| そのインド車とはスズキ Sプレッソ。なお5スロットグリルはジムニーがモチーフか |
さて、スズキ・イグニスがマイナーチェンジ。
今回のマイナーチェンジでは「SUVテイストを強めた新グレード、HYBRID MF」の追加、全モデルにおいて力強いエクステリアへのデザイン変更、内装の配色変更が主なところ。
ただ、ぼくが今回のマイナーチェンジで思ったのは「インド車っぽくなったな・・・」ということ。
スズキはインドにて合弁企業「マルチ・スズキ・インディア」を展開していますが、そこから2019年9月に発売されたのがコンパクトカーの「S-Presso(エスプレッソ)」。
なぜスズキはインド車のデザインを国内に?
このSプレッソは見ての通り新型イグニスにそっくりな外観を持っていて、同じスズキなので当然といえば当然ではありますが、「インド版スズキのデザインを日本でも採用したのか・・・」というのはちょっと驚き。
こちらが新型イグニス。
フロントアッパーグリルのデザインは「完全一致」レベルです。
そして今回の新型イグニスHYBRID MFには「台形のフロントロワーグリル」が採用されていますが、これもやはりSプレッソはプレッソそっくり。
ちなみにSプレッソはインドの若年層をターゲットとしたクルマで、スズキの調査によれば「若年層はクルマをデザインで選ぶ」ということで、とくにデザイン性を高めた車だと紹介されています(エンジンは1リッター)。
そこで疑問に思うのは、なぜスズキはイグニスにインド車のデザインを持ってきたのか?ということ。
ただ、これにはスズキのデザイン戦略が見え隠れするようで、おそらくスズキは今後、SUVを連想させるクルマには「ジムニーに採用されている5スロットグリル」をモチーフとしたフロントを与えるのかもしれません。※5スロットはJB23/JB33世代から。それ以前は8スロットを採用していたことも
現在、SUVは各車から乱立状態ではありますが、そこでプレゼンスを高めるには「強い顔」が必要で、それはまさにジープの「7スロット」に代表されるようなキャラクター。
このスロットグリルは、古来から多くのメーカーが模倣するほどインパクトがあり、過去には何度も、そして最近でも訴訟が起こされたほどです。
幸運にもスズキはジムニーというヘリテージ、そして人気モデルを持っているので、これを活用しない手はないと考えたのかもしれませんね。
スズキ・イグニスはもともとスズキの「ヘリテージ」を再現している
なお、スズキ・イグニスは正直なところあまり販売がパっとしないクルマ。
ただし発売時にぼくは「やってくれたぜスズキ!」と反応し、これは売れるだろうと踏んだのですが、その目論見もすっかり外れています。
そして、ぼくがスズキ・イグニスに衝撃を受けたのは、1971-1976年に発売されていた「スズキ・フロンテ・クーペ」のCピラー形状そしてスリットを再現していたから(フロンテ・クーペのベースデザインはジウジアーロだ!)。
ただしスズキはあまりこれをアピールしておらず、もしアピールしていたとしてもスズキの現在の購買層は「(古すぎて)見たこと無いし・・・」となったのかもしれません。
そのほかにもスズキは「過去モデルを大事にしている」ところを見せていて、現行アルトワークスのデビュー時にも「かつての」アルトワークスっぽいカラーを採用するなど、けっこう”わかっている”メーカーだと認識しています(おそらくスズキの社内にはかなりの数のオタクがいるはずだ。企画会議は楽しいに違いない)。
VIA:Multi Suzuki, SUZUKI