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「バッテリーを持たない」電解液チャージ式EV、ナノフローセル。7年ぶりのニューモデルとして4,000kmの航続距離を持つ「トゥエンティファイブ」を発表

2022/12/28

「バッテリーを持たない」電解液チャージ式EV、ナノフローセル。7年ぶりのニューモデルとして4,000kmの航続距離を持つ「トゥエンティファイブ」を発表

ナノフローセルは25年の歴史を持ち、実際にEVを販売しながらも活動中

ただしその価格は「非常に高価」

さて、ロンドン拠点の新興EVメーカー、「ナノフローセル」。

ほかのEVメーカーが製造するEVと異なるのは「バッテリーパックを使用しない」ということで、充電のかわりに「電解液を補充」して走り、この電解液がなくなるとまた補充という行為を繰り返すわけですね。

ナノフローセルによれば「プラスに帯電した電解液とマイナスに帯電した電解液がイオン選択性膜でマッチし、電気を発生させるバイイオン技術を採用」しているそうですが、これによって充電にかかる手間が省けるため、充電式EVよりもオーナーにとっては利便性が高い、とも述べています。

ちなみに(モデルにもよりますが)一回の補充にて走行できる距離は750~2,000km程度とけっこう長く、電解液を補充できる施設が身近にあるならば、かなり実用的なEVなのかもしれません。

こういった特性を持つため、ナノフローセルのクルマは都市部にてインフラが整った環境にて、さらに言えば電解液を補充する場所が日常移動する半径の中に収まっていないと使用が難しいということになりますが、今回アメリカに進出するということ、そしてニューモデル「トゥエンティファイブ(TwentyFive)」を発表しています。

アメリカ進出については詳細が述べられていないものお、バイデン大統領が打ち出したインフレ抑制法を受けての展開だとされ、となると現地での車両生産も視野にい入れているのかもしれません。

NanoFlowcell (4)

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ナノフローセルのニューモデル「トゥエンティファイブ」は一回のチャージで4,000kmの走行が可能

そしてこのトゥエンティファイブを見てみると、これは今までに発売していた「クアンティーノ(Quantino)」の派生モデルであり、同社にとってはおよそ7年ぶりのニューモデル(7年もナノフローセルが存続したことには驚かされるが、実は25年の歴史を持っている)。

なお、過去のモデルも含め、いずれの車種も「上下でサンドイッチしたような」デザインを持つことが特徴です。

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デタッチャブルルーフを採用する2+2というパッケージングを持ち、4輪それぞれにエレクトリックモーターを内蔵してシステム合計出力320馬力を誇りますが、驚くべきは”燃料”となる電解液を納めるタンクを2つ持ち、このタンク1つで2,000kmの走行ができること(つまりタンク2つで4,000kmの走行が可能)。

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ただ、このボディサイズ、2+2というレイアウトであればアメリカ市場では受け入れられない可能性が高く(アメリカ市場では大きなクルマが好まれ、そもそもコンパクトカーを投入しないメーカーも多い)、よって欧州のコンパクトEVがどれだけ受け入れられるのかは全くの未知数ですが、もちろんナノフローにはそれも承知の上での計画があるのかもしれません。

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コクピットはかなり先進的であり、ヨーク型ステアリングホイールを持ち、その奥には液晶メーター、そして左右にも液晶パネル。

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随所にプレミアムな素材が使用されていることもわかり、その価格は「安くないだろう」ということもわかります。

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ナノフローセルはアメリカに積極進出

上述のとおりナノフローセルはアメリカに進出する計画を表明していて、そのプレスリリースによると以下の通りに述べており、内容を見ると強く成功を確信しているものと思われ、なんらかの戦略を持っていると考えて良く、おそらくは「(富裕層の)シティコミューター」としての役割を想定しているのだと思われます。

我々は、ナノフローセルの連続生産のためのプロジェクトと、ナノフローセル・アプリケーションの燃料として輸送可能な再生可能エネルギーを提供する大規模なバイイオン生産施設の建設を計画しています。インフレ抑制法により、米国は米国史上最大のクリーンエネルギーへの投資を行い、再生可能エネルギーへの潜在的な影響は広範囲に及びます。しかしナノフローセルUSAが米国内の製造施設やインフラを拡張するために政府からの投資を求めることはありません。適切な場合には、製造やインフラの構築と拡張、そしてナノフローセル技術を経済のあらゆる部門に統合するために戦略的パートナーシップ契約を結びます。

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