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| ノーフォーク工場閉鎖の報道にロータスが反論。「通常通りの操業を継続」 |
せっかく販売が「上向き」になってきたロータスではあるが
ロータスは「エキシージ」など前世代のスポーツカーの生産を終了させ、その後「エミーラ」そして新しい電動化車両へとラインアップを入れ替えていますが、そこで生じたのが「販売の空白期間」。
新型車の生産が軌道に乗るまで「売るものがない」状態が続いていたわけですが、最近ではエミーラのデリバリーが順調になされ、その業績が大きく回復へと向かっています。
ただ、ここで生じた「予想外の問題」がアメリカが(輸入車に)課した高額な関税であり、この影響によって現在ロータスは米国に対して車両を輸出できないといった苦難の状況へと陥ることに。
そしてこの問題を解決すべく、ロータスが英国生産を終了させ、米国に生産拠点を映すのではと言われていたのが直近の状況です。
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ロータス、英国の工場閉鎖を否定し米国での現地生産を検討。「関税対策として有効」とCEOが言及
この「ロータスが英国での自動車生産を終了する可能性」というニュースは英BBCやFinancial Timesが報じたものですが、今回ロータスはこれを公式に否定。「当社は通常通りの操業を続けており、工場閉鎖の予定は一切ありません」との声明を発表しています。
報道によると、同工場の閉鎖によって最大1,300人の雇用が危機に瀕する可能性があるとされていたものの、これについてもロータスは強く否定し、英国での生産継続をコミットしているというのが最新のステータスです。
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ロータスは一方で「世界的な競争力と効率の向上のために戦略的選択肢を積極的に模索している」とも述べており、CEOの冯清风(フェン・チンフェン)氏は、第一四半期の決算発表において「米国での現地生産によって関税による損失をカバーできる可能性がある」として以下のようにコメント。
「我々は米国戦略を活用し、現地化(ローカライゼーション)によって競争力を確保することを検討しています」
ロータスCEO フェン・チンフェン
新工場建設は非現実的。有力候補はボルボのサウスカロライナ工場か
ロータスのような小規模ブランドにとって新工場の建設は非現実的なため、現地の既存施設を活用する形が推測されていますが、『Automotive News』によれば、ロータスの親会社である中国・吉利汽車(Geely)が所有するボルボの米・サウスカロライナ州「リッジビル工場」が有力候補なのだそう。
この工場は2018年に操業を開始し、年間最大15万台の生産能力を持つものの、現在はボルボEX90とポールスター3の生産のみにとどまっており、おそらくはキャパシティに「空き」があるものと思われます。※昨年6月にはセダン「S60」の生産が終了
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米国市場はロータスにとって重要。関税でエミーラの輸出が停止中
なお、ロータスにとってアメリカ市場は第5位の重要市場であり、すでに上述の通りに関税の影響が大きな問題に。
トランプ政権時代に導入された関税によってエミーラの輸出は今年4月に一時停止されており、フェンCEOによれば2026年モデルが到着する8月に再開予定とのことですが、中国で生産される「エレトレ」や「エメヤ」についても、米国への輸出は関税の影響で中断された状態にあり、つまりロータスにとっては「現在第5位の市場で販売ができない」状態にあるというわけですね。
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英国生産の維持はロータスの「ブランドアイデンティティ」
そしてロータスは「英国への深いコミットメント」を再度強調し、次のような声明を発表しています。
「ロータスは過去6年間で英国に多額の研究開発・生産投資を行ってきました。英国はスポーツカー生産、デザインセンター、モータースポーツ拠点、エンジニアリングの中心地であり、ロータス・ブランドの心臓部です」
一方、英国国内の自動車生産は苦境に立たされており、2025年5月の生産台数は前年比で約3分の1減となる49,810台に落ち込んでしまい、なんと「1949年以来の低水準」に。
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よってこの状況下でのノーフォーク工場の閉鎖は、こうした業界全体へのさらなる打撃となりかねず、もしかすると英国政府がロータスへと救いの手を差し伸べた可能性も。
参考までに、ロータスに限らず、ジャガー・ランドローバー(JLR)やアストンマーティンも米国への輸出を縮小していて、SMMT(英自動車工業会)によると、2025年5月の対米輸出台数は前年同月比で55.4%も減少し、米国が占める輸出シェアは18.2%から11.3%へと落ち込んでおり、まさにこれは「由々しき事態」。
この「関税」が今後どう動くのかはわかりませんが、状況を見守るよりほかはなさそうですね。
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