
レクサスはこれまでのスタイルを転換、「攻め」に出る
今の時代、自動車メーカーは「グローバル」に加えて「ローカライズ」戦略も重要に
長年にわたり品質とブランドイメージを保つため「日本からの完成車輸出」を堅持してきたレクサス(Lexus)ではありますが、ここで「大きな歴史的転換点を迎えようとしている」というのが今回のニュース。
現地からの報道によると、レクサスは2027年に中国・上海市金山区に新設する自社専用拠点において、ブランド初となる中国現地生産の新型バッテリー電動SUV(BEV)を発売する予定であることがレポートされており、かねてより報じられていた「中国製レクサス」がついに実現するというわけですね。
急激に電動化が進む中国市場で現地の新興EVメーカーとの激しい価格・性能競争に晒される中、トヨタおよびレクサスが繰り出す起死回生の一手について、最先端工場のメカニズムや市場戦略について考えてみましょう。
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この記事の要約
- レクサスが2027年、中国本土で初となる現地生産の新型バッテリーEV(SUV)を立ち上げることが判明
- 上海市金山区に設立される新工場は外資独資の専用拠点で、アルミギガキャスティングやコンベアレス無人搬送などの最新生産技術を導入
- 約30年にわたる完成車輸入依存からの脱却により15%の関税コストを回避し、NIOやZeekrなど急速に拡大する現地プレミアムEV競合に対抗
レクサス 初の中国現地生産EV(上海工場)の概要
今回発表された取り組みは、約30年間にわたり完成車輸入に依存してきた中国市場におけるレクサスの事業モデルを根底から変えるもの。
生産拠点となる上海市金山区の新施設(2025年着工)は、中国政府の合弁規制緩和を活用した「外資100%(独資)」の完成車工場として構築されており(おそらくはテスラに次ぐ2例目)、これによって既存の合弁相手(一汽汽車や広汽集団)を経由せず、トヨタ単独で柔軟な生産・開発体制を敷くことが可能となっています。

初期の生産ペースは月産約1,000台規模からスタートして段階的に引き上げられると報じられていて、新型SUVの名称、車両価格、バッテリー容量、モーター出力などの詳細諸元は現在明かされておらず、「後日」公表されることとなるもよう(中国専売なのかワールドワイドに販売されるのかはわからないが、工場建設費用のコストを回収する必要があるため、やはり世界中で販売がなされるであろう)。
中国のレクサス工場における生産技術
上海金山工場における最大のハイライトは世界最先端の自動車製造プロセスが導入される点で、車体構造には「アルミニウム・ギガキャスティング(大型一体成形)」を採用し、フロントおよびリアのフレーム構造を大がかりに一体化することでパーツ点数と結合工程を大幅に削減して軽量化と高剛性を追求するといい、これはテスラのギガキャスト(下の画像)と同様の工程だと報じられています。

さらに、従来のライン移動用コンベアを廃止し、工程間を車両自らが自動走行して移動する「コンベアレス組立レイアウト」が導入されるともレポートされていて、まさに「最先端」の工場になるというわけですね(ギガキャスト、コンベアレスともに数年前にトヨタ自らが公開しており、それが今回実現するということに)。
注目されるバッテリーに関しては、トヨタと出光興産が共同開発中の「全固体電池」の搭載タイミングとは直接リンクしておらず、初期モデルには三元系リチウムイオン電池またはリン酸鉄リチウム(LFP)電池が採用される見通しだと見られています。
現在判明しているレクサス上海現地生産プロジェクトの主要概要は以下の通り。
| 項目 | 詳細・スペック |
| 生産・発売予定 | 2027年 |
| 車種・ボディタイプ | 新型バッテリー電動SUV(名称未発表) |
| 生産拠点 | 中国・上海市金山区(外資100%独資拠点) |
| 初期生産能力 | 月産 約1,000台規模(段階的に拡大予定) |
| 先進製造技術 | アルミ・ギガキャスティング、コンベアレス自律走行組立 |
| バッテリー仕様 | 未確定(三元系リチウムまたはLFP電池の可能性が浮上) |
| 現地税制メリット | 輸入完成車に課される15%の関税を完全回避 |
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競合比較・市場での位置付け
中国のプレミアムカー市場では、従来の欧州高級ブランドや輸入車勢がローカルEVメーカーに押される厳しい展開が続いていて・・・。
| ブランド / メーカー | 中国での製造体制とコスト | 市場での状況と課題 |
| NIO(蔚山/蔚来) | 中国現地生産(関税0%) | 高度な自動運転とバッテリー交換インフラで富裕層の支持を獲得 |
| Zeekr(極氪/吉利) | 中国現地生産(関税0%) | 高次元の走行性能とコストパフォーマンスで急速にシェア拡大 |
| 従来レクサス(輸入モデル) | 日本生産・輸入(関税15%課税) | 価格競争力の低下や既存エンジン車の需要減退により販売台数が減少し値引きが常態化 |
| レクサス(2027年以降) | 上海現地生産(関税0%) | ギガキャスティングによるコスト削減と関税回避で価格競争力を復活へ |
ピーク時に年間約22.7万台(2021年)を数えた中国でのレクサス販売台数ではありますが、2025年には約18.2万台へと減少しており、主力セダンのESなどでも大幅な値引き合戦を強いられていたのもまた事実。
しかし現地生産化によって15%の関税障壁を打破できるため、価格設定や装備面で強力な対抗策を打ち出せるようになり、今夏の「中国工場」には大きな期待がかかっているというのが現在地です。

補足情報
今回の現地生産シフトからは、世界各国におけるトヨタ・レクサスの地域特化型戦略の違いが浮き彫りになるかのようで・・・。
- オーストラリアなど他市場との戦略の違い:ハイブリッド(HEV)およびプラグインハイブリッド(PHEV)が販売の9割以上を占めるオーストラリアなどではHEV重視のラインナップを展開がなされ、その一方、新エネルギー車(NEV)の比率が乗用車販売の過半数(約54%)を超える中国においては、ピュアEVへの集中投資が不可欠となっている
- 現地テック企業とのパートナーシップ活用:トヨタは中国市場において、一汽トヨタ「bZ3」でBYDのバッテリー技術を採用し、広汽トヨタ「bZ3X」でMomentaの自動運転システムを採用するなど、現地サプライヤーの技術を柔軟に取り入れており、上海工場でのレクサスEVにも、最先端の現地技術が積極的に組み込まれる可能性が高まっている
- 中国合弁事業の再編推進:広汽集団による一汽トヨタ株式取得の提案や、3社間の新たな戦略的提携が結ばれるなど、トヨタは中国全体の事業基盤を最適化しつつ、レクサスブランドの独自拠点を固める二本立ての体制を整えている
結論
レクサスが2027年に上海工場で始動させる「初の現地生産電動SUV」プロジェクトは、ブランドの伝統を重んじつつも、世界最大のEV市場で勝つために下した”大きな決断”。
最先端のギガキャスティング技術や関税回避による価格柔軟性を武器として、新世代のレクサスEVが中国の高級車市場でどのような反撃を見せるのか、今後の車名公表や最終スペックの発表に大きな期待が寄せられているという状況です。
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参照:CarNewsChina











