| ボクは現在のロータスの方向性、そして中国の吉利汽車傘下に入ったことについては肯定派である |
自動車メーカーは常に時代に合わせて変化せねば生き残ることができない
さて、ロータスがその歴史上、(カールトン以来)2台目となる「4ドアサルーン」、エメヤ(Emeya)を発表。
その名称はロータスの伝統に則って「E」で始まることになりますが、このEmeyaという言葉は「世界のある地域では一般的な人の名前であり、力、実用性、野心、成功、インスピレーション、規律を意味し、その両親が、世界を変えることを願っている自分たちの子供に与えるもの」だと説明されており、このクルマによって何かを変えてゆこうとするロータスの強い意思が感じられます。
-
ロータス公式!「ロータスの車名はなぜEではじまるのか」がついに明かされる
| そのはじまりは「マークXI」の「XI」をアルファベットにて「ELEVEN」と記載したことだった | 「イレブン」はシリーズ1、シリーズ2通じて270台が製造されるヒット作に さて、ロータス車のネー ...
続きを見る
ロータスは「世界的なパフォーマンスブランド」を目指している
現在ロータスは中国の吉利汽車傘下にあり、そこでは豊富な資金を得て経営再建中。
新世代商品群として「4つのEV」を発売することを掲げていて、それらはエレトレ(SUV)、今回のエメヤ(サルーン)、そして名もなき小型SUV、そしてスポーツカーという構成です。
この品揃えを見ても分かる通り、ロータスは「フルラインアップ」に近い展開を行うことになり、もっとも近いライバルをポルシェに設定したうえ、この4台をもってカイエン、パナメーラとタイカン、マカン、911を狙い撃つということに。
このエメヤはロータスは新しいデザインDNAを持ち、エレトレと共通するデザインエレメントを持っています。
シャープな直線と官能的な曲線、フラッシュサーフェス、ブラックルーフによるコントラスト、Cピラー上のシャープなエッジ、伸びやかなリヤエンドにLEDライトバーという特徴的なスタイルが印象的で、それらは完全にロータスならではのオリジナリティを感じさせるもの。
ドアミラーの代わりに「カメラ」を持つようですが、これはまだ多くの国や地域で認可されていないので、仕様地によっては「鏡」が使用されるか、あるいはすべての地域において標準仕様へと「通常のドアミラー」を採用し、このカメラシステムをオプション扱いとするのかもしれません。
ボディには複数のアクティブ・エアロダイナミクス・エレメントが組み込まれ、フロントには「オープン時の空力効率を高め、ブレーキやバッテリーを冷却する効果を持つ」アクティブグリル、「高速安定性を向上させる」エアダムを装備しています。
リアにはアクティブディフューザーとスポイラーが装備され、これらによってハンドリングと安定性を向上させていますが、このリヤスポイラーはエメヤの美しいボディラインを損なわないようにデザインされ、しかし展開時には最大250kgダウンフォースを生み出すことが可能だとされています。
足回りに目を移すと、「1秒間に1,000回以上の調整を行う」で電子制御エアサスペンションが装備され、サルーンににふさわしい乗り心地、そしてロータスの名に恥じぬスポーツ性能とを両立させることになりそうですね。
ロータス・エメヤの出力は最大で905馬力
パワートレーンはエレトレと同じデュアルモーター、そしてフルタイム四輪駆動を採用し、ベースグレードでは603馬力、上位グレードでは905馬力を発生し、0-100km/h加速は2.8秒、80km/hから120km/hまでの加速は驚愕の”わずか2秒”(初速だけではなく高速域での加速性能にも優れる)、そして最高速は250km/h。
逆に現時点では車体重量、そして満充電あたりの航続距離については公表されておらず、このあたりはエレトレと「おおよそ似たような数字」となるのかもしれません(ただしバッテリーパックはエレトレの112kWhから102kWhに縮小している)。
充電にかかる時間は「10~80%まで」だと(350kW急速充電器使用で)18分、そして5分の充電でおよそ150km走行分の電力をチャージすることが可能です。
これは現在市場に出ているほかのEVと比較しても非常に競争力があるもので、エメヤはパフォーマンスのみならず、EVとしての利便性も世界トップレベルということになりますね。
ロータス・エメヤのインテリアはこうなっている
なお、新世代ロータスの特徴として「自動車業界の中でも、最も先進的な部類のインフォテイメントシステムとエンターテイメントシステムを搭載する」というものがあり、これは今までのロータスからすると大きな進化です。
エメヤではランドスケープ・インフォテインメント・システムが取り入れられ、ノイズキャンセリングを統合したKEF製3Dサラウンドサウンドシステムが採用されていますが、これは車外のセンサーがタイヤとサスペンションの動きを検知し、設定されたアルゴリズムが逆位相の音響信号を生成して車外ノイズを除去してクリアなサウンドを提供するというハイテクぶり。
加えて、「最新のEV」らしく内装素材も環境に配慮されており、しかしロータスはボルボのように「完全に皮革を排除する」のではなく、持続可能な素材を使用しつつもナッパレザーを部分的に使用しています。
加えて、カーボンファイバー、そしてメタルパーツ(あるいはメタル調の質感を持つパーツ)も多用され、そのデザイン性も業界トップレベルにあるという印象です(同じグループ内にボルボそしてポールスターが存在するので、それらとデザイン的・素材的な共有がなされているのかもしれない)。
内装の一部には、「ファッション業界で再利用される綿くずから」作られた新しい高級糸を使用しており、この新しい糸は、車両の製造過程における二酸化炭素排出量を削減可能なうえ、ロータスが指摘するように「軽量化にもつながる」。※「レザー」は内装素材としては重い部類である
ロータスによれば、エメヤには「ドライビング体験をより安全で楽しいものにするため」インテリジェントで先進的な機能が満載されており、センターディスプレイを補完する55インチの拡張現実ヘッドアップディスプレイにはナビゲーション、安全システムのデータ、障害物警告、ブラインドスポットアシストなどの情報をリアルタイムで投影することが可能です。
これらの機能を見るに、以前のロータスからすると「とんでもないレベルの飛躍」を遂げており、しかしこれが「ロータスの今」ということに。
この飛躍が好ましいものであるかどうかは人によって分かれるとは思うものの、ぼくとしては「新しい時代に対応するための、ロータス独自の、そしてロータスにしかできない進化」だと考えており、つまりは正しい方向だと捉えています(けして鈍重なクルマになっているわけではなく、そこにはロータスの哲学が息づいている)。
なお、エメヤの価格については今のところ未発表ですが、これもおそらくはエレトレと同じくらいか、バッテリーサイズを考慮すると「少し下」の設定となりそうですね。
ロータス・エメヤのローンチ動画はこちら
合わせて読みたい、ロータス関連投稿
-
ロータスが「今年前半で2,200台を生産し、エレトレを中心に17,000台を受注した」と発表。過去のロータスの年間販売記録は1,710台、やはりSUVの威力は絶大
| 生産さえ軌道に乗れば、今後のロータスについては心配なさそうだ | なんだかんだいいながら、多くの人が「ロータスのSUV」を待ち望んでいたもよう さて、先日「生産の遅れによって納車が進まない状態にあ ...
続きを見る
-
ロータス・エレトレが日本でも正式発表、受注を開始。エレトレSで2332万円、エレトレRで2585万円。どういった人が購入し、どういったクルマが競合するのか
| この価格帯のクルマを購入する人は「価格」を基準にクルマを選ぶことはまずないだろう | これを機にロータスの平均価格帯は大きく上昇することになりそうだ ロータス初のSUVとなるエレトレがようやく日本 ...
続きを見る
-
これがロータスの新型車?かつてコリン・チャップマンが設計したもののお蔵入りになった「タイプ66」を現代の技術とパーツで10台のみ限定生産
| 当時の設計や製造そのままではなく、現代の設計・製造技術を取り入れているところが新しい | まさかロータスがこういったクルマを生産することになろうとは。おそらくは相当に人気化するだろう さて、ロータ ...
続きを見る
参照:Lotus