| 独自の路線を持ち、旭化成らしくて面白いクルマだと思う |
実際のところ、未来のクルマの一部はこんな形になるのかもしれない
さて、旭化成がコンセプトカー「AKXY(アクシー)2」を発表。
ぼくはこのアクシーについて全く知らなかったのですが、旭化成は数年前からこのアクシーシリーズを製作しており、このアクシー2はシリーズ3台目なのだそう。
実車については5月25日からパシフィコ横浜にて開催されている「人とくるまのテクノロジー展2022」にて展示されている、とのことで、「AKXY」とは”Asahi Kasei X(かける)You(お客様)”というコンセプトから生まれた造語であり、過去には「AKXY(2017年)」「AKXY POD(2019年)」がリリースされています。
なぜ旭化成がクルマを?
ちなみに素材メーカーがコンセプトカーを作ったり自動車業界にパーツサプライヤーとして参入する例は他にもあり、帝人が「樹脂製フロントスクリーン」を発表し、正式に認可を受けたのは記憶にあたらしいところ。
ただ、旭化成の場合は「素材」としての提案ではなく、自動車そのもののあり方について提案を行おうという意図があるようで、今回のAKXY2の発表に際して旭化成は下記の通りコメントしています。
自動車業界の変化のスピードは激しく、またコロナ禍は社会全体を否応なく変容させ今後のクルマの存在価値においても見つめ直す大きな契機となりました。このような状況を踏まえ、当社は『3つのS』をコンセプトと掲げ、これまでの「AKXY」シリーズとは異なるアプローチでコンセプトカー「AKXY2」を製作するに至りました。
旭化成
そして3つのSとは「Sustainability(持続可能なクルマづくり)」、「Satisfaction(クルマの満足度向上)」、「Society(社会とクルマのつながり)」だといい、Sustainability領域では旭化成の素材や技術を活用し、Satisfaction領域では今までの自動車に無かったあたらしい価値の提案を行い、Society領域ではプライベート空間を確保して新しい個人と社会とのつながりを確保するといったことをイメージしています。
旭化成AKXY2はこんなクルマ
そこで今回発表されたAKXY2を見てみたいと思いますが、これまでのAKXYシリーズと繋がりがあるようなないようなデザインを持っており、しかし巨大なキャビンが最大の特徴。
自動車の安全・快適・環境への貢献を目指した初代AKXY、五感で感じる未来のモビリティ空間をイメージしたAKXY PODの延長線上にあるものの、このAKXY2のデザインコンセプトは循環や自然のサイクルを意識した「輪」だといい、バスタブ状のフロアやルーフ(キャノピー)などもすべて「輪」がモチーフ。
ボディカラーはアルミペーストを用いたシルバーが採用され、これによって未来的なイメージ、中性的なイメージを演出しています。
バスタブ状のフロアに内には「マグネットグリッド」と「壁面スリット」が設けられ、これによって椅子やテーブルなど様々なものを取り付けることができる、とのこと。
自動車としての機能については紹介がありませんが、完全自動運転を採用していることは間違いなさそうです。
この特徴的なキャノピーはまるごと上に持ち上げることができ、この状態だとウッドデッキやバスタブ周囲に腰掛けるといった使い方も想定しているようですね(もちろん走行中ではなく停車中)。
乗降時にはこういった感じでバカっとドアが開いてタラップ代わりに。
全体的な見た目はかなり特殊であり、まさに「走るリビングルーム」。
ただしこれも、旭化成の言うように「これまでの自動車にはない概念」を追求したためだと思われ、むしろ「自動車メーカーと同じことをしてもまったく無意味」なのでしょうね。
外から丸見えでちょっと恥ずかしいような気もしますが、なかなかに面白いクルマだと思います。
旭化成「AKXY2」を紹介する動画はこちら
参照:旭化成モビリティ戦略推進室, AKXY2