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ハマーEVは「環境に優しい」クルマとなるはずだったが・・・。実際はガソリンエンジン搭載セダンよりも多くのCO2を排出し、環境に負荷をかけるという試算結果

2022/07/12

ハマーEVは「環境に優しい」クルマとなるはずだったが・・・。実際はガソリンエンジン搭載セダンよりも多くのCO2を排出し、環境に負荷をかけるという試算結果

| ハマーEVはあまりに大量の電力を消費し、その分の電力の発電に際して発生するCO2はガソリン車よりも多い |

このまま「パワフルで重い」EVを多くの自動車メーカーが作り続ければ、CO2削減からは大きく後退する可能性も

さて、現在アメリカにてもっとも注目度が高いEVのひとつ、GMCハマーEV。

現在8万台近くの予約を獲得しているといわれ、さらにはなかなか生産が追いつかない状態であるという報道も見られますが、今回非営利団体の調査によって「GMCハマーEVは、EVなのに環境に優しくない」という驚愕の調査結果が公表されることに。

これはいったいどういうことなのかというと、EVが走行するために必要な電力を充電するために供給される電力の60%が(米国では)化石燃料の燃焼によって発電されており、電力網が完全にカーボンフリーになるまでは、EVを走らせるための電力を発電する際に排出される「上流工程排出物」が発生し、そしてハマーEVは大量の電力を消費するので「結果的に石油を大量に燃やしているのと変わらない」のだそう。

GMC」ハマーEVはこれだけCO2を排出する

そこでこの非営利団体が算出した「(仮想)CO2排出量」ですが、シボレー・ボルトEVだと(上述のとおり、60%が化石燃料由来だとすると)1マイルあたりのCO2排出量は約92g。

そしてハマーEVは341gとなり、これはハマーH1の889gと比較すると随分改善しているものの、ガソリンエンジンを搭載するシボレーの代表的なセダン「マリブ」の320gよりも高い数字を示しており、つまり実際のところ、ハマーEVはガソリンエンジン搭載のセダンよりも環境負荷が高いということに。

さらにEVの製造工程においても様々な段階で温室効果ガスが排出されることになり、とくに大きなバッテリーを搭載するEVは、より多くの鉱物を採掘しバッテリーへと加工する必要があり、そのぶんCO2排出量も多くなることを意味します。

加えて電池に使用される鉱物の採掘は環境に大きな影響を与えるだけでなく、多くの電気自動車用バッテリーに使用される重要な鉱物であるコバルトの採掘に関する人権侵害が明らかになっているとおり、社会的にもマイナスの影響を与える可能性が大。

ハマーEV

今後EVにも「効率性」を求める必要が

そしてこの団体によると「ガソリン車のドライバーは、自身の乗るクルマの燃費つまり効率性について十分理解している」と前置きし(たしかにそうだ)、しかし「EVオーナーがその効率性を意識している例は少ない」とも。

これはEVを乗り継いだオーナーがまだ少なく、EVの効率性つまり電費に関して「どれくらいがスタンダード」という基準が示されていないこと、さらに環境保護庁は「EVはCO2を排出しない」と認識していることに起因すると考えてよく、この状態で「仮に(理論上)、ハマーEVが大量に売れると、むしろCO2排出量が増え、環境負荷がかかる」もしくはCO2排出の抑制が予定したよりも進まないわけですね。

よってこの非営利団体としては、環境保護庁は「EVの効率性」についても考慮すべきであり、それをせずにEVの製造・販売を推奨することは危険であると警鐘を鳴らしていて、たしかにそれは「一理ある」とも思います。※すべてのEVが環境に与える不可は同じではなく、EVの中でもなんらかのランク付けを行うべきなのかも

なお、ハマーEVは「GMのEVに対する取り組み」「GMのEVに対する先進性」を示すため(要は消費者の注意をひくため)、意図して強力な出力(1,000馬力)を持たせ、0−100km/h加速3.0秒というスーパーカー並みの加速性能を実現したほか、非常に高いレベルの(本来ハマーに求められる)オフロード走行性能を保有しており、しかし多くのメーカーが同様のことを始めれば、「いったい何のためにEVを発売しているのかわからない」「結果的にCO2の削減ができない」ということにもなりそうですね。

ただ、ハマーEVの持つ加速性能、悪路走行性能を、ガソリンエンジン搭載のスーパーカー、もしくはSUVで達成しようとなると「さらに多くのCO2を排出するクルマでないと無理」なことも間違いなく、「EVにて、この性能を実現した」ことに対しては高く評価してもいいのでは、とも思います。

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参照: ACEEE

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