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ブガッティがサーキット走行専用ハイパーカー、ボリードの設計/安全要件を公開。ル・マン用レーシングカーを超える剛性を持ち、消火システムはなんと「軍用スペック」

ブガッティがサーキット走行専用ハイパーカー、ボリードの設計/安全要件を公開。ル・マン用レーシングカーを超える剛性を持ち、消火システムはなんと「軍用スペック」

文字通り「比較されるようであれば、それはブガッティではない」を地でゆくハイパーカー、それがボリード |

ブガッティはどんな小さなことにも妥協を許さず、規制の範囲を超えて最高を目指す

さて、ブガッティはサーキット走行専用のハイパーカー「ボリード」の納車に向け開発を進めていますが、これは「1,600馬力、車体重量1,450kg」というパワーウエイトレシオ”1以下”、全輪駆動、最高速時のダウンフォースは3,000kgというとんでもないスペックを持つクルマです。

ブガッティはこれまでにも「チェントディエチ」「ディーヴォ」などシロンをベースにしたバリエーションを展開しており、よってこのボリードについても「シロンをちょっと弄って軽量化しただけの車両ではないか」と考えてしまいがちですが、実際にはシロンとは根本から異なるクルマであり、シロンのコンポーネントを使用しつつも「新しく設計されたクルマ」であるもよう。

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ブガッティ・ボリードは専用の車体構造を持っている

そこで今回ブガッティが公開したのがボリードに採用されるカーボンファイバー製モノコックや安全性、ドライビングエクスペリエンスについてのコンテンツ。

すでにいくつか公開されたティーザー画像からは、ボリードの乗降部が極端に狭く、つまりシロンとは全く異なる構造を持つこともわかっていますが、ブガッティは改めてこのモノコックにつき「先進技術を活用した新開発の構造を持つこと」「F1やル・マンのレースカーにしか使用されない最高品質のカーボンファイバー複合材を使用していること」について言及しています。

Bugatti-Bolide (8)

見ての通り(シロンとは異なり)開口部が極端に小さく、かつラップアラウンドウインドウを持つこともわかりますが、エンジン搭載位置はシロンに比較して60ミリも前方に移動しており、これによって重心をより中央へと集め”サーキットでの使用に理想的なパッケージングを実現”することに。

さらには1,600馬力をサーキットにて開放するためにシロンよりも遥かに高い強度と剛性が必要とされることになり、この基準として国際自動車連盟(FIA)によるル・マン・レースカー(LMH)およびLMDhレギュレーションに関する安全要件が採用されています。

ブガッティは現時点でル・マン24時間レースやIMSAへの参戦を表明していないものの、この基準を選んだのは、これらが「モータースポーツの世界で最も厳しい安全規制のひとつであること」だとされていて、これを用いることで客観的にその強度や安全性を証明できるほか、設計に際しての要件が明確となるわけですね。

Bugatti-Bolide (9)

モータースポーツにインスパイアされたボリードにとって、横転防止などの安全要素は最も重要の要件であり、最も厳しいFIAテストのひとつでは、車のAピラーに7.5トンの荷重をかけることが要求されているそうですが、このテストに合格するためには、荷重が加えられた箇所での最大たわみが50mm以下でなければならず、その箇所から100mm以内の構造物の破損は許されない、と規定されています。

つまり、衝撃を受けた箇所では、小さな(100ミリ以内の)局所的な亀裂は許容されることになるものの、ボリードにおけるテストでは、モノコック設計、特にAピラーの角度、断面などの設計的要件、使用されている素材の優秀さに起因して亀裂がまったく生じなかったといい、つまりは「FIAの定める基準を超える」頑強さを持つという事実も証明された、とのこと。

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ボリード構想を現実のものとする決断を下して以来、いくつかの重要な設計・開発分野に妥協することなく注力せねばならないことは分かっていましたが、その焦点は特に性能面とサーキット上での安全性に絞られました。ブガッティにとって、これらの特性は譲れないものです。

これらの厳しくも重要な安全テストをパスするためには、モノコックのすべてを技術的に完璧なものにする必要がありました。サーキットにおいて、ボリードはあらゆる走行状況や環境において安全で安心なレーシングカーなのです。つまり、モノコックの構造から肉厚、さらには世界最高性能を誇る新素材の超高強度カーボンに至るまで、あらゆる面で最適化が必要だったのです。これは、ボリードがFIAの要求する厳しい基準を満たし、安全性へのアプローチにおいて妥協を許さないことを保証するために、我々が実施した広範なエンジニアリングを物語るものでもあります。

クリスチャン・ウィルマン(ブガッティ・ボリード担当チーフエンジニア)
Bugatti-Bolide (6)


このようにボリードは「世界でもっとも厳しい安全要件」を満たし、さらにこれを上回るレベルを実現しているものの、ブガッティはより高い安全性を目指して「軍用自動消火器システム」を搭載したといい、これは従来のレーシングカーで広く使用されている消火器ユニットと比較して、あらゆる面で安全性が大幅に向上しているのだそう。

参考までに、シロンには「52畳分の広さを冷やすことができるエアコン」が備わるといいますが、この常軌を逸したオーバースペックもまたブガッティの特徴だと言えそうです。

ブガッティ・シロン・ピュールスポール
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ブガッティ・ボリードはあらゆる面においてもっとも厳しい基準をクリア

ボリードはシロンなどのロードゴーイングカーとは異なる「ディヘドラルドア」を採用していますが、これはコックピットからの出入りを容易にするためで、ラップアラウンド・ヘッドレストの外側はこのディヘドラル・ドアに取り付けられています。

そしてこのヘッドレストはGT3レギュレーションに沿って設計され、X字型のブラケットを使用してドアフレームに接合されるという構造を持ち、ヘッドレストの試験荷重がドアの外側にかかるため、分類上は「構造部品」となるそうで、このブラケットは3Dプリントされたアルミニウム製、そしてわずか300グラムの重さながらも700キロ以上の荷重に耐えることができる、と説明されています。

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車内に目を移すと、ドライバーとコ・ドライバーはそれぞれFIA公認の6点式ハーネスによって固定され、これはコーナリング、加速、ブレーキング時に発生する非常に大きな力(場合によっては最大2.5g)に対して乗員をしっかりと固定するだけでなく、可能な限り、そして最高レベルの安全性を提供することに。

このシートはLMH規定に基づいてテストされており、乗員はその高い安全性だけでなく、より疲労の少ないドライビングが可能となるよう配慮されていることにも言及されています(もちろん、さらなる安全性を高めるため、HANSヘッド&ネックサポートシステムにも対応しています。

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アクティブ・セーフティに目を移すと、最新鋭のトラクション・コントロール、エレクトロニック・スタビリティ・コントロール、アンチロック・ブレーキ・システムなど、モータースポーツをリードするテクノロジーが導入され、天候にかかわらず常に安定した状態でレースに臨むことができるうえ、パワーステアリング、そして最近のレーシングカー/サーキット走行専用モデルでは通例となった「エアコン」も装備され、かつ「他の多くのレーシングカーでは困難、あるいは不可能とされる、うだるようなコンディションでも」ブガッティによれば”快適な走行可能”。

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これらを見るに、モータースポーツにおける最高レベルの安全性、さらにはエアコンやパワーステアリングなど市販車に求められる快適性、さらにはいかなる状況、そして(全輪駆動や各種アクティブセーフティによって)どのようなスキルのドライバーであっても、その最大限のパフォーマンスを引き出すことができるように設計されたサーキット走行専用ハイパーカーがボリードだということになり、これはブガッティならではのコンセプトだと言えるかもしれません。

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なお、ブガッティは車種が非常に少なく、販売台数も少なく、かつ価格が非常に高い上に購入制限(資格審査)があるために、一般人が購入する機会はもちろん、目にする機会も少ないクルマです。

よって、同様の性質を持つ自動車メーカー/ブランドであれば「ニュースもなく情報もない」ので、どんどん人々との接点を失ってしまいマイナー化してしまいがちなのですが、ブガッティについては頻繁に(文字通りランボルギーニやフェラーリよりもたくさん)ニュースを配信し、常に自動車業界におけるホットな話題を提供することで様々な人々とのコンタクトポイントを創出し、それによって常にメインストリームに位置するという戦略を採用しているように思います。

これはその「ずば抜けた性能をもって存在感を示す」というコンセプトとともに非常に優れた手法でもあり、ブガッティは様々な面においてバランスが取れ、すべてのベクトルにおいて非常に高い数値を示している、とも捉えています。

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参照:Bugatti

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