| デマは減ったとしても、デマを信じる人は無くならないだろう |
2017年6月に起きた不幸な死亡事故、通称「東名あおり事故」にてデマを流した男性が強制起訴された、との報道。
最近はあおり運転ばかりなのでどの事件がどの事故なのか混乱してくることもあり、ここでもう一度「東名あおり事故」について整理したいと思います。
この事故は2017年6月5に東名高速下り線にて発生したもので男女2名が死亡しており、事故の発端は「あおり運転」。
事故の流れとして、まずは東名高速道路の中井パーキングエリアにて、駐車場所以外に駐車していたところを被害者男性に注意されて加害者が逆ギレ。
ただしその場で被害者男性に対して危害は加えていなかったようで、被害者男性一家の乗るクルマがパーキングエリアを出たところを待ってこれを追いかけ、そのクルマの前に割り込んで急減速したり進路妨害したりという行為を700メートルに渡って繰り返した、とされています。
なぜこういった事件が起きるのか
その後加害者は、被害者の乗るクルマを停止させて被害者男性に暴行を加えますが、この際に折悪しく後ろからトラックが追突し、被害者男性とその妻が亡くなり、子ども2名も怪我を追ったという痛ましい内容です。
被害者は本件のみならず、過去に何度も「あおり運転」による事件を起こしており、これは昨今報じられるあおり運転の逮捕者と同様の傾向だと言えそう。
こういったあおり運転の常習犯は、なぜかはわからないものの「自分が一番エライ」と思っているようで、そこへ他人から注意されたり、格下だと考えていた相手に抜かれたりするとちっぽけな自尊心を傷つけられ、あおり運転という卑劣な行為に及ぶものと思われます。
さらには被害妄想意識を持っている場合もあり、ちょっと(その気がない)後続車に詰められただけで「あおられている」と勘違いするケースもあるようですね。
ただし今回の起訴は別の「問題」
ただ、今回の起訴については加害者男性に対してではなく、この事故とは直接の関係がない第三者男性。
この男性は根拠もなく、「加害者男性に勤務先はここで、加害者男性の父親はこの人」という虚偽情報をインターネット上に流し、それが拡散することで「名指しされた」会社と男性が大きな被害を被ることに。
なお、起訴された男性がそう「特定」した理由としては、死亡事故の加害者男性の名字と、その会社、そして経営者が同じ姓を持っていたこと。
たったそれだけの理由で無関係の会社と人物を事故と結びつけてしまったわけですが、この件についても大きな問題となり、合計11人が摘発されています。
ただ、この11人は全員不起訴扱いとなるものの、後に6名が「起訴相当」として再度起訴され、うち5人に罰金刑が課されており、今回はまた別の1人が起訴相当として(名誉毀損罪にて)強制起訴された、という流れです。
ちなみに「常磐道あおり運転」でも当初まったくの別人が関係者としてネット上で吊るし上げられたという事件もあり、このあたりはネットの本当におそろしいところ。
「人はいいウワサを信じたがらず、悪いウワサを信じたがる」「人は見たいものを、見たいようにしか見ない」「人は、他の人が”悪い人”だと言っている人をそう信じ込む」という傾向が如実に現れた形となっていて、様々な法規制によってデマの拡散は防げたとしても、人々のこういった傾向は永遠に変わらないのかもしれません。
参照:毎日新聞