シャネルの腕時計、J12を購入。
ブラックセラミック、3針の38ミリモデルです。
昨年辺りからぼくのなかで急激にJ12の評価が高まっており、この度ようやく機会が訪れて購入となったわけですが、セラミックの輝きは素晴らしいとしか言いようがありません。
J12はレギュラーモデルでホワイトセラミック、ブラックセラミック、クロマティック、ブラックマットセラミックが揃いますが、色々と試着した中ではブラックセラミックがもっともしっくり来るようです。
このセラミックのブラックモデルは単に「黒光りする」だけではなく、透明感や、メタリックな印象も受ける不思議な輝き。
非常に妖しい光沢を放ちますが、これは他のどのメーカーでも再現できない技術と言えますね。
もし再現できたとしても確実に「シャネルの真似」と言われるであろうことは想像に難くなく、その意味でも「シャネルが排他性を持つ」素材/構造と考えてよいでしょう。
インデックスはプリントではなく立体構造で、時針の回転する円周は周囲より一段下がり、そして外周にはメッキが施されるなどかなり凝ったつくり。
文字盤の外側はすり鉢状に盛り上がっており(これは2009年頃に追加された仕様)、奥行きも感じられるデザインですね。
ベゼルのセラミックとステンレスとの境界、ベゼル状の文字(エンボス)精度も申し分なく、高い加工技術も感じられます。
ちなみにこの腕時計は自動巻きですが、ローターが回転する際の音やフリクションは感じられず、その意味では巻き上げ機構に関しても非常に高い精度を持っていると言えますね。
なおバックルはバネ式で爪を使わずに開閉可能。
これはシャネルらしい配慮で、「マニュキュアやネイルアートを傷めることなく」開閉できるための構造だと言われています。
この部分の精度も非常に高く、操作するたびに満足感が得られるところ。
今回はクロノグラフの購入も考えましたが、シャネルのシンプルなデザインが活きているのは3針モデルだと考え、(価格的な理由も大きいですが)スタンダードなモデルを選択。
ケース直径は38ミリと今の時代では小ぶりと言えますが、シャネルは3針モデルでブラックセラミックだと38ミリしか展開していない(GMT/クロノグラフは41ミリ、マットだと42ミリはある)ので、このサイズがベスト、と考えているのでしょうね。
なおロレックス・エクスプローラーIIは16570から216570へとモデルチェンジするにあたりケース径が42ミリへ拡大されていますが、実際に先代と現行の両モデルを並べてみると針が太く、インデックスが大型化されたにもかかわらず現行モデルは「間延びした」印象があることも否めません。
よってシャネルも「大型化によるデザインの破綻」を懸念して38ミリをメインに据えているのかもしれませんね。
このJ12はシャネルというデザイン優先のブランド、そしてデザイナーによって作られたということが大きな意味を持ち、レディースだと例のチェーンブレスレットや香水のビンのようなケースを持つ「プルミエール」のように、腕時計で業界で重視されるムーブメントよりも「デザインありき」で作られていることが特徴。
ムーブメントは自社製とされますが詳細は不明で、そのために「機械式腕時計」としての評価はけして高くなく、腕時計というよりはブレスレットのようなファッションアイテムとして捉えられていると考えても良さそうです。
そのあたり(デザイン優先)はベル&ロスとよく似ており、そのために両者とも中古市場ではかなりお買い得な設定となっていますね。
J12について、素材は前述のようにセラミックですが、これは「業界初」。
シャネルとしては傷つかない素材を使用することで「永遠」を表現したとのことですが、実際は傷や汚れは付着する模様。
またJ12特有というわけではありませんが、ブレスレットの「伸び」もあるようですね。
かつ、素材上同しようもないのですが、ケースバックがややチープな印象を与えるのも事実(スクリューバックは成形上の誤差を考えると無理だったか。最初にJ12を見た時に一番驚いたのはこのケースバックの安物っぽさ)。
しかしながらそういった点を差し引いてもシャネルのイメージカラー「ブラックとホワイト」で統一されたシンプルかつ力強いデザイン(”CHANEL"のロゴ同様)、かつ他メゾンでは持ち得ない輝きを持っているというところは魅力として非常に高く、腕時計の歴史を語る上でも「外せない一本」ではないかとぼくは考えるのですね。
また実際に着用することを考えてもフォーマルからカジュアルまで幅広くカバーし、両方の場合においてもしっかり主張するので、見た目のコストパフォーマンスも高いと考えられます。
とくにカジュアルな服装の場合はこれ一本でぐっと雰囲気が締まることも考えられ、使い勝手の良い一本と言えるでしょう。
現在までに様々な素材の腕時計を購入してきましたが、今回のセラミックは「初」。
あとは素材としてチタン、カーボンのものがあればおおよそぼくの興味を惹くものは揃うと言って良いでしょう。
あと手に入れておきたい腕時計はベル&ロスBR01-92、カリブル・ドゥ・カルティエ・ダイバー、ウブロ・オーシャノグラフィック、ブルガリ・オクト・バイレトロ。
余裕があればロレックス・エクスプローラーII(先代)、オーデマピゲ・ロイヤルオーク・オフショアクロノのカーボンモデルも欲しいところ。