｜ 色々あるテスラだが、実力がないとここまで来れない ｜
さて、テスラの株価が「異常」とも値上がりを記録中。
2019年10月はじめには233ドルだった株価が、直近ではなんと780ドルに上昇しています。
なお、直近で株価上昇のきっかけとなったのは「サイバートラック」の登場。
サイバートラックは各方面で大きな批判にさらされたものの、そのぶん「テスラに感心がなかった人までもテスラに注目させること」に成功したと言ってよく、発表イベントでの「窓ガラスが割れた」事件についてもむしろ（結果的には）プラスに働いた、と考えられます。
なお、この「233ドルから780ドル」の上昇は「4ヶ月で3.34倍」ということを意味し、仮に200万円テスラの株を買っていれば、668万円になっているということですね。
テスラは「問題」すらも味方につける
なお、テスラは何かと問題を指摘され、その多くは「品質」そして「納期」に集約される模様。
ちなみに納期については、長きに渡って「予定通り生産ができていない」ということがメディアやアナリストたちに突っ込まれる格好のネタとなっていたわけですが、昨年中盤辺りから急激に状況を改善させ、現在ではモデル3ですら「（日本において）納車待ち2ヶ月」程度にて購入可能です。
さらに中国工場においては非常に短い期間で工場を建設し、遅滞なく生産を開始させるという離れ業も披露していて、この「納期」に関しては完全に解消されたと考えて良さそう。
そしてぼくがここで思うのは、テスラは「悪い評判が立ち、それをはねのけて前に進むと高い評価が得られる」典型だということ。
「 こちら葛飾区亀有公園前派出所」でヤンキーの例にて紹介されたように「不良が更生して真面目になると褒められるが、実際は真面目なのが普通であり、更生した不良が評価されるのはおかしい」ということですね。
これはトランプ大統領も同じで、貿易摩擦問題のように、「問題自ら引き起こしておいて、それを片付けると高い評価を得る」結果となっていますが、これは冷静に考えると「最初から問題を起こさなければいいのに」。
ただし、問題を乗り越えたということは、その際になんらかの解決に係るノウハウを得たということにもなり、それはその人なり会社なりの地力となり、将来に対する「備え」になるとも考えられます（テスラの場合だと、アメリカでの生産遅延を解決したからこそ、中国工場での成功がある）。
こういった意味では「問題の数ほど」テスラは強くなってゆくのだと思われ、今後も大きく成長するのは間違いないのかもしれません（2025年くらいまでは優位を発揮できそうだ）。
テスラの累計生産100万台間近。モデル3単体でも数週間内には日産リーフを抜いて「史上もっとも売れたEV」となり、株価も半年で倍以上の最高値へ
それでも残る品質問題
しかしながら「品質」についてはなかなか解決できない問題でもあるようで、つい最近、フォードのエンジニアが「テスラは低い品質のパーツ、安全ではないパーツを使用しており、それはすぐにやめるべきだ」と掲示板に投稿したことが話題に。
現在その投稿は削除されているそうですが、マスタングのEV版、「マッハE」を専門とする掲示板がそのキャプチャを掲載していて、それによると概要は下記の通り。
テスラについてどう思うかって？私はそのキャリアのほとんどをEVに捧げてきたが、テスラの品質は業界で最悪だ。バッテリーやエレクトロニクスについては自動車業界の先を行っているが、物流や品質は本当に最低で、見ていて恐ろしくなる。我々はモデル3を実際に分解してみたが、シャシーのフロアにはネジが何本も落ちていて、ボディパネルのはめ合わせはもはやバカらしくなるほどいい加減だ。
この後はEVの開発プロセスについて述べたものなので省略していますが、とにかくテスラの品質については散々といったところですね。
なお、これは掲示板で「テスラについてどう思うか？彼らはクルマを作るべきではないと思うが」という質問に対して答えたもので、もちろん自身の見解がフォードの意見ではない、という前置きがあったもの。
実際のところはどうなのか不明ではありますが、実際にこれだけテスラのクルマが売れ、走行していることを考えるに、「そこまで品質はひどくないのでは」と思ったり。
仮に品質に劣る部分があったとしても、テスラの創業は2003年で、10年前は「誰も知らなかった」会社でもあり、しかしここまでのことを成し遂げたということのほうに着目すべきかもしれません。
恐るべしテスラ！2019年、モデル3は単独で「BMW2/3/4/5/6/7/8シリーズを足したよりも多くの台数」を売った模様