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マセラティ「誰も静かで快適なスーパーカーを求めてはいなかったようです」。大排気量V8と「本物のマニュアルトランスミッション」の復活を検討中

マセラティ MC PURA Cielo(プーラ・チェロ)のホイールとブレーキ
Life in the FAST LANE

| マセラティが挑む超限定アナログスーパーカーの逆襲 |

マセラティはやはり「メジャー」から「ニッチ」へとその方向性を変更すべきであろう

「静かで速いだけでは、スーパーカーの熱狂は生まれない」――世界中のハイエンドオーナーからの熱い声を受け、イタリアの老舗ブランド「マセラティ(Maserati)」が大きな戦略転換を見せているとの報道。

同社は独自開発のV6ツインターボ「Nettuno(ネットゥーノ)」エンジンへの集約と電動化を進めてきましたが、ここにきて伝説の「V8パワー」と「3ペダル・マニュアルトランスミッション」を復活させるという構想が浮上した、と伝えられています。

マセラティのチーフエンジニアであるダヴィデ・ダネシン(Davide Danesin)氏の証言をもとに、この伝統回帰の裏にある真意、そして同社が目指す「アナログな官能性」の未来について考えてみましょう。

この記事の要点(3行まとめ)

  • V8エンジンの復活を技術検討:全ラインナップのV6化(Nettuno)やEV転換を進めていたマセラティだが、V8エンジンの限定復刻に向けたフィジビリティスタディ(実現可能性調査)を完了。
  • 本物の「3ペダル機械式マニュアル」:フェラーリなどの電子制御擬装マニュアルとは一線を画し、エンジンの振動や手応えが直接伝わる純粋な機械式MTの搭載を計画。
  • 超限定コーチビルド「BottegaFuoriserie」で展開:量産車ではなく、アルファロメオとの共同プロジェクト部門から数百〜数千万円級のプレミアムを誇るコレクターズモデルとして登場する見通し。
マセラティ MCプーラのステアリングホイール
Life in the FAST LANE.

なぜ今、マセラティはV8とマニュアルMTの再投入を狙うのか?

1. 「性能」ではなく「エモーショナルな感覚」としてのV8

マセラティはフェラーリからのV8エンジン供給が終了した2024年以降、自社製のF1技術を応用したV6「Nettuno」エンジンをフラッグシップの柱として据えてきたという歴史があり、しかしダヴィデ・ダネシン氏はオーストラリアの自動車メディア『Carsales』の取材に対し、V8エンジンの復活について「個人的な意見としては『YES』だ。V8エンジンは復活する可能性がある」と明言することに。

「現在のV6でも性能面で不足を感じることはない。しかし、特定のクルマに相応しいV8特有のフィーリングや認知(Perception)の価値が見直されている」と語っており、市場で大排気量マルチシリンダーへの需要が再び高まっていることを認めています。

現在、マセラティが属するステランティス(Stellantis)グループが持つ大型V8「HEMI」エンジンはマセラティ各モデルの車体骨格(Giorgioプラットフォームの進化型)に収まらないため、マセラティがV8を再採用する場合は、新たな自社開発または外部サプライヤーからの新調達が必要となり、もしかすると「フェラーリからの供給」が限定的に復活する可能性があるのかもしれません。

マセラティのV8エンジン
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2. フェラーリの「擬似マニュアル」とは異なる、本物の機械式MTへのこだわり

V8復活と並んで大きな注目を集めているのが「3ペダル・マニュアルトランスミッション」の採用検討で、近年のスーパーカー業界ではマニュアル・トランスミッションそのものが姿を消しつつあり、フェラーリが発表した「12Cilindri Manuale(12チリンドリ・マニュアル)」のように、オートマチックトランスミッションをベースに電子制御でクラッチ操作やシフト感を再現する「バイワイヤ式マニュアル」が話題を呼んでいるという状況です。

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しかし、マセラティはこのトレンドとは相反する動きを取ると見え、ダヴィデ・ダネシン氏は「電子的な制御ではなく、20〜30年前のようなダイレクトな機械式リンケージを備えた本物のマニュアル トランスミッションを目指す」とも宣言していて、つまりシフトチェンジのスピードや変速タイムでATに劣ることは承知の上で、シフトレバーから伝わるエンジンの脈動や機械的なフィーリングこそが「愛好家にとって代えがたい価値になる」と強調しているわけですね。

マセラティ主要モデルのパワートレイン現況と「V8 / MT」復刻構想

そこで現在マセラティが展開する主要モデルのパワートレイン構成、そして将来的に「V8」や「マニュアルMT」の搭載が期待される限定車プロジェクトの比較は以下の通りとなっていて・・・。

マセラティのパワートレイン構成と限定車構想

車種 / プロジェクト現行のパワートレインプラットフォーム / 骨格V8 / MT 搭載の実現可能性と特徴
グラントゥーリズモ / グランカブリオ3.0L V6ツインターボ(ネットゥーノ) / EV(フォルゴーレ)アルファロメオ「ジョルジオ」の進化型V8復刻の最有力候補。技術調査ではエンジンルームへのV8収容可能性を確認済み。
MCPura(ミッドシップスーパーカー)3.0L V6ツインターボ(ネットゥーノ)カーボンファイバー・モノコック(アルファロメオ 33 ストラダーレと共有)超軽量ミッドシップ構造。限定モデルとして「V6+純機械式MT」の組み合わせが取り沙汰される。
Grecale(SUV)2.0L 直4 MHEV / 3.0L V6(ネットゥーノ) / EVアルファロメオ「ジョルジオ」の進化型パラレル生産中。V8化の優先度はGT系より低いものの、市場の反響次第で検討対象。
ボッテガ フオーリセリエ(超限定モデル)顧客ビスポーク仕様専用コーチビルド構造V8&機械式MTが搭載される本命プロジェクト。1本15,000〜20,000ユーロ(約250万〜330万円)の高額な専用MTを採用可能。
マセラティ MC プーラのBピラー上の「トライデント」エンブレム
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通常のオートマチック・トランスミッションの製造コストが約3,000ユーロ(約50万円)であるのに対し、超小ロット生産の純機械式MTはその数倍のコストがかかりるものの、超高価格帯のコレクターズカーであれば十分にビジネスケースが成り立つと分析されているとされ、これはもともとの生産台数が小さいマセラティならでは(会社の規模=維持費用も小さい)、そして「今の状況ではジリ貧を招くだけであり、なんらかの他社にない武器を手に入れねばならない」マセラティならではの判断なのかもしれません(ある程度の規模があり、さほど危機にひんしていなければ、このリスクを踏むことはできない)。

知っておくべき関連知識:機械式腕時計の価値と「ボッテガ フオーリセリエ」の役割

自動車業界の最新トレンドをより深掘りできるよう、この背景にある重要な2つのトピックスを提示してみると・・・

1. 高級スポーツカーにおける「機械式腕時計(高級クォーツ vs ゼンマイ)」理論

現代のハイパーカーにおいて、0-100km/h加速や変速スピードなどの「数値性能」では、電動化(EV)やデュアルクラッチ(DCT)が圧倒的なアドバンテージを持っているのは周知の通り。

しかし、エンジニアであるダネシン氏が例え話として挙げたのが「機械式腕時計」の存在で、時刻の正確さや製造コストの面では最新のスマートウォッチやクォーツ時計が(圧倒的に)優れていますが、複雑な歯車が噛み合う機械式時計には職人技と希少性による絶大な価値(資産価値やロマン)が存在し、マセラティは、あえて効率を捨てた「3ペダルMT」や「V8サウンド」こそに、これと同様の普遍的価値を見出しているというわけですね。

マセラティのキー(レヴァンテ)
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2. アルファロメオとの共同プロジェクト「BottegaFuoriserie」とは?

マセラティとアルファロメオは、超限定生産(フューオフ/Few-off)やビスポーク(カスタムメイド)を専門に手掛ける新たな工房「BottegaFuoriserie(ボッテガ・フオーリセリエ)」を立ち上げたばかり。

アルファロメオ「33 ストラダーレ」の成功に続き、この新部門こそが「V8エンジン」や「純機械式MT」を備えた限定スーパーカーを世に送り出す舞台となり、大量生産モデルのように、環境規制やコスト制約に縛られない特別枠を設けることにより、エンスージアストが求める究極のアナログマシンを実現しようとしているのだと考えることが可能です。

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結論

マセラティが検討を進める「V8エンジン」と「純機械式マニュアルトランスミッション」の復活はスペック数値や効率ばかりが追求される現代の自動車業界に対するひとつの鮮烈なアンチテーゼとも言えるもの。

「速さ」ではなく「手応え」、「静寂」ではなく「官能的な咆哮」を求めるドライバーが存在する限り、伝統のアナログ技術は姿を変えて生き残り続けることとなり、イタリアの名門が解き放つであろう”魂を揺さぶる超限定ハイパーカーの正式発表”に世界中の自動車ファンが期待を寄せているというのが現在の状況です。

まだまだその実現可能性についてはわからないものの、マセラティが生き残る道は「伝統の追求」「ライバルメーカーがやらないことへの挑戦」しかないのだとも考えており、そしてそれを一番よく理解しているのは(今回のコメントを見る限り)マセラティ自身なのかもしれませんね。

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参照:CARSCOOPS

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