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トヨタが「退屈」を捨てて14年。なぜ豊田章男は世界を熱狂させるスポーツカーブランドへとトヨタを変貌させることに成功したのか

トヨタ GRカローラのリア

| 豊田章男氏の「NO MORE BORING CARS」がすべてを変えた |

かつて、トヨタはなんら特徴がなく「2000GT以外はコレクションに値するクルマがないブランド」と言われたが

かつて2000GTやAE86、スープラで世界の度肝を抜いたトヨタではありますが、21世紀初頭は効率と信頼性を重視する「優等生」へと姿を変えることとなり、カムリやプリウスといった「燃費が良く、壊れず、安価な」実用車で世界を席巻する一方、クルマ好きの間では「トヨタは退屈なブランドになってしまった」と囁かれるようになったのもまた事実。

しかしその流れを完全に断ち切ったのが現会長の豊田章男(モリゾウ)氏であり、彼が発した「二度と退屈な車(Boring cars)は作らない」という強烈なメッセージが現在のGRシリーズへと続く反撃の狼煙となったわけですね。

トヨタ
豊田章男「私は14年かけトヨタとレクサスを退屈なブランドから楽しい車を作るブランドへと変革したが、今それが一瞬にして元の姿に戻るのではという悪夢を恐れている」

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この記事の要約ポイント

  • 暗黒期からの脱却: 実用性重視の10年間を経て、熱狂を取り戻すための大改革を決断
  • FT-1の衝撃: 2014年に発表された「未来のトヨタ」を象徴するコンセプトカーがスープラの火種に
  • BMWとの異例のタッグ: 伝統の直6エンジンを守るため、BMWとの共同開発という戦略的選択
  • GRブランドの確立: GRスープラを筆頭に、GR86、GRヤリス、GRカローラと続く「走りのトヨタ」の完成
GRヤリスのマニュアル・トランスミッション(シフトノブ)


復活の象徴「GRスープラ」誕生の裏側

トヨタが再びスポーツカーの頂点に挑むため、ベンチマークとしたのはポルシェであったといい、しかしその道のりは決して平坦ではなく、ここでその過程を振り返ってみましょう。

1. 魂を揺さぶった「FT-1コンセプト」

まず触れねばならないのは2014年のデトロイトモーターショーで発表された「FT-1」。

2000GTや歴代スープラのDNAを継承し、F1マシンからもインスパイアされたその筋肉質なデザインは、単なるショーモデルにとどまらず「トヨタ・グローバルデザイン」の進むべき道を示す道標(ペースカー)として機能しています。

トヨタのコンセプトカー「FT-1」フロントの画像

Image:Toyota

2. BMWとのパートナーシップという決断

その後トヨタはスープラの復活を計画しますが、「直列6気筒エンジンと後輪駆動」というスープラのアイデンティティを維持するため、トヨタはBMWとの共同開発を選択するわけですね。

この選択は「当時、直6エンジン+FR」というレイアウトを実現できるのはBMWのみであったという事実に由来するそうですが、トヨタとBMWはこのほか「水素」分野においても提携を行っており、話をしやすい間柄であったのだと思われます。

これにより、GRスープラはBMW Z4と基本骨格を共有しつつ、「GAZOO Racing」による独自チューニングを施すことで全く異なる性格のピュアスポーツカーとして世に送り出されることとなっています。

レッドのGRスープラ(フロント)

もちろんここで大きな役割を果たしたのが「Gazoo Racing(ガズー・レーシング)」。

豊田章男氏が立ち上げた中古車検索サービスからレーシングチームへと発展していますが、その後はトヨタ内のサブブランドとして機能するまでに至っており、この「GR」がなければいまの「面白いクルマを作る」トヨタという存在は無かったのだと思われます。

GRヤリスのマニュアル・トランスミッション(シフトノブ)
豊田章男氏はかつてレース参戦時に「トヨタを名乗る」ことを拒否された。当時の「屈辱」が「Gazoo Racing」の立ち上げと独立へ

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市場での位置付け:実用車メーカーからパフォーマンスリーダーへ

そして豊田章男氏はスープラを復活だけにとどまらず、GRブランドの本格立ち上げのきっかけとなったGRスープラを起点とし、その熱量を他ラインナップへと波及させることでGRブランドを拡大し、直近だと「GR GT」へとその構成が展開されることに。

  • GRファミリーの拡大: ラリーの血統を継ぐ「GRヤリス」や、圧倒的なパワーを誇る「GRカローラ」など、かつてのトヨタでは考えられなかった「尖った」モデルを次々と投入
  • エントリー層の獲得: 「GR86」によって、若い世代にも手の届くFRスポーツの楽しさを提供し続ける
  • GR GTの発表:GR GTにてトヨタはポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニなど欧州のスーパースポーツにも比肩しうる存在に
  • ブランドイメージの逆転: 今やトヨタは、世界で最もエキサイティングなスポーツカーをラインナップするブランドの一つとして、競合他社を脅かす存在へ
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結論:トヨタのスポーツカー回帰は「本気」だった

「退屈な車は作らない」という言葉は単なるマーケティング上のスローガンではなく、豊田章男氏という「真のクルマ好き」がトップに立ったことによってエンジニアやデザイナーたちの情熱が解き放たれ、スープラという「光」が生まれたというのが「その真実」。

もし次世代のスープラが完全自社開発で登場すれば、それはトヨタのスポーツカー完全復活という物語の、究極のクライマックスとなるのかもしれません。

レッドのGRスープラ(フロント)


参考:なぜスープラは「伝説」になれたのか?

スープラが単なる車を超えて伝説となった背景には、ゲーム『グランツーリスモ』や映画『ワイルド・スピード』の影響が不可欠であったと考えられており、トヨタのデザイナーたちは、デジタルの世界でこの車を走らせるファンたちの熱量を正確に理解し、それを現実のプロダクト(FT-1、そしてA90)へと昇華させることで伝説を確固たるものへ。

これはデジタルネイティブ世代と伝統的なメーカーが幸福に融合した稀有な例と言え、そして多くの自動車メーカーがデジタルワールドに注力するのもまた、この成功を再現しようとしているからなのかもしれませんね。

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参照:Carbuzz, Toyota, Gazonn Racing

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