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BMWの重鎮が「M1」復活への希望を熱く語る。にもかかわらず、なぜ伝説のスーパーカー後継は未だに実現しないのか

BMW M1のフロント(レッド)

Image:BMW

| BMWのファンがもっとも熱望するスポーツカー、それがM1である |

BMWとしても、その重要性をひしひしと感じているはずではあるが

「BMWはいつになったら、あの伝説の『M1』の精神を受け継ぐ本物のフラッグシップスーパーカーを再び世に送り出してくれるのか?」

これは世界中のBMWファンやエンスージアストが何十年にもわたり抱き続けてきた疑問であると思われます。

実際のところ、ライバルを見渡してみると、メルセデス・ベンツは「SLS AMG」に続き「AMG GT」を成功させ、アウディも2世代にわたる「R8」ののちに最新の限定スーパーカー「ヌヴォラーリ」を発表するなど、独自の”ハイパフォーマンス広告塔”を持っていて、しかしBMWはその戦いを常に最前線の外側から見つめるだけにとどまっており、ずっとスーパースポーツを持たない期間が続いているわけですね。

しかし2026年6月、ル・マン24時間レースの現場において、BMW M部門のトップとデザインの最高責任者が「予算の制限が一切なく、取締役会が即座に承認をくれるなら何を作りたいか?」という問いに対し、全く同じ「2文字」の答えを返したことが話題となっており、彼らの魂に今も宿る「M1」への執念、そして現実の前に立ちはだかる「開発資金」というシビアな壁の正体を紐解きます。

BMWはなぜ記念すべきM部門50周年記念として、スーパーカーではなくSUVを発表したのか?M部門CEOが多くの人が感じているであろう疑問に答える
Life in the FAST LANE.

この記事の要約

  • トップの共通の夢: BMW M部門のボスとデザイン責任者が、「白紙委任状(予算無限)」があれば作りたいクルマとして、同時に「M1」の名を挙げる
  • 孤高のフラッグシップ不在: メルセデスAMG GTやアウディR8(および新型ヌヴォラーリ)といったライバルに対し、BMWには長年ブランドを牽引する純粋なミッドシップスーパーカーが存在しない
  • 独立資本ゆえの悲劇: 巨大グループに属しランボルギーニと技術共有できるアウディとは異なり、単独メーカーであるBMWは巨額の開発費を自社だけで回収しなければならない構造的限界がある

「BMWが直面する構造的課題」

このドラマチックな告白の舞台となったのは、BMWが次世代EV版M3を示唆する「M Concept Neue Klasse(Mコンセプト・ノイエ・クラッセ)」を世界初公開し、大いに沸いていたル・マン24時間レースの会場です。

現地でメディア(BMW Blog)のインタビューに応じたBMW M部門のボスであるフランク・ヴァン・ミール氏と、BMW Mのデザイン責任者オリヴァー・ハイルマー氏の両名は最新の電動コンセプトカーが”いかにMのバッジにふさわしいスリリングなドライビングプレジャーを備えているか”を熱弁していたといい、しかしインタビューの最後に「もしお金の制限が完全になく、役員会もその場でサインをくれるなら、あなたの『夢のMカー』は何ですか?」と尋ねられた瞬間、一瞬空気が変わったのだそう。

そしてやや間をおいてハイルマー氏がシンプルに「M1」と答えると、ヴァン・ミール氏も同時に、そして全く同じ「M1」という言葉を重ねたとされ、ヴァン・ミール氏は「オリジナルのM1を心から愛しているが、それ以上に、私たちは全く新しい現代のM1を作りたいんだ」と、その熱い想いを吐露したのだと報じられています。

レッドのBMW M1(フロント、走行)

Image:BMW

しかし、ロマンに溢れたアイデアを実現するまでの道のりは想像を絶するほど険しいのが自動車ビジネスの現実で、現代にM1を蘇らせるには、数十年の神話(ヘリテージ)を汚さない完璧な完成度が求められるだけでなく、莫大な投資を回収できるだけの確実な購入層を見つけなければならないのもまた事実。

なぜ、トップ2人がこれほどまでに熱望しているにもかかわらず、新型M1の開発は進まないのか?

そこには、マツダがロータリースポーツの市販化に慎重である理由や、ホンダが2代目NSXで経験した商業的苦戦とも共通する、プレミアムセグメントの厳しい台所事情が存在します。

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競合ブランドとの「資本構造」の決定的な違い

BMWがスーパーカー開発において最も不利なのは、「巨大な自動車グループに属していない独立系メーカーである」という点で・・・。

  • アウディ(VWグループ)のケース: アウディがかつてR8を量産でき、さらに最新の限定スーパーカー「ヌヴォラーリ」を投入できるのは、グループ内のラグジュアリーブランドである「ランボルギーニ」の技術的土台(プラットフォームやエンジン、ハイブリッドシステムなど)を共有できたから。新型ヌヴォラーリは、ランボルギーニの最新V8ハイブリッド「テメラーリオ」と基本コンポーネントを共有することでゼロからの開発コストを劇的に削減している
  • BMWのケース: グループ内にスーパーカーの土台を持つブランド(ロールス・ロイスは超高級GTでありスポーツカーではない)が存在せず、つまり、もし現代のM1を作るとなれば、「完全に自社単独で、専用のカーボンシャシーや超高出力パワートレインを新開発するか、既存のセダン用コンポーネントを無理やりミッドシップに仕立て直すか」という、極めてコスト効率の悪い選択を迫られることになる
アウディの新型スーパーカーコンセプト「ヌヴォラーリ」のリア

Image:Audi

アウディの新型スーパーカーコンセプト「ヌヴォラーリ」のリア
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Mのフラッグシップとしての「M1」の歴史

1978年に登場したオリジナルの「M1」は、BMW M部門が初めて独自に開発したミッドシップスポーツカーであり、のちにM3やM5へと受け継がれる「直列6気筒DOHC(M88型)」という名機を世に知らしめた、まさにMの原点です。

現在、BMW Mの最上位モデルにはSUVの「XM」や、M4をベースにした高額な限定車「3.0CSL」などが存在しますが、これらは「ピュアなミッドシップスーパーカー」を渇望するファンの心を完全には満たせていません。トップの2人も「ブランドの真のヘイローカー(象徴)」には、やはりM1の文脈が必要だと痛感している、というわけですね。

なお、BMWとて同じように感じていることは間違いなく、過去には「M1オマージュ(2008年)といった直接的なオマージュモデルや・・・。

BMW M1オマージュ コンセプトのフロントサイド(レッド)

Image:BMW

ヴィジョン Mネクスト(2019年)という、M1の要素を取り入れたコンセプトカーが公開されたことも。

BMW ヴィジョン Mネクスト コンセプト

Image:BMW

なお、このヴィジョン M ネクストについては、「i8の後継として」、その要素を取り入れたクルマとして発売される現実的な計画があったといい、しかし折悪しく発生したコロナウイルスのパンデミックによって「すべてが潰えた」と語られたことも。

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結論

BMW M部門を率いる2人のトップが、個人的な夢として「M1」の名を即答したという事実は、彼らの胸の中にあるスポーツカーへの情熱が少しも衰えていないことを示す、ファンにとって最高にエモーショナルなニュースです。

彼らは、画面の中のスペック競争だけでは割り切れない、本物のスーパーカーが持つブランド牽引力を誰よりも理解しており、しかし同時に、このプロジェクトは「誰がその巨額の請求書を支払うのか(投資を回収するのか)」という冷酷な財務的現実に阻まれていて、トヨタがスープラでBMWと組み、次世代スポーツカーでマツダやスバルとの共同開発を模索するように、現代において単独でのスポーツカー開発はあまりにもリスクが高すぎるという問題に阻まれて前に進むことができていないというのが現在地(しかし現在、モータースポーツ全盛ということもあって、ロードカーのみではなくカスタマーカーとしてのスーパーカーの販売の道が開かれているのも事実である)。

BMW ヴィジョン Mネクスト コンセプトのリア

Image:BMW

ただ、過去の経緯を見てもわかるとおり、BMWとしてもM1のリバイバルを過去になんどか検討しており、もし2027年に登場する4モーターの次世代EV版M3が市場で大成功を収め、M部門に莫大な利益と電動ハイパフォーマンスの確固たるシェアをもたらしたならば、もしかするとその電動コンポーネントを流用した「21世紀のカーボンニュートラル・ミッドシップM1」への道が「初めて取締役会のサインによって」開かれるのかもしれません。※ほとんど忘れ去られているが、BMWは「i8」という素晴らしいスポーツカーをリリースしたこともある

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