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マクラーレンがスピードテールのプロトタイプに「アルバート」と名付け、世界中で1年間テストを行うと発表

2018/11/12

| マクラーレン・スピードテールのプロトタイプが北米、欧州、アフリカで1年の修業の旅へ |

マクラーレンが発表したばかりの「スピードテール」について、これから1年に渡るロングテストの旅に出る、と発表。
つまり発表時点ではまだ完成していなかったということですが、最近では同様のケースが多く見られ、アストンマーティン・ヴァルキリーやメルセデスAMG ONEもプロトタイプが走り出す前に受注を完了していますね。

この理由としてはいくつか考えられ、「売れるかどうかわからないものに大金をつぎ込んで開発できない」というものがあると思われ、メーカーとしてはリスク回避のために先に受注を集めて販売を確定させたいのかもしれません。
現在は世界経済情勢が多少不安定で、何かあると「売れない」ことになりますが、過去にいくつかそういった例もあり(ジャガーXJ220は不況のアオリを喰らって大ダメージをジャガーに与え、それ以降ジャガーはスーパーカーを発売してない)、発売がほぼ決まったコンセプトカー(ブガッティ・ガリビエールやランボルギーニ・エストーケ)でもリーマンショックによって計画が凍結されたものがいくつか存在。

よって、何があっても注文したものは買い取ってもらう(もしくはキャンセル時でも返金不可)状況を作る必要があり、そのためにメーカーは「開発完了してから発売」ではなく、「受注してから開発(もちろんスペック確定の必要があり、ある程度の開発メドはこの時点でつけられている)」という手法を選んでいるのでしょうね。

ただ、買う側も「まだ形になっていない」クルマに1億も2億も払うのは難しく、そこでモノを言うのが「実績」。
アストンマーティンは「ヴァルカン」や「One-77」、マクラーレンは「セナ」や「P1」、メルセデス・ベンツは「SLS」や「SLRマクラーレン」での実績があり、そこではじめて顧客は「じゃあお金(保証金)を払っても大丈夫だろう」となるわけですね。

なお、「先に保証金を取ってから開発」という手法だとテスラ・モデル3もこれに該当しますが、この場合は保証金を会社の運営資金に充てたということになると思われるので、ちょっと性格は異なるのかもしれません。

プロトタイプの旅先は世界各地

今回マクラーレンが公開した「テストを行う場所」は欧州、北米、アフリカ。
いずれもテストとしては定番で、冬の欧州(ノルウェーやフィンランド)では寒冷地テストを、夏の北米(デスバレー)やアフリカでは酷暑テストを行うことになりそうですね。

そして、マクラーレンが公開したプロトタイプの名は「アルバート」。
画像のとおりグラデーションっぽいグラフィックを持ちますが、マクラーレンがプロトタイプに名前を与えるのは珍しく(ポルシェは新型911のプロトタイプに女性の名をつけていたことがある)、これはマクラーレンによるとスピードテールの「先代」となるマクラーレンF1が設計された地である”アルバート・ドライブ”にちなんだもの。

なおアルバートは生産モデルと同じスペックを持ち、シャシーダイナミクス、ブレーキ、ダンパー、タイヤ、NVH(ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス)、操作性、快適性についてテストを行う、というもの。

マクラーレンは今回のテストによって最終の調整を行うとしており、スピードテールの納車は2019年末からの予定。
販売価格は2億円を軽く超え、限定台数は106台のみで、もちろんすべて完売済みとなっています。

そしてこちらはまた別のプロトタイプですが、マクラーレン本社にて、スピードテールが「動く(”走る”というほどではない)動画、「McLaren Speedtail leaving McLaren building driven by Alex Alexiev」。

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