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カリフォルニアがついに「2035年までに内燃機関を搭載する新車販売を禁止」。ゼロエミッション車を2026年に35%、2028年には51%、2030年には68%、2035年には100%へ

2022/08/27

ランボルギーニのV12エンジン

| 多くの州がカリフォルニアの判断に追随する可能性が指摘され、自動車メーカーは苦境に立たされる |

ただしEUの決定を考慮すると、このスケジュールは無理なく達成できるのかも

さて、米国カリフォルニア州が、カリフォルニア大気資源委員会=CARBが提案した「2035年までに州内での内燃式自動車の新規販売を禁止することを含む新たな措置」を投票によって承認したとの報道。

現時点ではこの規制の範囲は乗用車にとどまり、つまり商用車やトラックには適用されないそうですが、この法案では、2026年までに新車販売台数の35%をゼロエミッションにすることを義務付け、2028年には51%、2030年には68%まで増加、ついに2035年には「100%」にまで持ってゆく、ということになります。※このうち20%はプラグインハイブリッド車とすることを認めている

ちなみに「アメリカ全体」としては、バイデン大統領が2030年までに新車のEV販売比率を50%にするという拘束力のない目標を掲げているものの、今回のカリフォルニア州の規制はこれよりもずっと厳しく、かつ「法的拘束力」をもつものです。

なお、カリフォルニア州はアメリカのみならず世界でももっとも環境に対して厳しい地域であり、古くは1970年代のオイルショックに関連した規制、その後の「EV専用レーン」設置や、時間帯や区間等によっては「一人で乗車したクルマが走行できない」といった規制を導入したことも(実際の運用やその後の動向については把握していない)。

この規制は住民の県境や周全体の輸送コスト削減に効果

今回の法案可決については、米国環境保護庁(EPA)が3月に大気浄化法に基づく免除措置を再発行し、カリフォルニア州が独自の自動車部門規則とZEV義務付けを設定できるようになったことを受けたものだとされ、カリフォルニア州によれば、この徹底によって心肺疾患による死亡が1,272人、心肺疾患による入院が208人、呼吸器疾患による入院が249人、喘息による救急外来受診が639人減少するはずだとコメント(これらの数字は、2026年から2040年にかけて、カリフォルニア州全域で実現できるという想定)。

加えてカリフォルニア州の交通機関の総コストが削減されるという試算も公開しており、これによると2026年から2040年にかけて、総額で818億ドル、1年平均59億ドルのコスト削減が見込まれる、としています。

ちなみにですが、この法案は住人に対して「EVなどゼロエミッション車への買い替え」を促すというよりは、自動車メーカーに対してカーボンフリー化を促すことが目的だとされ、実際のところ「中古車」はこの影響を受けず、つまりそれまでに販売されたガソリン / ディーゼル車はどれだけ中古市場で流通しようとも、住人がこれを購入して乗ろうともなんら規制はされないようですね。

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カリフォルニア州の「ガソリンエンジン禁止」決定は全米に波紋も

なお、このカリフォルニア州の方針は全米に大きな波紋を広げているといい、実際にワシントン州とマサチューセッツ州がカリフォルニア州に追随することを発表していて、さらにはこれに続く州が出てくるのでは、と言われます。※コロラド、コネチカット、デラウェア、メイン、メリーランド、ニュージャージー、ニューメキシコ、ニューヨーク、ネバダ、オレゴン、ペンシルバニア、ロードアイランド、バージニア、バーモントが現在検討中だと報じられる

ワシントン州知事のジェイ・インスリー氏によれば、「これは気候変動との戦いにおける重要なプロセスです。ワシントン州は、2030年までにすべての新車販売をゼロエミッションにするという目標を法律で定め、今年末までにカリフォルニア州の規制を採用する用意があります」とのことで、これはカリフォルニア州よりも「5年早い」ガソリン / ディーゼル車締め出しとなっています。

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ただし、現時点ではこれはジェイ・インスリー州知事のみの考えにとどまるようであり、同じワシントン州であっても、州交通委員会に所属する共和党のアンディ・ハリス氏によれば、「私は、今後も市場が移行方法を決定するのが最善だと考えています。内燃機関からの強制的な切り替えは、自動車メーカーと消費者の双方にとって不利益になる可能性があります」とコメント。

たしかにぼくはこのとおりだと考えていて、急速にゼロエミッション化を進めることで資源の枯渇、企業にとっては研究開発費の増加といった問題が生じ、まだまだ発展途上にあるEVを無理やり増加させることでインフラ問題、もしくは品質問題によって実際にそれを使用する消費者が負担を強いられ、もし「やっぱりEVダメだったわ・・・」となたっとき、それまでのコストを誰が負担するのか、という問題があるわけですね(消費者や企業からすると、国や地域がそうさせたのだから、責任を取ってくれという話になる)。

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参照:Automotive News, Fox Business reports

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