
| ロードスターとグリーンとは切っても切れない関係にある |
今回の「ジンクグリーンメタリック」はこれまでのグリーンとは異なる、都会的な雰囲気を持っている
「ロードスターにグリーンが戻ってきた」
2026年、マツダがロードスターの改良に伴い新色「ジンクグリーンメタリック」を設定し、これは一見すると「単なるボディカラーの追加」のようにも思われ、しかしロードスターとグリーンの関係を過去まで遡ってみると、今回の新色にはかなり興味深い意味があることがわかります。
さらに同時に設定された特別仕様車「PS(Pure Sport)」はRAYS製鍛造ホイール、Brembo製ブレーキ、ビルシュタイン製ダンパーなどを装備しており、ロードスターの原点ともいえる「軽さ」と「人馬一体」を改めて強調するモデルとなっていて、つまり今回の改良は11年目の定期的な改良という域にとどまらず、「ロードスターらしさとは何なのか」を「グリーンという色と、PSという走りのモデルの両面から」再定義したものだとも捉えています(そして次世代ロードスターはこうなる、という布石なのかもしれない)。

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この記事の要約
- マツダ・ロードスターと「グリーン」との関係
- マツダはヘリテージを重視するが「単純なリバイバル」は行わない
- ジンクグリーンメタリックはどうやって誕生したのか
- 新グレード「PS」に込められた開発陣の思いとは
ロードスターにとって「グリーン」は特別な色だった
ロードスターの歴史は1989年に始まっており、このときシカゴ モーターショーにて展示されたのは「レッド」、そしてこれはのちのアイコニックSPにも反映されたカラーです。
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そしてロードスターとグリーンとの関係性をを語るうえで忘れてはいけないのが1991年に登場した「Vスペシャル」で、このVスペシャルはタンカラーの内装やウッドステアリングなど、クラシックな英国製ロードスターを思わせる雰囲気を持ったモデルでもあり、そしてそのイメージを象徴したボディカラーが「ネオグリーン」。
ブリティッシュレーシンググリーンを連想させる深い色味を持ち、これはロードスターのクラシカルなスタイルと非常によくマッチしたわけですが、ある意味では「ロードスター=英国的なライトウェイトスポーツ」というイメージを決定づけたカラーのひとつであるとも捉えられ、つまり「色という範疇を超えた、一つのアイコン」であると考えることも可能です。
NB、NCにも受け継がれた「ロードスターの緑」
2代目NB型では、グリーン系カラーがさらに発展し、代表的なのが以下のグリーン。
- グレースグリーンマイカ
- スプラッシュグリーンマイカ
- ノルディックグリーンマイカ
なかでもグレースグリーンマイカはNBロードスターを象徴するカラーのひとつでもあり、VSグレードのイメージカラーとしても使用され、NBロードスターだとグリーンは「英国的なクラシックさ」を残しつつ、NA世代のネオグリーンよりも”メタリックによる現代的な表情”へと進化していったというわけですね。
さらに3代目NC型にもグリーン系カラーが存在し、NA → NB → NCとロードスターにはグリーンの系譜が受け継がれていたものの、2015年に登場したND型ではこの流れが途切れることに。
NDロードスターには「グリーン」がなかった
現行4代目NDロードスターは2015年に登場して以来、10年以上にわたって進化を続けており、その間には以下のような新色が次々設定されることに。
- ソウルレッドクリスタルメタリック
- マシーングレープレミアムメタリック
- エアログレーメタリック
- ディープクリスタルブルーマイカ
- スノーフレイクホワイトパールマイカ
- ジェットブラックマイカ
しかしなぜかグリーン系だけが存在せず、マツダ自身も今回のジンクグリーンメタリックについて以下のように説明しています。
「ロードスターとしては十数年ぶり、4代目(ND)には初のグリーン系ボディカラー」
つまるところ、2026年のジンクグリーンメタリックは、ロードスターの歴史から一度途切れていた色を、11年目のNDに復活させた「ボディカラー」ということになり、いかに今回の「グリーン」が重要な意味を持つかがわかろうというものですね。

なぜマツダは今、グリーンを復活させたのか?
そこで気になるのが「なぜ今」なのか。
ここにはNDロードスターの長いモデルライフが関係しており、ND型は2026年で登場から11年目を迎えます。
マツダのデザイナーは、2026年を迎えるにあたり「11年目にどんな新しい価値を表現するか」が課題だったと説明していて、デザイン担当者自身がロードスターオーナーとなり、軽井沢ミーティングなどを通じてユーザーの熱量を体感したことについても触れています。
そこで目を付けたのが、ロードスターの歴史の中で、ユーザーの記憶に強く残っている「グリーン」であり、しかしここで昔のネオグリーンをそのまま復活させるという安易な選択は(マツダだけに)行わず、「ボディカラーもデザインの一部である」と考えるマツダのデザイナーが新しく考え出したのがこの「ジンクグリーンメタリック」であったというわけですね。

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ジンクグリーンメタリックは「ブリティッシュレーシンググリーン」ではない
そして今回の新色を実際に見て思ったのが「意外と”グリーン”じゃない」。
それもそのはずで、ジンクグリーンメタリックの着想源となったのは「ジンククロメートプライマー」という工業製品や設備などの防錆処理に使われる下地塗料だと説明されており、マツダはそこから以下の要素を表現しようとしてたのだそう。
タフさ
合理的な機能美
無骨さ
都会的な洗練

つまり、
昔のロードスター=英国的なグリーン
に対して、
新しいロードスター=工業的でモダンなグリーン
を表現しようとした、ということに。

「自然」と「都市」の両方に似合うグリーン
ジンクグリーンメタリックの面白いところは、完全なクラシックカラーを狙っていないことで、マツダによれば、グリーンの彩度を維持しながらも「ロードスターが重く見えないよう明度・彩度を調整した」。
さらに少量のブルーマイカを加えることで、青みを感じさせるクールな印象に仕上げていて、その結果として「森の中では自然に馴染み、都会ではメカニカルな存在感を放つ」、そんな色となっています。※マツダ自身も「大自然の風景にも都市の景観にも美しく調和しながら、確かな存在感を放つタフさと洗練」を狙ったとしています。

そして「ジンクグリーン×タン内装」が面白い
ただし、今回のグリーンは過去との関係を完全に断ち切ったわけではなく、ジンクグリーンメタリックは、スポーツタン内装のVセレクションなどでも選択可能で、これは歴代ロードスターの「グリーン × タン」という伝統を現代に引き継いだものと考えられます。
一方、マツダがデザイナーが「一押し」としているのが、今回新設定された「PS」グレードとの組み合わせで・・・。
新グレード「PS」は何が特別なのか?
PSはPure Sport(ピュアスポーツ)を意味する特別仕様車であり、マツダによれば、MAZDA SPIRIT RACING ROADSTERで培った技術や知見を量産ロードスターへフィードバックし、ロードスター本来の「人馬一体」の走りをさらに高めたモデル。
ベースとなるのは1.5LのSKYACTIV-G、そしてトランスミッションは6速MTのみ、車両本体価格は366万3,000円で、現行ロードスターのラインアップではS Special PackageとRSの間に位置する価格帯です。

ただ、このPSについては「タンレザー」を選択できず、選べるのは「クロス / レガーヌ」カラーはブラックのみ。※レザーを選べないのは軽量性を優先したためだと思われる。レザーの重量は軽くない

そしてエアコンルーバーにはシルバーの加飾、ステアリングホイールにもグレーのステッチが採用されるなど、「シルバー(あるいはグレー)とのコンビネーションが重視され・・・。

そしてトップも「グレー」。

ただ、ドアミラーやホイールなどを「シルバー」とせず、その他の部位も含めてグロスブラックとしたのは、上述の「都会的」「メカニカルな存在感」を重視したがためなのかもしれません。
こういったところを見ても、このジンクグリーンが「新しい解釈にて調合されている」ということがわかろうというものですね。

PSの注目装備は「RAYS+Brembo+Bilstein」
そしてこのPSを象徴するのが「足回り」で・・・
RAYS製鍛造ホイール
16×7JのRAYS製鍛造アルミホイールをブラック塗装で装着(タイヤサイズは195/50R16)し、ホイールには誇らしげに「FOGID」「MADE IN JAPAN」の刻印も。

Brembo製ブレーキ
フロントには「Brembo製ベンチレーテッドディスク+対向4ピストンキャリパーを採用し、キャリパーは(やはり)シルバー塗装となっています(レッドではなくシルバー、というところにデザイナーの信念が見られる)。

Bilstein製ダンパー
さらにビルシュタイン製ダンパーとフロントサスタワーバーを装備していて、これだけを見ると「RSの上位版なのでは」と思いたくなるものの、実際には少し違っており・・・。
PSは「豪華なロードスター」ではなく「軽いロードスターを楽しむ」
RSはアルカンターラ/ナッパレザーなどを用いた、より上質でスポーティなグレード。
対してPSは、ブラックとシルバーを基調にした、機能性を前面に出した仕様となっています。

ソフトトップもグレー。
ホイールはブラック。
ブレーキキャリパーはシルバー。
インテリアもブラックを基本として、シルバーのアクセントを入れている。
つまりPSは、「豪華にする」のではなく、「クラシックでもなく」、「新しい時代へと向かう現代的なスポーツカー」という方向なのだと考えられるわけですね。
「グリーン」と「PS」は実は同じ方向を向いている
ここまで見てくると、2026年のロードスターの商品改良には一本の線が見えてくるかのようで・・・。
ジンクグリーンメタリック
→ 歴代ロードスターのグリーンを現代的に再解釈、しかし過去ではなく未来を見ている
PS
→ 初代から続くライトウェイトスポーツの思想を現代的に再解釈。環境規制、電動化などでどんどんスポーツカーが重くなる現在、「今しかできない」究極の軽量性を追求

つまりマツダは今回、「昔に戻った」のでははく、むしろ「ロードスターの原点を2026年の価値観で作り直し、未来へと向かおうとしている」のだと考えられます。
そして「次期ロードスター(NE)」のウワサが取り沙汰される昨今ではありますが、マツダの中ではすでに方向性が決まっていて、そのプレビューとしてこのジンクグリーンメタリックが考えられた可能性もあるのでは、とぼくは推測しています。
「グリーン=懐古」ではないところが重要
もしマツダが今回、昔のネオグリーンをそのまま復活させていたら、それは単純な「ヘリテージカラー」だったのですが、上述の通りジンクグリーンメタリックは「違い」ます。※マツダはヘリテージを重要視する会社ではあるが、ドンズバでのリバイバルは行わず、必ずどこかに手を加えている
工業製品から着想を得て、青みを加え、現代的なメタリック表現を取り入れていて、これはNAのネオグリーンを復刻した色ではなく、NAの精神をNDの時代に翻訳した色なのだと思われ、同じことがPSにもあてはまり、RAYS、Brembo、Bilsteinという現代のスポーツカーに相応しい装備を使いながら、1.5Lエンジンと16インチタイヤによって「軽さ」を守る。

もちろんこの組み合わせは、従来の「英国製スポーツカー的なロードスター」とも異なるもので、もっと無機質で、もっと現代的で、そして少し無骨。
「速いクルマ」ではなく、「操ることが楽しいクルマ」。
2026年のロードスターにグリーンが戻ってきた理由を考えてみると様々なことに思いを馳せてしまったりするのですが、それこそが「マツダの狙い」でもあり、ボディカラーを重要視するマツダが伝えたかったことなのかもしれません。
そしてジンクグリーンメタリックは、ロードスターの過去を振り返るための色ではなく、これからのロードスターを象徴する新しいグリーンということになり、デザイナーの意図を汲むならば「ぜひ選ぶべき」カラーということになりそうですね。
参考までに、ロードスターはぼくにとって「初代からずっとお気に入り」のクルマではあるのですが、なぜか今に至るまで所有したことがないクルマです(いずれの世代も運転経験はある)。
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