クロムハーツの限定ライダースジャケットが「ドーバー ストリート マーケット ギンザ」にて販売に。
定番のライダース、「JJ DEAN VJ」をゴールドとシルバーにカスタムしたものですが、1,188,000円、とドゥカティ・スクランブラーが購入できるほどの高価格。
ただしベルト一本だけで40万円もするようなブランドですので、これだけの面積に皮革を使用し、かつバックル類にもシルバーが使用されていることを考えると「安い」のかもしれません。
むしろ、同じく限定にて販売されるウインドブレーカー(下の画像)40,820円のほうが異常に高いように思われ、スナップボタン、コードのストッパーにもシルバーが使用されているとのことですが、これを仮に着ていても「まさかこれが40万円だとは誰も思うまい」という感じです。
クロムハーツはその生産量が極端に少ないことからその価値が向上していることになりますが、これも「需要と供給」とのバランスと言えますね。
なおクロムハーツは皮革製品を扱っていたリチャード・スタークとジョン・バウマン、彫金職人のレナード・カムホートが集まって1988年に作ったブランドであり、「自分たちがほしいと思うもの」を作ったのがその起源。
今でこそこういったゴシック調のシルバーアクセサリーは山のようにありますが、すべての起源はクロムハーツと言って良く、日本ではコムデギャルソンが早々に取扱を開始しています。
その後は(聞いた話ですが)ユナイテッドアローズの社員にやたらクロムハーツに惚れ込んだ人がいて、社内を説き伏せて扱いを開始したということで、その人は「先見の明があった」とも言えますね。
なお、同じルートで聞いたところでは、クロムハーツがヒットした後にはリチャード・スタークとジョン・バウマンは趣味のバイクに没頭して製品を生産しなくなり、一方でビジネスライクなレナード・カムホートと仲違いするようになったということですが(そのためレナード・カムホートは別会社を設立)、とにかく色々な噂が絶えないブランドではあります。
ただ、結果的には一時的にせよ製品を生産しなくなったことでブランド価値が向上した(ちょうど人気絶頂の頃だったので希少性が増し、エキセントリックなブランドというイメージが付いた)のは面白い部分。
重要なのは商業主義的なスタートではなく、「単に自分が欲しいものをコスト度外視で作ったらそれがウケた」というところで、いかにコストを支払ってでも手に入れたいと思わせる製品を作った、それ以前に当時は「高額な費用を支払ってでも欲しいと思わせるものがなかった」というのは一考に値する部分だと思います。
そう考えると、「なんでも買える」ように思える現代ですが、まだまだ潜在的な需要は残っている(まだまだビジネスチャンスはある)のかもしれませんね。