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ミニ「次期3ドアはこの20年で最も大きな、革命というべきデザイン的変化がある」。ついにクラシカル路線と決別するに至った背景を考える

2020/12/22

ミニクーパー

| ミニは自身の成功にあぐらをかいてしまい、もはやデザイン的にも機能的にも優位性が感じられない |

さて、現在岐路にさしかかっているミニ。

エレクトリック化の波にもうまく乗れず、SUVブームにもうまく乗れず、そしてシティコミューターとしての道も他社に先んじられる可能性が高い、というのが現在の状況です。

つまりミニの生き残りは非常に難しいと考えていますが、こうなった理由についてはぼくなりに考えるところがあり、まずは「かつて、オシャレなコンパクトカーというとミニだけだった」状況であったものの、今はフィアット500、アウディA1ほか、DS、シトロエン、プジョーの各モデルもずいぶんオシャレになったということ。

つまりはかつての「ミニだけの武器」がもはや「ミニだけのものではなくなった」

加えて、シトロエンについてはずば抜けたオシャレさを持っており、しかも価格が安いときているので、ミニを買うことに疑問を持ち始めた人も多いのかもしれません。

かつてはコンパクトカーといえば「生活必需品」的な性格が強く、どこのメーカーもコストを削ることに専念し、デザインにお金をかけないようにする傾向が強かったと認識しています。

そんな中でミニは「プレミアムコンパクト」という、当時唯一の立ち位置を持っており、コンパクトカーであってもコストをかければこれだけ魅力的なクルマを作ることができる、という事実を示したわけですね。

その後はミニの成功にあやかろうと多くのメーカー/ブランドがミニの開けた扉へとなだれ込むことになりますが、設計技術やデザイン技術の向上によって、「最小限のコストでも最大限のデザイン性」を発揮できるようになり、とくにこの傾向が強かったのはシトロエンC4カクタス。

そしてシトロエンはぐんぐん力をつけ、「安価でもオシャレなクルマ」を発売できるブランドとしての地位を固めるに至り、ミニにお金を支払うことが無駄なんじゃないかという風潮が生まれたのだと思います。

「走り」は今や誰も求めてない

なお、ミニというと「ゴーカートフィーリング」と呼ばれるキビキビした走りが特徴ではあるものの、これについて重要視する人は(現代において)ほぼおらず、これはホットハッチがほぼ絶滅してしまったことからも事情を察することができますね。

逆にホットハッチで生き残ったのはホンダ・シビック・タイプR、ルノー・メガーヌRSあたりで、しかしミニJCWはこれらにパフォーマンスでは敵わず、かつインテリア(インフォテイメントシステム)、アダプティブダンパーなどの足回り、ドライブトレーンにおいても見劣りする状況。

誤解を恐れずにいうならば、ミニは自身の成功にあぐらをかいていたとも言え、ミニが王座に君臨している間にライバルたちはどんどん力をつけてきた、ということになりそうです。

加えて「ミニがSUVの波に乗れなかった」理由としては、同様に「コストパフォーマンスが良くなかったこと」「高い割に車体が小さいこと」が挙げられ、コンパクトなSUVが好まれる欧州だとアウディQ2やトヨタC-HRにシェアを奪われ、大きなSUVが好まれる北米においては「小さい割に高い」ということで市場に受け入れられなかったのでは、とも考えています。※クロスオーバーは上級移行がアダになったとしかいいようがない

次世代ミニ・ハッチバックには大きな進化が与えられる

そこで今回ミニブランドのCEOが語った内容だと、「次世代ミニ・ハッチバック(3ドア)については2023年に登場し、この20年でもっとも大きな進歩があるだろう」。

それでも「ミニのデザインフィロソフィに基づく」ことについても触れ、しかしミニもデザインチームを率いるオリバー・ヘイルマー氏によると「あまりに急激、かつ革命的な変化でもあるため、チーム内には懸念を示すものもいる」ほど。

このほか、次世代ミニについてはこれまでにもいくつか情報が出ており、そのひとつは「中国をターゲットに小型化する」というもの。

ただしこれも「中国の自動車メーカーが、それなりに力をつけてきて」激安、かつそこそこグッドルッキンなクルマを発売するとミニはまったく存在感を失うことにもなりそうです。

ちなみにBMWグループとの中国における合弁相手、ブリリアンスは債務不履行に陥ってしまったので、ミニが中国で計画していた「EV版ミニ」の生産が実現できるかどうかは不透明な状況となっており、色々と計画の変更を余儀なくされるケースが出てくるのかもしれません。

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参照: Autocar

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