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【試乗:シトロエンC3】自動車とは本来こういうものだ。人と車との濃厚な関係を築ける一台

2016/10/01

シトロエンC3に試乗。
C4カクタスがついに発売されるということでシトロエンのディーラーさんと話を進めているところですが、C4カクタスの試乗車はまあ出ないだろうということで日本仕様のC4カクタスと同じエンジン、トランスミッションを積んだC3に試乗させていただけることに。

シトロエンC3のスペックは下記の通り。
2014年のフェイスリフトでエンジンがダウンサイジングされ、現行のスペックとなっているのがトピックです(それに伴い価格も引き下げられている)。

シトロエンC3のスペック
全長/全幅/全高:3955/1730/1530mm
車重:1140kg
駆動方式:FF
エンジン:1.2リッター直3 DOHC 82馬力
トランスミッション:5段AT
価格:199万円〜

外観については前世代デザイン言語となり、すでに新型C3も発表されていますが、円と直線を組み合わせたデザインは今見ても斬新。
可愛らしくもありますが男性が乗っても違和感がないスタイルと言えます。
大きな特徴はルーフへとつながる大きなフロントウインドウ(上下で108度の視界を持つゼニスフロントウインドウ)で、これはむしろ車外より車内から見た方がインパクト大。

早速シトロエンC3に乗り込みますが、やはりゼニスフロントウインドウの視界の広さは特筆もので、これは車に興味がない人でもおそらくは驚くだろうというレベル。
その他各種ピラーが細く、ウインドウ類が広大なので車内は明るく、死角が非常に少ない作りとなっています。

外装と同じく内装においても金属調パーツが多用され、ステアリングホイールもパンチレザーとの組み合わせで価格以上の高級感がありますね(グレードによって異なる)。
ドライビングポジションは結構高めですが、かなり上下の調整幅があり、様々な体型の人にマッチすると思われます。
キーはコンベンショナルな鍵付きで、ドライビングポジション、ミラーを合わせたのちにステアリングコラム右下のシリンダーに差し込んでエンジン始動。

ちなみにエンジンは82馬力ノンターボという、最近ではほとんど見ないほどの非力なエンジン。
これに近いものだとぼくが所有した中では日産パオ(52馬力)がありますが、パオは車重770キロ、そしてこのシトロエンC3は1180キロ。
正直ぼくがシトロエンC4カクタスで懸念しているのは「どのくらい走るのか」ということで、それをこの試乗で確かめたいわけです(C4カクタスの方が100キロくらいC3よりも軽い)。

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その走りを確かめるべく、まずはシフトレバーを「A(オート)」に倒して手動式サイドブレーキを解除していざスタート。
かなり弱めのクリープに任せて発進しますが、シトロエンC3に採用されるトランスミッションは「ETG5」。
これはアルトワークスに採用されるものと同じ「マニュアルトランスミッションのクラッチを自動化したもの」で、古くは初代のルノー・トゥインゴに採用されていたりスマートに採用されていたりしたものと同じです。

自動変速の際はシフトアップの際にちょっとした衝撃と「空白」つまり息継ぎが生じます。
これはトランスミッションの特性上発生しうるもので、ドライバーがある程度の理解を示す必要がある現象。
慣れるとシフトアップの直前にアクセルを抜いて衝撃を和らげるという動作ができるようになりますが、トルコン式ATやデュアルクラッチのように「アクセルペダル踏みっぱなし」で変速すると少し衝撃がある、ということですね。

少し走ってみましたがこれ(衝撃と息継ぎ)はすぐに慣れ、むしろトルコン式ATのように「滑らない」のでダイレクト感が感じられ、むしろ好ましいトランスミッションと言えます。

ダイレクト感というとトランスミッションのほかハンドリング、ブレーキや各レバーについてもそれは同じで、近年の一部ドイツ車のように「ドライバーに伝える情報を制限して(隠して)快適性を増す」といった考え方とは真逆のようで、すべての操作やフィードバックが直接的。
これぞ自動車という感じで操作しているという感覚をダイレクトに感じることができ、思いの外楽しいドライブになったという印象です。

最近の車はペダルもスイッチ式になったりパワーステアリングも電動アシストになったりしていますが、シトロエンC3はアクセルペダルがワイヤー式のように(今時そんなわけはないですが)ダイレクトに反応しますし、ステアリングにおいても非常に応答性が高いと言えます。

少し慣れてきたところでシフトチェンジをオートからパドルに切り替えますが、これは車の印象を一変させるもので、エンジンを回して楽しむという走らせ方が可能に。
つまりMT同様の走りができると言えますが、82馬力というエンジンを思いっきり引っ張ってキビキビ走らせるという村上春樹的な走らせ方はなかなかに痛快。

特にエンジンパワーの不足も感じさせず、なんだ可愛い見かけの割にやるじゃないかというのが正直な印象で、久しぶりにこれほどまでダイレクトな反応を示す車に乗った、という感じですね。
なおパドルを使用してMTのように車を走らせるとシフトチェンジのタイミングを自分でコントロールできるので、衝撃や息継ぎも最小限になり、もしぼくがこの車を購入したらずっとマニュアルモードで走らせるだろう、と思います(実際に同じロボタイズドMTを採用してたランボルギーニ・ガヤルドでは一度もオートモードで走ったことがなかった)。

加えてこのETG5はトルコン式ATのように制御が細かいものではないようで(考え方自体がマニュアル・トランスミッションの延長線上にあるため?)、例えばトルコン式ATだと下り坂では傾斜を察知してシフトダウンしエンジンブレーキをかけたり、登りでもやはりシフトダウンして加速力を保持するという制御が見られるものの、ETG5はそこまではできない模様。
よってきつい傾斜の坂道では人間の手助けが必要ですが、そう言った「考えながら」「車と対話しながら」運転するのもやはり面白いものだ、ということを久々に実感することに。

最近はどの小型車でも高級化して乗り味がおおらかになり(F56ミニに顕著。いいことではありますが)、どっしりとした操作感やターボエンジンによる厚いトルクをもって低回転で走行をするというスタイルが主流ですが、このシトロエンC3はそう言った潮流に真っ向から挑むものであり、「自動車とはこういう乗り物であるべきだ」という忘れかけていた感情を呼び起こすものでもあります。

シトロエンC3は走りを論じる車ではありませんが、さすがWRCに参戦するメーカーでもあり、「走る、曲がる、止まる」のレベルは非常に高いと言って良く、コアなファンが存在するのも納得。

実際の燃費はリッターあたり15キロくらいで、なかなかにいい数字。
より軽量なシトロエンC4カクタスだともうちょっと燃費は良好と思われ、かつ走りもより軽快だと思います。

なお試乗にはBMW i3で訪れましたが、シトロエンC3試乗の帰りには、それまでけっこう軽快だと感じていたi3もちょっと鈍重に感じられ(i3は170馬力)、「走る、曲がる、止まる」に関しても不満に感じられたほどなので、シトロエンC3はかなりのポテンシャルを秘めている、と言えそうですね。

ちなみに10/1時点の中間集計ではシトロエンC4カクタスの予約状況は50%(つまり200台のうち100台が売れている)、とのこと。
10/4にはメディア向けに情報が公開もしくは解禁されますが、そこから一気に動くかもしれませんね。

試乗記について
ランボルギーニ、AMG、アルファロメオ、VW、ジャガー、ベントレー、ルノー、ミニ、フェラーリ、マクラーレン、テスラ、レンジローバー、スズキ、トヨタ、マツダ、スバル、ホンダ、レクサス、メルセデス・ベンツ、BMWなどこれまで試乗してきた車のインプレッション、評価はこちらにまとめています。

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