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米での新車平均価格は約800万円に高騰。新車購入者の55%が上位所得者(20%)にて占められ中間層が置き去りにされる「格差拡大」が問題に

北米仕様のトヨタ カムリ(グレー)
Toyota

| かねてよりアメリカではこの問題が顕在化し話題となっていたが |

そしてこの傾向は加速こそすれ落ち着くことはないであろう

生活コストの増大と物価高騰が続くなか、アメリカにおける「新車購入のハードルの高さ」が富裕層と中間層の格差を如実に象徴するテーマとしてクローズアップされることに。

かつて中間層の象徴であった「新車を所有する」という夢が、いまや一部の高所得層だけの贅沢へと変わりつつあるという現実が浮き彫りとなっており、自動車研究センター(CAR:Center for Automotive Research)が発表した最新データをもとに、なぜアメリカの新車市場から中間層が置き去りにされているのか、その構造的な原因と自動車メーカーの戦略変化について考えてゆきましょう。

ファーウェイの中国車
全世界で「新車価格の格差」が生じる。米国での平均新車価は780万円超、日本は331万円、中国では「150万円以下のEV」がもっとも売れたクルマになる

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この記事の要約

  • 自動車研究センター(CAR)の最新調査によると、2024年のアメリカ新車市場において上位20%の高所得世帯が新車購入総額の55%を占め、中間層の新車購入が困難になる「格差拡大」が進行していることが明らかに
  • 新車の平均取引価格は約50,000ドル(約795万円)に迫る一方、高精度センサーや保険料・金利の高騰が購入後の維持費を押し上げている
  • メーカー側も収益性の高い70,000ドル以上の大型SUVやピックアップトラックへ傾注し、30,000ドル未満の手頃な低価格車を相次いで廃止する動きを強めている

アメリカ新車市場における「中間層の離脱」の概要

自動車研究センターの分析によると、2024年に全米で支出された新車購入金額のうち、実に55%が上位20%の高所得世帯によるものであったことが判明し、これは2019年時点の42%からの大幅上昇となるとともに「過去最高数値」を更新するという内容に。

新車の平均取引価格(ATP)は現在、約50,000ドル(1ドル150円換算で約795万円)付近で高止まりしており、インフレ調整後の車両自体の実質価格上昇率は緩やかであるものの、維持費や関連コストの激増が中間層の家計を直撃しているという情報も。

レクサスRZ 600eのリアエンド
Life in the FAST LANE.

コスト増加の背景・メーカーの動き

こういった状況は、「製造コストの上昇」「車両本体価格の上昇」にとどまらず、複合的なコスト増とメーカーのモデル整理(思惑)によって後押しされており・・・。

  • 維持費(保険料・金利・燃料費)の急騰:現代の自動車には先進運転支援システム(ADAS)用の各種カメラや高精度センサー、複雑なLEDヘッドライトなどの高価な部品が密に組み込まれており、これらによって事故時の修理費用が跳ね上がり、結果として自動車保険料が車両価格以上のペースで高騰することに。高金利や燃料費の負担も重なり、新車維持のトータルコストを引き上げる要因となっている
  • 高価格帯モデルへのシフトと安価なモデルの廃止:自動車メーカーは収益性の低い廉価車から徹底して撤退を図っており、かつて中間層を支えたシボレー・ソニックやマリブ、日産ヴァーサ(Versa)といった手頃なエントリーモデルが全米市場から姿を消してしまい、2025年には、100,000ドル(約1,600万円)を超える高価格モデルの選択肢が、30,000ドル(約480万円)未満の廉価モデルの2倍近く存在する事態に
  • 25,000ドル未満の市場縮小:調査によれば、2025年時点で25,000ドル未満の新車販売割合は全米全体のわずか2%未満に低下。これは95,000ドル以上の超高級車の販売割合よりも低い水準となっている
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Ford
項目アメリカ新車市場の格差拡大(主な指標・変化)
高所得層(上位20%)の新車購入シェア55%(2019年の42%から大幅増加)
平均新車取引価格(ATP)約 50,000 ドル(約 795 万円)
低価格帯モデルの現状25,000ドル未満の車種が全体販売の2%未満に激減
車両以外の主な負担増要因自動車保険料の高騰、ローン金利の上昇、修理費増加
生産・製品トレンド70,000ドル超の大型SUV・トラック増、廉価セダンの相次ぐ生産終了
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競合比較・市場での位置付け

現在の状況は非常に特殊であるとも認識していて、というのも問題は「貧富の差」というよりは、「高いクルマがよく売れる」というところにあるように思われ、もし不景気でクルマが売れないのであれば、各自動車メーカーは「より安価な」クルマを作ってなんとか売上を稼ごうとするものの、現在は「高くてもクルマが売れる」ために安いクルマを作っている場合ではなく、各自動車メーカー共に「より高いクルマ」へとシフトしているという状況。

かくしてアメリカの自動車市場全体が富裕層向けに高収益な大型車を売るビジネスモデルへ完全にシフトしており、中間層が「完全に無視」されているということになりそうです。

トヨタ・ハイラックスのエクステリア〜ヘッドライト
Life in the FAST LANE
  • 「K字型」自動車経済の鮮明化:富裕層向けには豪華装備満載のフルサイズピックアップトラックや3列シートSUV(70,000ドル〜)が好調な売れ行きを見せる一方、平均的な所得の中間層は新車市場から弾き出され、走行距離の多い中古車市場へと流出するか、超長期の自動車ローンを組まざるを得ない状況に追い込まれている
  • メーカー側の事情と輸入関税・製造コストの重圧:メーカー側も原材料費や人件費の上昇、さらに関税(タリフ)のプレッシャーに直面。利益率の薄いエントリーモデルでは採算が合わず、限られた製造キャパシティを利益率の高い高級モデルへ集中させる戦略をとらざるを得ない実情がある

補足情報

今回のデータや市場動向からは、新車所有という概念の変化と長期的な影響が見えてくるかのようで・・・。

  • 住宅費や医療費など「他生活費」の圧迫:自動車価格の上昇以上に、過去20年間で住宅費、医療費、育児費用などの生活必需コストが急増中。家計に占める固定費の割合が増えたことで、実質的に「新車に回せる予算」そのものが中間層から奪われているという実態がある
  • 中古車市場への圧力波及:中間層が新車を買えずに手元の車両を長く乗り続ける(全米の平均車齢は13年近くに長期化)ことで、良好な状態の良質中古車の供給が減少し、結果として中古車価格や維持費までもが高止まりするという悪循環が生じている
テスラ・モデル3のテールエンド
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結論

「新車を買って所有する」というアメリカの伝統的な中間層のライフスタイルは、いまや一部の富裕層だけに許された贅沢(ラグジュアリー)へと変わりつつあるというのが直近の状況です。

大幅な所得向上や住宅・保険などの固定コストの是正が起きない限り、自動車市場における「K字型」の格差拡大トレンドが反転することは容易ではなく、大衆の手に届く手頃なモビリティをどう確保していくのか、自動車産業と社会全体に大きな課題が突きつけられているというのが今の状況なのかもしれません。

そして、かつてトランプ大統領が言及したように「日本の軽自動車規格に相当する、安価なカテゴリ」を設けるのの一つの手段なのかもしれず、また「どうせその価格帯に新車が存在しないのであれば」かつて日米欧の自動車メーカーが提供していた「普及価格帯」に限り中国車の導入を許すのもまた解決策なのでは、と考えたりします。

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参照:Center for Automotive Research, CARBUZZ

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