| ホンダNSXはそれまでのスーパーカーとは「真逆」の考え方を持っていた |
その開発には知られざる逸話が隠れていた
Gazooにて、ホンダNSX(初代)のコンセプトや開発秘話、そのメカニズムにまで踏み込んだコンテンツを公開。
ぼくは一時期本気でNSXを(10年ローンで)購入しようと考えていた時期があり、かなり調べてはいたつもりだったのですが、けっこう知らないこともたくさん記載されており、大変参考になりました。
初代NSXは日本では「フェラーリの真似」「ゴルフバッグを積むために延長したリアオーバーハング(のちに開発担当エンジニアが否定)がスポーツカーとして純粋さを欠く」と言われることもありますが、海外においては「スーパーカーの常識を変えるに十分な存在であった」とされています。
それは本文中にもある、この一節に表されているかもしれません。
NSXは、スーパーカーの概念そのものを変えてしまった。速く走ることができるエキゾチックなクルマは、それまでにも多くのメーカーが作っている。しかしどのモデルもスピード最優先の設計で、乗りこなすには高度なスキルを要するのが常識だった。マシンの性能を引き出すための忍耐は、ドライバーにとっての美徳と考えられていた。
ホンダは従来のスーパーカーが前提としていた条件をすべて取り払うことから開発をスタートさせた。開発責任者の上原 繁は語っている。
「スーパースポーツカーだからといって、ドライバーが我慢する必要はない。われわれはNSXでスポーツカーの近代化を図る」スポーツカーはスパルタンでなければならない。ドライバーは不屈の精神でマシンに立ち向かい、努力を積み重ねて常人には到達できないスピードを手に入れる――広く共有されてきた考え方だ。しかし、それはエンジニアの言い訳にすぎないとホンダは解釈した。F1で飛び抜けた好成績を挙げていた頃で、ドライバーが「乗りやすいクルマでないと速く走れない」と主張するのを知っていた。ならばF1マシンを2シーターにしてエアコンを付ければいい、と上原は考えたのだ。
高級車が「(初代)レクサスLS登場前と後」に別れるように、スーパーカーにおいても「NSX登場前と後」では大きくその概念が変化していると言っても良い存在ですが、NSXが発表/登場した1989-1990年には「マツダ・ロードスター」「日産スカイライン(R32)GT-R」と、自動車の歴史を変えてしまうほどの名車が登場しており、日本の自動車メーカーにとっては「黄金時代」だったと言えるかもしれません。
話をNSXに戻すと、当事はやはり「乗りにくい車をスキルでねじ伏せてこそ漢(おとこ)」「乗りやすいスポーツカーはスポーツカーではない」という風潮があり、スポーツカー自体が非常に排他的で、かつ鍛錬を要する「高尚な」乗り物であるべき、と考えられていた時代でもありますね(スポーツカーはMTで乗るべき、という考え方も一部はここから来ていると思う。MTで乗るべき理由は別にもあるのですが)。
開発にあたってはFF、4WD、FRレイアウトも検討されたとのことで、ターボを採用しなかった理由、アルミボディを採用した理由もここでは語られており、こういった開発段階のストーリーはなかなか目にする機会がなかったようにも思われ、国産スーパースポーツ好きであれば一読の価値があるコンテンツとなっています。
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