| ブガッティはその「こだわり」、少量生産に起因する生産コスト高が車両に反映されている |
ブガッティはなぜ高価なのか?という動画が公開に。
ブガッティのクルマはとにかく高いことで知られ、「世界でもっとも高価な新車」であるラ・ヴォワチュール・ノワールはもちろん、シロンの価格は2億5000万円くらい、ギネス非認定ながらも時速483km/hを記録したシロン・スーパースポーツ300+の価格は3億3000万円という設定です。
いったいどうやったらクルマの価格が上がるのかと思ってしまいますが、その理由を見てみましょう。
ブガッティが世界最高速を記録した「シロン・スーパースポーツ300+」を30台限定、3.3億円にて発売すると公表。発表の場で契約書にサインする人も
1.エンジン
シロンに搭載されるエンジンは8リッターW16、4ターボ、さらに1500馬力という、ほかに類を見ないもの。
当然ながらブガッティ属するフォルクスワーゲングループのほかのクルマに搭載されるエンジンとは共通性はなく、その出力はランボルギーニ・アヴェンタドールSの「ほぼ倍」の出力を持っています。
何から何まで独自に開発されたエンジンは製造費用はもちろん、開発費も相当にかかっているということになりそうです。
2.1500馬力をコントロールするエンジニアリング
上述の通りシロンは巨大なエンジンを積みますが、このエンジンが発生する熱はなんと「980度」。
これがどれくらいの熱かというと、溶岩よりもちょっと温度が低いという程度であり、この熱を冷却するためにシロンは「10個のラジエター」を装備しているようですね。
そのほか、ヴェイロンが登場したときにも「F1マシンよりも高い速度で走る」クルマを作ることは未知の領域へと踏み込むことを意味し、あまりに早く回転するシャフト類の発生する遠心力、一瞬で飛び散って無くなってしまうグリスなど”想定外の”課題が発生した、とされています。
3.限定性
ブガッティはその希少性を維持するために「全てのモデルが限定生産」。
そしていずれのモデルも非常に高価ではありますが、この限定性が価格を引き上げているということに。
たとえばウインカーレンズを例に取ると、その素材は「樹脂」なので素材の費用はとりたてて高くなく、しかしそれを成形するための「金型」のコストは数十万円から数百万円がかかります。
そしてこの金型費用も大衆車であろうがブガッティであろうがそこまで大きく変わるわけではないものの(形状や構造が凝っている分は当然高くなるが)、たとえばひとつの金型が100万円かかるとして、シロンの限定台数500台で割ると「1個2000円」。
しかし、これがモデルライフ通じて10万台売る計画のクルマだと「1個10円」。
パーツの製造コストは「生産台数で割って」原価に算入することになりますが、こういった「ひとつひとつのパーツのコストの高さ」が積もり積もってブガッティのクルマは高額になっているということですね。
4.究極の贅沢仕様
ブガッティは自社のクルマをして「自動車というよりは芸術品」と表現していて、実際に実際にエンブレムはシルバーをハンドポリッシュしたものだったり、インテリアはプレミアムレザーをハンドステッチにて仕上げたり。
シロンのどこを見ても「安っぽさ」はまったくなく(グリルでさえも)、よって一台のシロンを作るにはおよそ6ヶ月かかるとされ、素材に加えて「製作にかかる人件費」もまたブガッティの価格を押し上げているひとつの理由だと言えそうです。
5.徹底した精度の追求
ブガッティのクルマはとんでもない速度で走ることが可能ですが、それを可能にするのは各パーツ、コンポーネントの持つ「究極の加工精度と組み立て精度」。
エンジンは2人の技術者がかかりっきりで”まるまる1週間”を要するとされ、工作機械や組み立てのための治具、さらにその人件費に「お金がかかっている」ということになりそう。
そのほか動画では「オイル交換一回あたり数百万円」「タイヤ交換も一回数百万」「タイヤ交換2回に一回はホイールの交換が必要」といった維持費の高さにも触れ、「それでも価格に見合った価値はあるか?」という自問自答も。
その答えはもちろん「十分価値に見合う」というものであり、それはEB110、そしてヴェイロンの価格が上昇気味であることからも明白だと言えそう。
なお、ヴェイロンは1台売るごとに6億2400万円の赤字が出ていたと言われるものの、1億5000万円というプライスタグを掲げていても「全然モトが取れなかった」ということになりますね。
ブガッティ・ヴェイロンは1台売るごとに6.24億の赤字だった!そのためブガッティのニューモデル投入につき親会社のVWは開発資金提供を渋っている模様
VIA:Alux.com