| 結局メルセデス・ベンツとポルシェとは仲がいいのかそうでないのかわからない |
「ポルシェが造ったメルセデス・ベンツ」、500Eがオークションに登場予定。
これはW124世代のEクラスをベースにしたハイパフォーマンスセダンですが、当時AMGはメルセデス・ベンツとは別会社であり(2005年にメルセデス・ベンツが買収して自社のハイパフォーマンスカー部門とした)、現在の常識からすると、「ベンツのハイパフォーマンス版なのにAMGじゃない」「なんでポルシェがベンツを」という感じですよね。
これにはちょっといい話があって、1980年代に経営不振に陥った同郷のポルシェをメルセデス・ベンツは放っておくことができず、「仕事ないならウチの車作る?」という感じで開発を委託したのがこの500E。
ライバルであるのに困っているのを見捨てることができない、というのがメルセデス・ベンツのいいところであり王者の風格とも言える部分です。
なお現在もポルシェとメルセデス・ベンツとの関係は良好で(さすがに開発や生産の委託はもうない)、ポルシェ・ミュージアム、もしくはメルセデス・ベンツ・ミュージアムの入場券を持っていたらもう片方は割引になる、というキャンペーンも。
他にもメルセデス・ベンツはBMWが100周年を迎えた際に「ライバルでいてくれてありがとう」とメッセージを公開するなど、何かと紳士的な対応が光る会社です。
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その辺りは完全に余談ではありますが、この500Eは326馬力を発生する5リッターV8エンジンを搭載し、4つのレカロシートを装備。
フロントトラックはコーナリング性能向上のために大きく拡大され、ブレーキはSLの物を流用している、とされます。
なおこの車の「前半分はポルシェが設計し直した」ともされますが詳細は不明。
ただ、うかつにポルシェに開発を委託してしまったのが運の尽きで、ポルシェが手を抜かずに開発してしまったために「とんでもなく」コストの高い車となり、しかし発売しないわけにもゆかないので売り出したところ、販売実績はわずか10,479台という「失敗作」になってしまった、という逸話も(これが原因で、これ以降はメルセデス・ベンツはポルシェに開発を委託していないのかも)。
ただし車としての評価はもちろん高く、特に当時バブル期まっ只中であった日本での人気は上々で、総生産数の1/3が日本に入ってきたと言われるほど。
日本での人気とは裏腹にアメリカではあまり人気が出ず(アメリカではそもそもはいパフォーマンスカーはクーペでないと、という風潮があるのかも)、しかし今回オークションに出品予定の個体はコンディションも上々で、最高で700万円ほどの値が付くのでは、と言われています。