
| 完全にボクの認識が間違っていたことが最初の一皿で証明される |
「ディオール」の名を抜きにして味だけでも十分に勝負しトップクラスへと行けるだろう
さて、大阪・心斎橋にオープンしたハウス・オブ・ディオール心斎橋内にあるレストラン、「ムッシュ・ディオール大阪」へ。
このレストランのシェフはアンヌ=ソフィー・ピック(女性シェフとしてはミシュランの星をもっとも多く獲得している。自身のレストランももちろん所有)で、ディオールが古くから用いているモチーフを落とし込んだ料理を提供することで知られます。
ボクは「ムッシュ・ディオール大阪」をちょっと敬遠していたが
なお、ぼくはこの「ムッシュ・ディオール」につき、「ディオールの名前とその世界観がウリで、味は二の次、インスタ映え重視のレストラン」だと捉えていたのですが、正直それは完全な誤りで、まず述べておくと「味やサービスは今までに訪れたレストランの中でも最高ランク」。
よってぼくは完全に間違っていたということをここで認めておかねばなりません(ディオールにも謝らなければならない)。
ムッシュ ディオールの店内は「ディオールの世界観」を余すところなく表現
まず店内の雰囲気は「庭園」をモチーフとしたもので・・・。

このあたりはディオールの製品とシンクロするところ。

椅子はこう。

テーブルウェア、カトラリーは当然ながらすべて専用品で、ほとんどの食器類には「DIOR」のロゴ入り。
そのほかグラスやプレート類もディオールの世界観を反映したもので、目に入るもの、手に触れるものすべてが「ディオール」というわけですね。

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ソルト&ペッパーは「同じフランスのよしみ」ということなのかプジョー製で、「ムッシュディオール」の文字が刻印されています。

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メニューはこんな感じで、「本」のような装丁となっているのですが、これは現在のディオールにおけるバッグの主力バッグ、「ディオール ブック トート」とのつながりを意識したものかもしれません。

今回いただいたのは3品のコース
そして今回はランチタイムの訪問なのですが、ランチは「3品」あるいは「4品」のコースから。

今回は3品を選択しているのですが、まずこちらはスターター。

2品が出てきますが、こちらはディオールらしい「花」をテーマにしたもの。
ちなみにこれら2品とも「見た目から想像する味」とはまったく異なる味を持っていて(口に入れた瞬間、噛んだ時、後味に変化があり、非常に複雑な味わいである)、すでにこの時点で大きく驚かされることに。

そしてこちらは「ヘーゼルナッツ豆腐、舞茸、ワイルドマッシュルームと生姜のコンソメ」。
これもまた見た目、そしてそこから想像する食感や味とは異なる「意表を突く美味しさ」で、こういったサプライズがあると、次に出てくるものに対しての期待感が高まろうというものですね。

こちらは「北海道産ホタテ貝、日本酒を使ったクリーミーライス、ローズゼラニウム」。
一見すると「包んでない餃子の皮」のように見えなくもないですが、これは「純白のディールのドレス」をイメージしているのだそう。
なお、料理に関する説明もしっかりしており、その料理が表す意味、ディオールとの関係性、素材、調理方法や食べ方などを丁寧に伝えてくれます。

なお、パンにも非常にこだわっていて、ディオールらしいレパード柄、そしてハニカム模様がユニークな2つがまずは提供されるのですが、ハニカムのほうはもちろんディオールが好んで用いる「ハチ(幸運を運んでくれるシンボルである)」を意識したもの。

ちなみにバターには「味噌とコーヒー」が練り込まれており、いままでに例を見ないコクの深さを感じます。

「地鶏の酒粕マリネ、ワイルドマッシュルーム、ソースヴァンジョーヌ」。
上に乗っている鮮やかなものはやはり「花」で、これも庭園を意味しているというわけですね。

「大葉とミントでマリネした鹿肉、クリスピーポテト、グリーンカレーのフィリング」。
ちょっとわかりにくいのですが、鹿肉の断面が「ハート」。※ただ、このハート型は偶然の産物らしい

そしてこのメインにあわせてまた「別の」パンが登場。
両端のトゲのような部分がカリカリで面白い食感を持っています。

デザートもまた「ディオール」らしさが満開である
そしてデザートにつき、こちらは「ル パピヨン」。
文字通り蝶の形をした華やかな一品ですね。

こちらは「ル ミルフィーユ ブラン」。
上面の千鳥格子もまたディオールが非常に好んで用いるパターンですが、それは「レディースにはじめて千鳥格子を用いたのはディオールだから」。
そしてぼくらカーガイにとっては、「ポルシェのシート」としてのほうが馴染みがあるかもしれません。
ただ、「ミルフィーユ」という先入観からはまったくかけ離れた外観を持っており、こうやって見ると「冷奴と、それに沿えられた大根おろし」のようにも見えますよね。

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しかし中はバッチリとミルフィーユで、こういった意外性もまたムッシュ ディオール大阪の楽しさだと思います。

そしてこちらはコーヒー(そのほか紅茶、日本茶なども選ぶこともできる。シェフはお茶に対して強い関心を持っているようだ)。
ラテアートは4種類あり、これは「ペピータ」で、そのほか「ミツバチ」などを指定できます。

参考までに、予約時にお願いしておくと「記念プレート」とともにちょっとしたお菓子をプレゼントしてくれるのですが、このお菓子も「これ単体で十分に別メニューとして成立しうる」レベルです。

とにかく「意外性」「驚き」にあふれるのがムッシュ・ディオール大阪である
まずいずれの料理も「見栄えがする」のがムッシュ・ディオールの特徴ではありますが、それがゆえにぼくは事前に「見栄え優先」というイメージを持っていて、しかし実は「見栄えよりも味のほうを高く評価したい」のが食べ終わったときの正直な感想です。
そしていずれの料理も「見た目とは異なる食感や味」を表現しており、それぞれ非常に強く素材の味を感じつつも複数の素材が組み合わさって複雑なハーモニーを奏でるといった印象を受け、これは当然ながら非常に高い調理技術がなければ実現できないものばかり(さすがはミシュランの星を女性でもっとも多く獲得したシェフである)。
つまるところ、単に「美味しい」というレベルを遥かに超え、その料理の素材や調理方法、表現する世界観についても興味を持たせてくれ、そして考えさせてくれる「知的好奇心を掻き立てる」レストラン(いずれの料理も予想と想像、常識の範囲を超えている)。

なお、食後は店内を見学させていただき、こちらはバーカウンター。
そしてこの奥には1,400本のワインを収めるワインセラーもあり・・・。

いくつか個室があるうちの目玉、「シェフズキッチン」。
別名「秘密の小部屋」だそうですが、この部屋からはキッチンを見ることができ、そして出来上がった料理を直接シェフが届けてくれ、説明までも行ってくれるというありがたい一室です(2〜4名くらいに対応。ガラスとウッドの自動扉にてキッチンと個室が隔てられており、サーブ時にはこの自動扉を開いて直接キッチンからシェフがやってくる)。

「美味しいだけ」では終わらず、ディオールの世界観を視覚的にも楽しみつつストーリーを共有することで「ブランドのファミリー」となり、そして意外性の溢れる料理に驚かされつつも楽しめる。
正直、また「すぐに」来たいと思うほどの満足度であり、ここまでの喜びにあふれるレストランも多くはなく、「いい店を見つけた」という満足感にも浸ることができる名店だと思います。※会計後、レシートとともに自分の名前が入ったメッセージカードを渡してくれる。こういった演出も女性シェフならではかもしれない
ちなみにムッシュ・ディオールの入口はハウス・オブ・ディオール心斎橋の横にあり、専用エレベーターに乗って向かうのですが、この入口からすでに「特別な世界」が開かれている、というわけですね。

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