| 有能なデザイナーがまた一人中国へ流出 |
現代において自動車が消費者において選ばれる基準は「性能」ではなく「デザイン」であるのはもはや業界の常識でもありますが、そのためか最近の自動車メーカーの公式サイトでは「性能」を目につくところに記載せず、イメージ画像など「そのクルマのある生活」といった感じでイメージ推しとしているケースが多くなっています。
とくに中国や韓国の自動車メーカーは欧州や日本の自動車メーカーとどう戦うかという戦略においてデザインを重視しており、ヒュンダイがブガッティやランボルギーニ/ベントレーのデザイナーを獲得したり、中国の自動車メーカーもロールスロイスのデザイナーを引き抜いたり、はたまたジウジアーロのような著名デザイン事務所へとそのデザインを依頼するケースが目立ってきているのはその証左かもしれません。
これからどうなる?マツダのデザイン
そしてまた今回は中国の奇端自動車(Chery Automobile)がマツダ・ヨーロッパのデザイン責任者、ケビン・ライス氏を獲得したと発表しています(すでにケビン氏は奇端自動車にてデザイン担当職に就いている)。
ケビン・ライス氏はオペルやイタルデザインで実績を積んだ後に1995年にマツダへと加入し、RX-8やコンセプトカー「NEOSPACE(ネオスペース、1999)」のデザインを担当。
その後2000年にBMWへと移籍して1/2/3/4シリーズのデザインに参加した後2013年にマツダに復帰。
2014年からはマツダモーターヨーロッパのデザインディレクターへと昇格しています。
最近だとロードスター、CX-3、RXヴィジョン・コンセプト、ヴィジョン(ビジョン)クーペのデザインにも参加したことでも知られ、つまり現在のマツダデザインを作り上げたうちの一人、といっても過言ではない人物。
ケビン・ライス氏はすでに8月にはマツダを離職し、その後「どこへ行くか」明らかではなく、しかし今回奇端汽車の欧州におけるデザイン拠点にてグローバル・バイス・プレジデントとなることが公表された、ということになりますね。
そしてライス氏は「現在自動車業界はこれまでにないほどの速度で変化を続けており、いかにトップデザイナーといえどもその変化に対応するための努力を続けねばならない」と語っており、世界最大の自動車市場となった中国で自身の能力を発揮することを楽しみにしている、と語ったようです。
なお、マツダの場合はデザイナー個人よりも「組織」としてクルマのデザインを決定してゆくことが多いそうですが、それでもケビン・ライス氏の抜けた「穴」を埋めるのは容易ではないかもしれません。