｜ たしかに以前からアウディTTRSは”スーパーカーキラー”と言われていたが ｜
Sport AutoがアウディTT RSにてホッケンハイムGPコースに挑み、1:57.70という好タイムを記録。
このタイムは驚くべきことに初代アウディR8（4.2FSI）の2:0065よりも速く、997世代のポルシェ911GT3 RS（1:57.44）に迫るタイム。
つまりは驚くべき数字ということになりますが、近年のスポーツカーにおいては2WDにせよ4WDにせよ「トルクベクタリング」によって”駆動力で曲がる”ようになったことが大きく、よって最新のBMW M2 CSだと1：55.80というタイムを記録したり、トヨタGRスープラでは1:58.80をマークしています。
ここ数年、速く走るクルマの傾向は決まっている
さらに驚かされるのはランボルギーニ・ウルスで、重量2.3トンを越えようかという巨体、そしてSUVであるがゆえの重心の高さをモノともしない1:57.10というタイムでホッケンハイムGPコースを走り抜けています（TTRSよりも速い・・・）。
なお、この1:57.10は981世代のポルシェ・ケイマンGT4（1:57.40）よりも速く、今や「速く走ろうと思うと」軽さや重心よりも「駆動方式」「トルクベクタリング」がいかに重要であるかもわかりますね。
参考までに、ケイマンGT4だと981世代では1:57.40、718世代では1:55.50。
出力は385馬力と420馬力という差があるものの、車体自体は大きく変わらず、それでもここまでの差が出るのは「電制デフ」含む制御系の相違なのかもしれません。
なお、こういったトルクベクタリングが猛威を振るう前は「ラディカル」等の軽量スポーツカーがいずれのサーキットでも上位を占め、「軽量で、パワフルで、足回りを固めまくった」クルマでないとタイムを出せないという状況が長くあったわけですが、現在では「AT（もはやMTではタイムが出ない）、4WD、トルクベクタリング」を持つクルマが（重量が重くとも）上位に顔を出すようになっていて、2WDでも電制デフを持たないといいタイムが出ない時代に。
そして今後は「4輪操舵」がタイムを出す条件になると思われ、やはりホッケンハイムにおいてもトップクラスは「ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJ」「ウラカンEVO」「メルセデスAMG GT R Pro」などリアホイールステアリングを持つクルマが顔を並べます。※ウルスもやはり後輪操舵のアドバンテージが大きいと思われる
アウディのトルクベクタリングは恐るべきレベルにある
ちなみにアウディ（ひいてはフォルクスワーゲングループ）の4輪トルクベクタリングがどれだけスゴいのかということですが、どれだけ攻めても「タイヤが鳴かない」レベル。
タイヤが鳴くということは、駆動力にせよブレーキングにせよ、遠心力にせよ、タイヤが「その限界を超えている」ということになりますが、アウディの4輪トルクベクタリングは「タイヤの限界ギリギリ」のもっとも効率の良いところまでグリップを確保するため（タイヤが鳴く＝滑るということは駆動力が逃げていることになる）、最大効率で走ることができるということになります。※クルマはタイヤの性能を超えて走ることはできない
ちなみにこちらは、以前にぼくが「アウディ・ダイナミック・ドライブ・エクスペリエンス」に参加してきた時、アウディRS5を運転した際の動画。
自動車は限界を超えるとタイヤが鳴く＝滑るというのが一般の常識だと思いますが、完全にタイヤをコントロール下に置く制御を（クルマが勝手に）行っているのが衝撃的。※ポルシェだとこうはゆかず、技量の優劣がモロに出ることになり、下手だと一瞬でスピンする
こういったこともあり、サーキットだけではなく、公道においても、「どのような条件でも、最も速く、もっとも安全に、もっとも確実に目的地にたどり着けるのはアウディ」だとぼくは考えているわけですね。
これは絶対行くべきだ！アウディ・ダイナミック・ドライビング・エクスペリエンスに参加してきた
ただ、クルマは「ちょっと滑ったほうが面白い」ということもあり、それを体験させてくれるのが（アウディ同様の4輪トルクベクタリングを持つメルセデスAMGやBMW Mで採用される）ドリフトモード。
アウディも新型R8では「ドリフト許容」な設定へと変更されているといいますが、とにかく次から次に様々な技術が出てくるのが近年の自動車業界ということになりそうです。
VIA: sport auto