| リチウムイオンバッテリーの性能は、多くの自動車メーカーが予期したほどには進んでいない |
BMW M部門のマネージャー、カルステン・プライス氏が語ったところによると、「現在のエレクトリック関連技術は、Mブランドの求めるレベルに達していない」。
これは同氏がロサンゼルス(LA)オートショー開催期間中にカーメディア「Car Sales」のインタビューに答えたもので、バッテリーの重量が重く、よってこれをMモデルに使用する気にはなれない、というもの。
たしかに現時点でMモデルにはPHEVやEVもなく、直近でもこれらを発売するという話はないため、M部門も「バッテリーの技術が進歩するのを待っている」ブランドのひとつなのかもしれません。
ソリッドステートバッテリーもすぐに登場することはなさそうだ
現在EVに採用されるバッテリーのほとんどは「リチウムイオン電池」。
これについては各自動車メーカー/ブランドが予期したほど性能向上と価格の下落が進まず、これがある意味では「エレクトリック化を妨げている」とも言えそう。
ポルシェにおいては、918スパイダー後継モデルについて「ピュアEV」とする計画を持ちながらも、バッテリーの進歩が遅く、とくに次世代バッテリー(ソリッドステートバッテリー)の実用化を待った場合、(918スパイダー後継モデルの)登場は2025年以降になるだろう、とも語っているほど。※それでは遅いためか、V6+ハイブリッド案も出てきている
ポルシェ「918スパイダー後継は2025年までは発売できないだろう」。バッテリー技術がポルシェの求めるレベルに達するのに5年はかかる模様
つまりポルシェは現在の「リチウムイオンバッテリー」を使ったピュアエレクトリックカーを作る気がそもそも無いとも考えられますが、それほどリチウムイオンバッテリーは重いということになりそうです(ソリッドステートバッテリーは、リチウムイオンバッテリーに比べて重量半分、容量3倍程度だと言われる)。
そしてランボルギーニもリチウムイオンバッテリーに見切りをつけたブランドのひとつで、その解決策として「スーパーキャパシタ」の使用を検討しているものの、とにかくスポーツカーにとって「バッテリー重量」は大きな問題ということになり、「重量増加の割に期待するパフォーマンスが得られない」のでしょうね。
ランボルギーニはハイブリッド用の電源としてスーパーキャパシタを使用する模様。「スーパースポーツにとってこれが最も効果的な解決策だ」
一般的なクルマの場合は、重量が増加することによるドライバビリティの犠牲はさほど問題にならず、加えてスポーツカーのように高速走行を行うことも少ないために「バッテリー消耗」もさほど懸念とはならなさそう。
一方でスポーツカーだと重量増加は致命的であり、かつ高速走行を行うことでバッテリーが一瞬で消耗してしまい、それを防ぐために大きなバッテリーを積むとさらに重量が重くなる、という負のスパイラルに。
BMW M部門が気にしているのも「こういったこと」なのだと思われ、まだまだスポーツカーへのエレクトリック化の波が訪れるのは先になりそうです。
VIA: Cars Guide