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トヨタとホンダが利益率を向上させるためにテスラのビジネスモデルを取り入れるとの報道。ソフトウエア関連のエンジニアを倍増させ効率化を目指す

2023/06/10

トヨタ

| ただしテスラの特徴はその「基本思想」にあり、表層を真似たところでは追いつくことも難しいだろう |

そしてソフト開発は容易ではなく、フォルクスワーゲン、ボルボもソフトウエアのバグのため新車発売を延期している

さて、自動車業界屈指の利益率を誇る会社といえばBYDとテスラですが、BYDの場合は「自社でバッテリーを作っている」という特殊性があり、テスラの場合はオンラインでの販売がメインであって修理工場を(ほぼ)持たないということ、そして何よりも車両そのもののコストが安価という特徴があります。

そして今回報じられているのが「トヨタ、ホンダそれぞれが利益率を高め、変化し続ける業界の中で競争力を維持する方法を見つけるために、テスラのビジネスモデルを取り入れようとしている」という事実。

利益率向上のためにもっとも重要なのは「ソフトウエア」

そしてトヨタ、ホンダが利益率を高めるために注目しているのが「ソフトウエア」だといい、たとえばホンダは今後7年間で雇用するプログラマーの数を倍増させる計画を持っていて、2030年にはトータルで約1万人のソフトウェア開発者を確保する計画を持っているもよう。

加えてインドのKPITテクノロジーズとの提携を強化し、独自のソフトウェア・エンジニアリング・チームを設立する予定があるほか、ソニーとの共同事業によって新しいソフトウェア定義型電気自動車の開発にも取り組んでいる、とも報じられています。

ホンダ

一方、トヨタは再教育プログラムを開始し、2025年までに18,000人のソフトウェア・エンジニアを雇用することを計画しているそうですが、この18,000人というのはトヨタ全体の中途採用の半数を占めているのだそう。

これからの自動車においてはソフトウエアが重要な鍵を握る

なお、テスラのクルマが支持されほかの(旧来の)自動車メーカーのクルマが支持されないのはソフトウエアにあるという見方が強く、というのもテスラは自身を自動車会社だとは表現しておらず「ソフトウエア会社」だと明言しています。

さらに言えば、その会社の活動目的は「全世界にクリーンエナジーを提供すること」で、そのためにソーラーパネルやパワーウォールの展開を行っており、自動車もまたクリーンエナジーを普及させるための手段のひとつ。

そしてテスラは自動車を設計しているというよりも、まずはソフトウエアを開発し、そのソフトウエアを駆動するためのハードを設計することになりますが、そのハードが「自動車の形を取っているだけ」と考えるのが妥当であり、従来の自動車メーカーのように「ハード(自動車)を設計し、それを動かすためのソフトを開発する」という流れとは真逆だと言えるかもしれません。※ただし中国の新興EVメーカーもテスラに近く、よってこれらが脅威となってくる可能性も高い

そのため、テスラは「パワーウインドウの(モノが挟まったときの)反発力が弱い」という問題が生じたとしても、OTA(オーバー・ザ・エア)アップデートにて、修理に持ち込まずとも無線LAN経由ですぐに問題を修正できるのですが、従来の自動車であれば「ディーラーに持ち込み、センサーを交換して云々」という話になるわけですね。

テスラ

テスラ
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これは消費者にとっても自動車メーカー側にとっても大きなメリットがあり、よってテスラは顧客から支持され、また販売後のコストを低く抑えることができていると言えるかもしれません。

加えて、オプションについての考え方もテスラと「その他」では大きく異なり、テスラのクルマはハード的には「(バッテリーサイズや駆動方式を除くと)もともとフルオプション」。

しかしそのオプション、たとえばFSD(フルセルフドライビング=自律運転)を使用したいと考えるならばオプション代金を支払い、機能をアンロックすることになるのですが、これが従来の自動車メーカーであれば、オプションは「後付け」となり、製造時に作り分ける必要が出てくるのでそのぶんコストがかかるものの、テスラの場合は「全部一緒」なので作り分けるコストが不要になってきます。

トヨタ

そのほかにも様々な部分で「テスラとそれ以外」には根本的な差があり、よってトヨタとホンダが「ソフトウエアエンジニアを増やしたからといって」一朝一夕にテスラとの差を詰めることは難しいのかもしれません。

参考までにですが、ソフトウエアを重視しているのはトヨタとホンダだけではなく、フォルクスワーゲンは自社でソフトウエアを開発するために子会社として「カリアッド」を設立しているものの、ここでのソフトウエアの開発の遅れによってベントレー、アウディ、ポルシェといったグループ会社のEVの発売が遅れており、しかしこれ以上の遅れを許容できないために「古いソフトウェアプログラムを使用して新車を発売する」ことを決定済みだとも報じられています。

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参照:Nikkei

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