| たった3台のみが製造されたブガッティ・タイプ57S軽量シャシーのうちの1台 |
2月19日に開催されるオークションにて、「もっとも価値が高いであろう戦前のクラシックカー」、1937年製のブガッティ・タイプ57Sが登場するとして大きな話題に。
オークション開催元によると、このブガッティ・タイプ57Sは1937年にロプナー海運一族であったロバート・ロプナーによって注文され、ボディはロンドンのコルシカ社(コーチビルダー)によって架装された、とのこと。※当時は、エンジンとシャシーを自動車メーカーから購入し、”ボディ”をコーチビルダーに発注するのが常であった
1969年以降、その姿を消すことに
その後このクルマはブリティッシュ・コンノート・グランプリ(レーシングチーム)の手に渡り、さらにその後にはチームを買収したビル・ターンブル氏へと所有権が移ることに。
そして1969年以降、このブガッティ・タイプ57Sは2020年まで歴史の表舞台から消えることになったそうですが、この間は主にイングランドのノーススタッドシャーにあるファクトリーにてレストアを施されていたと報じられています。
なお、今回オークションに登場することになった理由は「ビル・ターンブル氏が死去したため」だと報じられていますが、同氏が亡くなる直前までその作業は続けられており、現段階では「あと少しの作業を残すのみ(オークション出品までには完成するものと思われる)。
たった3台のみが製造された軽量フレームバージョン
このブガッティ・タイプ57Sは4シーターレイアウトを持ち、搭載されるエンジンは3.3リッター。
1937年当時、このブガッティ・タイプ57Sは「お金で映える範囲では、もっとも高級で、もっとも速い」クルマであったとされています。
この個体についてはイギリスにおける登録ナンバーが「DUL 351」ということに起因して「ダルシー(DULCIE)」というニックネームを持ち、おそらく最大の特徴は、1936年のフランス・グランプリで優勝し、かつ世界最速記録を樹立した「ブガッティ・タイプ57G”タンク”」と同じ軽量フレームを持つこと。
そして同様のフレームを持つのは3台のみだそうですが、「現存するのは」この1台のみ。
なお、このペイントそして内装は当時のままだといい、過ぎ去った年月を考えると「驚異的」とも言えるコンディションだと言えそうですね。
さらに書類もしっかり揃い、経歴もはっきりしているため、コレクション価値が高いのはもちろん、自動車史においても非常に重要なクルマと考えて良いかと思います。
このブガッティ・タイプ57Sがオークションに登場するのは「初」だそうですが、オークションハウスによると「最後の”隠された”戦前のブガッティでもある」とも。
このほかの(軽量シャシーではない個体も含めて)42台のブガッティ・タイプ57Sはすべてコレクターの手元にあるか博物館に所蔵されており、よってこの一台は「今、お金で購入できる唯一のブガッティ・タイプ57S」、そして「軽量シャシーを持つ唯一のブガッティ・タイプ57S」ということに。
予想落札価格は500万ポンド(約7億円)〜700万ポンド(約9億9000万円)だと言われているものの、それ以上の金額を記録したとしても「驚くことはないだろう」と考えています。
参照:Bonhams