統計によると、なんとテスラ・モデル3を予約した人の1/3がモデルSを購入している模様。
テスラ・モデル3は「価格が安い」ことが特徴で、モデルSの半分程度の価格で購入できるのが大きな特徴です。
よって、モデル3を予約した人は価格を重要視しているのかと思いきや、その倍程度の価格を持つモデルSを予約後に購入している、という驚愕の事実があるわけですね。
なお、これはモデル3の納車が早くてもあと2年はかかること、そのためテスラが「モデルSの購入を」予約者に勧めているであろうことも考えられますが、それでも簡単に倍の価格差を埋めることができるとは考えにくいのが事実。
しかしながら実際にモデル3を予約した人がモデルSに流れているということを考えると、これは「モデル3を予約することで、テスラに対する帰属意識が発生している」とも考えられます。
要はモデル3の予約によってテスラに愛着を感じるようになった、ということですね。
なおこう言った現象は企業の新卒採用においても見られ、面接の回数が多ければ多いほど、学生はその企業に対して愛着を持つ傾向があるようです。
加えて、多くの回数の面接を「勝ち抜く」ことでその企業に対する忠誠心が増すと言われ、そのために面接の回数を多めにする企業も多数(その方が内定後に辞退が出にくい)。
※オークションにて、一旦入札するとその商品がどうしても欲しくなるのと同じ心理
テスラがこの結果を最初から「目論んで」発売が2年も先のモデル3の予約を開始したのかは不明ですが、もし狙ってやったのだとすれば、やはりイーロン・マスクは相当な切れ者、ということになりますね。
テスラ・モデル3は40万台程度の予約を獲得していますが、実際の納車は2017年から開始の予定であり、この40万台についても到底2017年中には完了しない見込み。
よって予約からはキャンセルも出ているようですが、テスラはなんとかこれをつなぎとめたいようです。
一つはこまめな情報のアップデートで予約者がキャンセルしないようにすることと、もう一つは最近発表されたモデルSの廉価版、「モデルS60」への乗り換え。
後者についてはディーラーから予約者へ連絡を取っているとのことですが、モデル3は35000ドル、一方モデルS60は倍程度の66000ドルなので実際にモデルS60へ変更する顧客は少ないのかもしれません(ですがモデル3はスーパーチャージャー有料、モデルSは無料という差異はある)。
おそらくモデル3の予約台数はテスラにとっても予想以上だったと思われますが、それによって思いがけない宣伝効果をもたらしたとともに、様々な対応を迫られるようになったのかもしれませんね(モデルS60は、モデル3の異常な予約がなければ登場しなかったかもしれない)。
また、考えにくい事態ではありますが、もしモデルS60への乗り換えが順調に進めば、テスラにとっては「思いがけないビジネスチャンス」であったとも言えます。