられる

BMWのハイパフォーマンス部門「M」がついに完全なる電動化へのカウントダウンを開始することになり、去る2026年6月に開催されたル・マン24時間レースでは次世代EVセダンのデザインプレビューとなる「BMW M Concept Neue Klasse(Mコンセプト・ノイエ・クラッセ)」が世界初公開されたのも記憶に新しいところです。

そして今回、BMW Mのビークルダイナミクス開発責任者であるクリスチャン・カルク氏が「数値(馬力)を追い求めるゲームはしない。重要なのはMならではの精密さだ」とインタビューにて語っており、「EV版M3」では馬力競争を捨てて徹底的に「走りの質」を磨き上げていることが明らかになっています。

ここでは「最高峰のスポーツセダンは電動化でどう生まれ変わるのか」、そして「ガソリン車を愛するピュアなエンスージアストへの救済策とは」について考えてみましょう。

BMW M コンセプト・ノイエ・クラッセ(レッド)のフロント
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この記事の要約(5行まとめ)

  • 初のフル電動M3が2027年誕生:4モーターを搭載した次世代の純EV版M3(開発コード:ZA0)が2027年春に市販化予定
  • 馬力競争からの脱却:1,300馬力超を誇ったコンセプトカーの数値は追わず、Mならではの「ミリ単位の正確なハンドリング」に焦点を当てて開発
  • 走りを熱くするギミック:サーキットでコーナー進入速度を把握しやすくするため、電気的にギア段を再現する「模擬シフト(擬似ギア)」と、過去のV10/V8からサンプリングした「エキゾーストサウンド」を採用
  • 直6ガソリン版も2028年に併売へ:EVに抵抗があるファンのため、3.0L直列6気筒ツインターボを継続したマイルドハイブリッド版(G84)が2028年夏に登場
  • アナログ派には苦渋の選択:ガソリン版の継続は朗報だが、排ガス規制対応により「マニュアルトランスミッション(MT)」および「純FR(後輪駆動)」は廃止となる可能性が濃厚
BMW M コンセプト・ノイエ・クラッセ(レッド)のリア

Image:BMW

新型BMW M3(ZA0):詳細

BMWはこれまで「i4 M50」や「iX M60」といったスポーティなEVを展開してきましたが、これらはあくまで通常のEVをMが”チューニング”した「M Performance」モデルです。

しかし今回開発が進められているモデルは初の「生粋のM(フルM)」としてゼロから設計されたピュアEVであり、BMW Mの機能統合および車両ダイナミクスエンジニアリング責任者であるクリスチャン・カルク氏は海外カーメディア(Auto Express)の取材に対して次のように語ることに。

「重要なのは馬力ではありません。それもゲームの一部ではありますが、Mカーを唯一無二にしているのは、あのミリ単位で決まる正確性(プレシジョン)なのです」

この言葉の通り、2027年に登場する新型EV版M3は、馬力の数字だけを誇るテスラなどの直線番長的なアプローチとは一線を画し、人間の五感に訴えかけるドライビングプレジャーの創出に全力を注いでいるといい、噂されていた「iM3」という名称は採用されず、電動化されても伝統の「M3」バッジをそのまま引き継ぐ見込みについても語られています(以前、「i」と「M」とは相容れないとも述べており、その方向性を貫くということになりそうだ)。

BMW M コンセプト・ノイエ・クラッセ(レッド)のフロント

Image:BMW

次世代M3(EV版 vs ガソリン版)の予想スペック

次世代EV版M3はBMWの新世代EVプラットフォーム「ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)」のM専用バージョンを採用することが決定していて、デザイン面では往年のE30型M3を彷彿とさせるブリスターフェンダーやモータースポーツ由来のイエローに発光するキドニーグリルなど、ヘリテージとフューチャリスティックが融合した佇まいとなることが確実視されており、これは「Mコンセプト ノイエクラッセ」の姿、そして発表時に用いられた「E30 M3と並んだ公式画像」を見ても十分に理解が可能です。

項目次世代 M3 EV版(ZA0)次世代 M3 ガソリン版(G84)
パワートレインクアッドモーター(4基・各輪独立制御)3.0L 直列6気筒ツインターボ+48Vマイルドハイブリッド
最高出力約 800 〜 900 hp(推定)約 525 hp 〜(現行コンペティション同等)
バッテリー容量 / 電圧100 kWh超 / 800Vアーキテクチャ-
トランスミッションシングルスピード(パドル付き模擬シフト搭載)8速オートマチック(ATのみ)
駆動方式4WD(xDrive / フロント切離しでFRモード可能)4WD(xDrive / 2WDモード付き)
生産開始予定2027年3月2028年7月

感性を刺激する「仕掛け」:模擬シフトと名機V10の咆哮

なお、EV特有の「無音でどこからでも途切れなく加速する」特性は「サーキット走行においてドライバーの感覚を狂わせる原因」となり、そこでBMW Mのシニア開発責任者であるアレクサンダー・カラヨロビッチ氏は、ヒョンデの「アイオニック5 N」に近い模擬シフト(擬似的なギア段と変速ショック)の搭載が「不可欠である」と判断したのだそう。

ヒョンデ アイオニック5 Nのインテリア
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さらに車内には、BMWの歴史に輝く歴代の名機(E60型M5の5.0L V10や、E92型M3 GTSの4.0L V8、伝統の直6)の実際のスタジオ録音データをベースに構築された専用のシンセサイズド・サウンドが響き渡ることになる、とも述べています。(不要な場合はオフにすることも可能)。※以前には、過去の「M」モデルのサウンドをサンプリングする動画も公開されている

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これらの多くは1,000馬力前後を誇り、ゼロ百加速のコンマ数秒を競っているというのが現状ではありますが、しかしBMW Mが目指すのは「サーキットを何周走ってもタレない、かつドライバーの手足のように動く」という、ポルシェの「GT」シリーズに近い「モータースポーツ直系のダイナミクス」なのだそう。

そしてこれを可能にするのが、各輪のモーターとブレーキを統合制御する、通称「Heart of Joy(ハート・オブ・ジョイ)」と呼ばれる超高速のセントラルコンピューターで、100kWhを超える大容量バッテリーによる「重量(2トン超)」というEV最大の弱点を、この高度なアルゴリズムと4輪の独立トルクベクタリングでいかに打ち消してくるかが”ライバルに対する最大の差別化ポイント”となりそうですね。

BMW M コンセプト・ノイエ・クラッセ(レッド)のタイヤとホイール

Image:BMW

なぜガソリン版も残すのか?「マルチパスウェイ」の現実

今回のインタビューで最も注目すべきは、「2028年に直6ガソリン版のM3も並行してフルモデルチェンジする」という点で、メルセデスAMGがC63を4気筒プラグインハイブリッドにして苦戦を強いられた教訓、あるいはポルシェが一部EV化を急ぎつつもガソリン車を併売する動きを見せる中、BMWは「顧客が望む限り、規制が許す限り直6を作り続ける」という現実的な選択を取ることに。

ただし、欧州の厳しい排ガス規制(ユーロ7)をクリアするため、次世代の直6モデルには「48Vマイルドハイブリッド」の搭載が必須となり、これによって以下の変更が避けられないであろう、とも見られています。

  • マニュアルトランスミッション(MT)の終焉: モーターをトランスミッション内に統合する構造上、3ペダルMTの継続は不可能となり、AT限定に
  • 純FRの廃止: 効率的なトラクションと回生ブレーキのために全車「xDrive(4WD)」化され、車重は現行より増加することに

結論

2027年に登場する初のフル電動M3は、ぼくらが知るこれまでの「数値(馬力)を競うEV」とは全く異なる次元の、徹底的にドライバーの感性に寄り添った「新世代の精密機械」となる可能性が大。

かつて1986年に初代E30型M3が登場した際も4気筒へのダウンサイジングは大きな物議を醸したものではありますが、結果としてモータースポーツにおける伝説となっており、よって今回のEV化、そして4モーターへの移行もまた、Mの歴史における最大のパラダイムシフトと言えるのかもしれません。

そしてその一方、2028年にはマイルドハイブリッド化されつつも「直6の灯」が守られることは、ピュアなガソリンエンジン派にとって最大の救いとなることは間違いなく、ただしMTの廃止や4WD化を考えるならば、現行の純ガソリン・FR・マニュアルという「最後のアナログM3」を新車で手に入れられる時間は”残りごく僅か”というのもまた事実。

最先端のデジタルツイン技術とクアッドモーターで未来の歓びを提示する「ZA0」か、激動の時代を直6の咆哮とともに駆けぬける「G84」か。

走りの質を極めた「EVのM3」、あるいはハイブリッド化される「直6のM3」か。

ありがたいことに、BMW Mはまだぼくらに2つの未来を提示してくれるというわけですね。

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参照:Auto Express

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