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さよならスバル伝統の「ボクサーエンジン」。規制によって欧州市場ではついに「60年の歴史に幕」。2027年までに全車EV化を決定

スバルのボクサーエンジン
Subaru

| 幸いなことに「他の市場では」今後も継続の見込み |

「規制」は次々と自動車業界の歴史からアイコンを消滅させてしまう

スバルの代名詞として、世界中のファンから愛され続けてきた「水平対向(ボクサー)エンジン」。

1966年に発売された「スバル1000」に977cc(55馬力)の水平対向4気筒が搭載されてから、2026年でちょうど60周年の節目を迎えることとなっています。

しかし、この記念すべき年に、ファンにとって非常に切ないニュースが報じられ、それはスバルが「厳しい環境規制への対応を理由に、欧州市場における内燃機関(ガソリン車・ハイブリッド車)の販売を2027年末までに完全に終了する」という決定を下したこと。

WRC(世界ラリー選手権)での栄光など、欧州のモータースポーツファンとも強い絆で結ばれてきたスバルのボクサーエンジンがなぜ欧州で歴史の幕を下ろすことになったのか。その詳細と今後の展開について見てみましょう。

スバルのキー
Life in the FAST LANE.

この記事の要約

  • 1966年の「スバル1000」搭載から60周年を迎えたスバル伝統の水平対向(ボクサー)エンジンが、欧州市場において2027年末までに販売を終了することが判明
  • 背景には2027年11月から適用される欧州の厳格な「ユーロ7」排出ガス規制があり、アウトバックを筆頭にフォレスター、クロストレック、インプレッサ(e-BOXER含む)が順次撤退
  • 欧州でのガソリン車・ハイブリッド車の撤退後は「ソルテラ」等の電気自動車(EV)専業へと移行する一方、米国など需要が強い主要市場では内燃機関やハイブリッドの展開を維持

スバル「欧州での内燃機関撤退・全車EV化」の概要

スバル・ジャーマニーが独「Auto Motor und Sport」誌等に認めた情報によると、スバルは遅くとも2027年末までに、欧州市場で販売する内燃機関(ICE)搭載モデルの販売をすべて取りやめることとなるもよう。

撤退は段階的に進められる計画で、まずは「アウトバック」が2026年末までに欧州市場から姿を消し、続く2027年中には「フォレスター」「クロストレック」「インプレッサ」が販売終了となり、これにはマイルドハイブリッド機構を備えた「e-BOXER」モデルも含まれます。

この決断の最大の要因となったのは、2027年11月から欧州で販売されるすべての新車に適用される新たな排出ガス規制「ユーロ7(Euro 7)」で、これはマツダが欧州向け「ロードスター」の2.0Lモデルの販売を終了するのと同様の理由であり、環境規制への適合コストが大きな壁となっているというわけですね。

スバルの水平対向エンジン
Life in the FAST LANE.

パワートレインの市場別比較

欧州市場での撤退が進む一方、北米などの主要市場では、パワートレイン戦略や市場規模に明確な違いが存在し・・・。

  • 欧州市場:完全EVブランドへの移行:内燃機関モデルの撤退後、スバルの欧州ラインナップは「ソルテラ(Solterra)」に加え、「アンチャーテッド(Uncharted)」や「E-アウトバック(E-Outback)」といったEVモデルのみで構成されることに。なお、米国で販売されているフルハイブリッド(ストロングハイブリッド)仕様のクロストレックやフォレスターを欧州へ投入する計画は現時点でないとされている
  • 欧州におけるスバルの販売規模ドイツ連邦自動車交通局(KBA)のデータによると、2025年におけるスバルのドイツ国内販売台数は3,978台(2024年は4,510台)にとどまっていて、VWが同年に約56万台を販売していることと比較しても、非常に限られたシェアであり、莫大な投資を行ってユーロ7に対応させるコスト対効果が見合わないという判断
  • 米国市場におけるガソリン車・ハイブリッド車の根強い人気:対照的に、巨大市場である米国においてスバルのガソリン車やハイブリッド車は絶大な人気を誇っており、2026年9月までの実績で「フォレスター」単体の米国内販売台数は前年同期比17.6%増の156,476台を記録。全米でのEVシフトが緩やかであることから、米国等では今後もガソリン車およびハイブリッド車がラインナップの核であり続ける
スバル トレイルシーカーのインテリア〜ステアリングホイール
Life in the FAST LANE.
項目欧州市場(2027年末以降)米国市場(現行〜今後の戦略)
パワートレイン方針100% 電気自動車(EV専業)ガソリン車 / ハイブリッド車 / EVのマルチ展開
主要販売モデルソルテラ / アンチャーテッド / E-アウトバックフォレスター / アウトバック / クロストレック / WRX等
規制の影響ユーロ7(Euro 7)規制によりICE撤退州法や排出ガス基準に応じた柔軟な対応
市場規模の傾向小規模(年間数千台ペース)主力市場(年間60万台以上を維持)

競合比較・市場での位置付け

自動車の電動化を世界に先駆けて主導する(強制する)のが欧州における規制ではありますが、これは大規模な量産メーカーだけでなく、特定市場で小規模展開を行う自動車メーカーのプロダクト戦略にも大きな変革を迫っています。

  • 小規模メーカーにとっての「規制の壁」:VWやステランティスといった欧州ローカルの巨大自動車グループは、膨大な販売台数を背景に欧州専用のEV開発や既存エンジンのユーロ7対応へ資金を投入でき、しかし、スバルのように欧州での販売規模が限られるメーカーにとっては、数千台の販売のために数十億円規模の排ガス適合投資を行うことは合理的な経営判断とは言えない(内燃機関からの撤退しか道が残されていない)
  • 伝統のブランドイメージと現実の摩擦:スバルはWRCでの活躍をはじめ、欧州のモータースポーツファンや、雪道・悪路を走るドライバーから「四輪駆動とボクサーエンジンの信頼性」によって高い評価を得ており、しかしその伝統的なパワートレインが欧州から消えることは、ブランドの歴史において大きな転換点として記録される
スバルのフロントグリル
Life in the FAST LANE.

補足情報

スバルは欧州でのボクサーエンジン撤退を決めたものの、内燃機関自体の技術開発を諦めたわけではなく・・・。

  • 新技術「軽量フリクション低減カムシャフト」の特許:スバルは直近の特許申請において、内部を空洞化させて自由回転するウェイト(重み)を組み込んだ新しいカムシャフトのアイデアを登録済み。エンジンの振動を打ち消しながら軽量化を果たし、タイミングシステムへの負担を軽減するこの新技術は、今後もガソリン車需要が続く地域へ向けた内燃機関のさらなる進化を示唆している
  • EV移行期における「市場ごとの使い分け」:世界一律でEV化を進めるのではなく、「規制が厳しく販売規模の小さい欧州は早期に全車EV化」「ガソリン車需要の強い米国や日本などはハイブリッドやICEを継続」というように、地域ごとの需要と規制に完璧に合わせた「割り切り」のグローバル戦略が明確になっている

結論

誕生から60年という長い歴史を刻んできたスバルの水平対向エンジン。欧州の厳しい環境規制「ユーロ7」の到来によって、2027年までに欧州市場から姿を消すこととなった、というのが今回のニュースです。

かつてラリーの聖地で輝かしい実績を残したボクサーの排気音が欧州の路上から消えるのは非常に寂しい限りではありますが、スバルは欧州においてEVブランドとしての新たな章を開こうとしており、地域ごとに最適なパワートレインを提供するスバルのこれからの挑戦には大きな注目が集まります。

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参照:CARBUZZ, AutoNext, KBA, etc.

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