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次世代M3は「非プラグインハイブリッド」確定。F1由来の最新技術”M イグナイト”により「内燃機関の限界へと挑戦」、あくまでも軽量性を維持すると公式に語られる

BMWのホイール
Life in the FAST LANE.

| おそらくはこれに伴い「MT」存続、ほかのブランドとは大きく差別化を実現することに |

BMWは「M5の重量批判」に耐えかねたようだ

スポーツセダンの絶対的なベンチマークであり続ける「BMW M3」。

完全電動パワートレーンを積む「M コンセプト ノイエクラッセ」が発表された後、内燃機関搭載版M3がどのようなパワートレインを採用するのか世界中のギアヘッドたちがその動向を固唾をのんで見守っているという状況ではありますが、C63 AMGが直4プラグインハイブリッド(PHEV)へと舵を切ったり(ただし直4は今後廃止)、BMWの兄貴分である新型M5もまた重厚なV8 PHEVを採用したことから、「次期M3もついにPHEV化か?」という懸念が現実味を帯びていたというのが直近の状況です。

BMW M コンセプト・ノイエ・クラッセ(レッド)のフロント
次期”電動版”M3?BMWが「M コンセプト・ノイエ・クラッセ」を発表、100%エレクトリックハイパフォーマンスにクアッドモーター搭載の怪物が降臨

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しかしBMW M社はファンの熱い期待を裏切らない、最高の決断を下してくれたという報道がなされていて、BMW M部門のトップであるフランク・ヴァン・ミール(Frank Van Meel)氏は、カーメディア”Piston Heads”の取材に対し、次世代M3にはプラグインハイブリッドモデルを一切ラインナップしないと公式に認めることに。

これによって、次世代M3は進化した伝統の直列6気筒ガソリンエンジンモデルに加え、次世代プラットフォーム「ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)」をベースにしたピュアEVモデルの2本立てという、極めてドラスティック(極端)な二極化戦略を突き進むことが確定したわけですね。

BMW M コンセプト・ノイエ・クラッセ(レッド)のインテリア〜モードスイッチ

Image:BMW

ついに「メルセデス・ベンツ史上最悪の失敗作」とされた4気筒版AMG C63が生産中止へ。「テクノロジーの傑作」とされながらもなぜファンに拒絶され短期間での終焉を迎えたのか
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この記事の要点

  • ハイブリッドの否定: BMW Mのボス、フランク・ヴァン・ミール氏がインタビューで次世代M3にフルハイブリッド(PHEVなど)を設定しないことを明言。「完璧な燃焼の原則」を貫く
  • 内燃機関とEVの二極化へ: 次世代M3のラインナップは「純ガソリン(マイルドHV含む)仕様」と「完全電気(EV)仕様」の2種類のみとなり、中間のプラグインハイブリッドは存在しない
  • F1由来の最新ハイテク「M Ignite」: 2026年夏から量産導入される、特許取得済みの「副室(プレチェンバー)ツインイグニッション」技術を次世代M3のS58エンジンにも継続採用
  • M5の過ちを繰り返さない: 新型M5がPHEV化によって約2.5トンにまで激増し、ファンやメディアから受けた激しい批判(重量問題)を教訓に、M3本来のライトウェイトなハンドリング性能を死守
BMWが「あえて」シングルターボを選ぶ理由とは?ツインターボ神話を覆す驚異の効率性を考察する。直6にこだわり続けたからこそ可能となった真実とは
Life in the FAST LANE.
BMW「新型M5の重量を発表時に公開したのは間違いでした。だれもパフォーマンスに注目せず重量しか語らなくなったからです」。今後重量は一呼吸置いて発表
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「中途半端なハイブリッド」を排除した理由と、重量への危機感

「次世代のM3にハイブリッドは存在しない。なぜなら、私たちは完璧な燃焼原則(内燃機関の美学)にこだわり続けるからだ」

フランク・ヴァン・ミール

上述の通り、この決定の背景には、現行型BMW M5(G90型)が直面した「重量問題」に対する痛烈な反省があるとされ、というのも新型M5はV8ツインターボにエレクトリックモーターと大容量バッテリーを組み合わせた結果、車両重量が欧州仕様で2,555kg(約2.5トン超)にまで激増。

「重すぎてMの軽快なハンドリングが失われた」と、世界中の熱狂的なファンやメディアから少なからぬ批判を浴びることとなってしまったわけですね。

BMWが新型M5向けにMパフォーマンスパーツを大量投入。カーボン製燃料キャップやシャークフィンまでもラインアップ、これで2,445kgのM5が「多少は」軽くなるかも

Image:BMW

最高出力やトルクといったカタログ数値をいくら引き上げても、増した「重さ」は物理法則としてコーナリング性能やブレーキ性能に跳ね返ることとなり、ライトウェイトスポーツの本流であるM3において、M5と同じ轍を踏むわけにはいかない――これが、BMW M社が下した純血主義への回帰の理由となっています。

BMW M部門責任者「M5の重量に対する批判にはイライラします。我々は重量増加を承知でPHEVを選択し、重く感じないように作ったのですから」
BMW M部門責任者「M5の重量に対する批判にはイライラします。我々は重量増加を承知でPHEVを選択し、重く感じないように作ったのですから」

| BMWはV8エンジンを存続させるための最良の手段としてこのV8プラグインハイブリッドを選択している | 新型M5のハイブリッドシステムのみで重量は400kgを超える さて、新型BMW M5の車体重 ...

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ただし完全にハイブリッドシステムを排除するわけではなく、現行M3/M4がクリアしなければならない環境規制(Euro 7)への対応も兼ね、48Vのマイルドハイブリッドシステムといった最低限の電動アシストに留めることにより、電動化しつつも車両重量の大幅な増加を徹底的に回避する見込みである、とも伝えられています。

新型M3はどんなクルマに?

次世代M3のガソリンモデルの核となるのがBMW Mが誇る至高の3.0L直列6気筒ツインターボエンジン、「S58」のアップデート版。

ここには、彼らが開発した革新的な新技術が投入され・・・。

魔法の飛び道具:特許技術「BMW M Ignite」とは?

BMWが2024年に特許を出願し、2026年7月生産モデル(M2では8月)から順次実戦投入される最新のエンジンテクノロジーが「BMW M Ignite(Mイグナイト)」。

これはF1などのモータースポーツのエンジンに採用されている「副室(プレチェンバー)燃焼システム」を市販車にフィードバックしたもので、シリンダーヘッド内にメインの燃焼室とは別の小さな「副室」を設け、1気筒あたり「2本のスパークプラグと2つのイグニッションコイル」を持つ画期的なツインイグニッション構造を特徴としています。

  • 低・中回転域: 従来のスパークプラグがメインで点火し、スムーズな扱いやすさを重視
  • 高回転・高負荷域(サーキット走行等): 副室内のプラグが先に点火。そこから音速に近い速度で吹き出す火炎ジェットがメイン燃焼室の混合気を多方向から同時に超高速で爆発させる

この技術により、燃焼速度が劇的に向上し、高負荷時のノッキング(異常燃焼)を完璧に抑制することとなりますが、さらに排気ガス温度を下げ、燃料を噴射することでシリンダー内を冷やさずに済むためにサーキット走行時の燃費を大幅に削減(=同じ燃料タンク容量でより多くの周回が可能に)でき、かつ2026年11月に施行される厳しい欧州環境規制「Euro 7」をクリアするという「魔法のような」技術です。

BMWが考案した新しい点火システム「M イグナイト」のテスト風景
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ただしその代償としては「非常に高い精度での設計と製造」が要求され、そしてこのハードルはけして低くなく、そのため現在のところBMW含めてこの技術を市販車に用いているのはわずか2社にとどまります(もうひとつはマセラティ)。

マセラティMC20に積まれるV6「ネットゥーノ」エンジン
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次世代BMW M3(内燃機関仕様)の予想スペック

項目次世代M3(ガソリン・マイルドHV仕様)備考
エンジン3.0L 直列6気筒 DOHC ツインターボ(S58改良型)伝統のシルキーシックス
新技術BMW M Ignite(副室ツイン点火システム)F1由来の環境・高負荷対策テクノロジー
ターボチャージャー可変タービンジオメトリー(VTG)ターボレスポンスのさらなる向上
最高出力530 hp 〜 550 hp以上(予想)現行Competitionモデル以上を維持
電動化システム48V マイルドハイブリッド(MHEV)重量増加を最小限に抑えるシステム
トランスミッション8速AT / MT(マニュアル)継続の噂ありピュアなドライビングプレジャーの死守

市場での位置付け:ライバルに対するアドバンテージ

次世代M3は、直6ガソリンの魅力を極限まで高めたモデルを提供する一方、もうひとつの極端な選択肢として「クアッドモーター(4モーター)」を搭載するモンスターEV仕様のM3も同時に開発しています。

ヴァン・ミール氏は「EV版のM3は、直線の加速が速いだけのクルマにはならない。サーキットのラップタイムでもガソリン車を凌駕する、異次元の車両運動力学(ビークルダイナミクス)を見せる」と自信をのぞかせており、つまり、ガソリン車で「軽さと官能性」を極め、EV車で「絶対的な速さと最先端技術」を極めるという、中途半端な妥協を廃したラインナップによってメルセデスAMGやポルシェといったライバルを引き離す構えを見せているわけですね。

BMWのステアリングホイール
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BMW M2の「BMW」バッジ
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結論:時代が変わっても、「Mの進むべき道」はブレない

今回のBMW M社による「次世代M3はハイブリッドにしない」という公式発表は、単に1つのモデルのスペックの話に留まるものではなく、それは環境規制という高い壁に対して「ハイブリッド化によって規制をクリアし、クルマが重くなったぶんは無理やり電気でパワーを盛る」という安易な妥協を拒絶し、内燃機関(エンジン)の効率を極限まで高めたエンジニアリングにて”正面突破”するというBMW Mのプライドの証明です。

最新の特許技術「M Ignite」を引っ提げ、サーキットでの圧倒的なタフさと官能的な吹け上がりを守り抜く直6ガソリンモデル。そして、未だ誰も体感したことのない異次元のコーナリング性能を目指すノイエ・クラッセEVモデル。

2つの極端(Extreme)なキャラクターへと分離することでM3は次の時代も「ドライバーズカーの絶対王者」の座を譲る気はないように見え、エコや電動化の波にちょっぴり寂しさを感じていたスポーツカーファンにとって、これほど胸が熱くなり、信頼を寄せたくなる決断はないのかもしれません。

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参照:Piston Heads

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