アウディが自動運転に関する問題を調査し一定の結論を出したもよう。「トロッコ問題」のような懸念においては「乗員優先」の姿勢を貫く

｜ つまりは乗員以外の命が犠牲になっても乗員を守るとも受け取れる ｜

ただ、実際にそうなると世論が黙ってはいないだろう

さて、多くの自動車メーカーが実現しようとしながらも実際には消費者の殆どが望んでいない機能、「自動運転」。

しかしながら多くの自動車メーカーはこれを「未来」と信じて疑わず実現に向けて邁進しているという状況ですが（どこかに先を越されると優位性を失うと考えているのかも）、技術以外にも法律やインフラといった多くの問題が残ります（さらには国によって通行区分や交通法規が異なる）。

アウディは自動運転をなんとしても実現したい

なお、アウディはかつて「自動運転は無理だとわかった」というコメントを発したことがありますが、それでも自動運転についての研究を諦めず、昨年12月には自律走行がもたらす社会的側面全般を検証することを目的とした「&Audi」という新たな取り組みを発表しています。

さらにアウディはこの分野の専門家と連携して新しい研究を始め、このプロジェクトを「SocAIty」と命名しており、さらに今回、アウディはその結果についていくつかの発表そして対応についてコメントを行っていますが、最大の懸念は「トロッコ問題」。

これは「トロリー問題」とも呼ばれるひとつの理論上の問題で、「制御不能になったトロッコ（電車）があったとし、その先には5人がいて、そのままにしておくと5人が確実に電車に轢かれるが、線路には分岐器があり、それを切り替えれば5人が助かるものの、分岐先にいる一人が轢かれて死ぬ」というもの。

これにはいろいろな問題があり、しかし「5人を助けるため、一人を犠牲にするという行動を取っていいものか」という点が最大のポイントだと思います。

そしてこの問題は自動運転における「乗員、車外の他の人、あるいはその両方への傷害を回避する方法がないように見える危険な状況に、どのように対処するのか」ということを意味しており、レアケースではなく、クルマを走らせていれば確実に遭遇しうる状況です。

アウディは「乗員保護を最優先」

そして今回、アウディが出した結論が「いかなる場合においても、乗員の保護を最優先する」ということ。

アウディによれば、自動車がどんなに進化しても、思考や推論をすることはできず、プログラムされたことしかできず、つまり「自動車は、設計者の倫理的判断や価値観を前提にし、それを独自の解釈なしに適用することしかできない」。

よってアウディはそのプログラムのトッププライオリティを「乗員保護」の設定するということになりますが、これはメルセデス・ベンツと同じ方針です。

なお、乗員保護といっても様々な要因があり、「自動運転車が高速道路を走っていて、その先に人が飛び出し、ブレーキをかければその人を助けることができるが、クルマの中の乗員はシートベルトをしておらず、よって急ブレーキをかければ乗員が怪我をする」ような状況において、プログラムはどういった判断をするのかも気になるところ。

ただ、この判断には高度な室内モニタリング機能や予測機能が必須であり、それがない場合、仮に「自動運転車が（自動で）急ブレーキをかけて、乗員が車内で怪我をしたり死亡したりした場合」はアウディがどう責任を取るのかも不明です。

まさかアウディは「飛び出した人」に責任を問うことはできず、よってアウディは乗員に対する（怪我や死亡の）責任を取るしかなくなってきますが、もし高度な乗員優先プログラムが内蔵されており、乗員保護を最優先として「停止せずに人を撥ねた」場合もそれはそれで大きな問題となりそう（ここまで来るとシュレディンガーの猫的な仮定も絡んできそうだ・・・）。

ちなみにアウディはこのほか、自動運転車がハッキングされた際の問題等も取り上げており、しかしこういった問題を解決することは非常に難しく、考えれば考えるほど「自動運転は無理じゃないのか・・・」という結論に至ってしまいます。

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