| たしかにBMWの考えることにも納得できる |
おそらくコンパクトEVは中国自動車メーカーの独壇場になるのかも
BMWが将来的にコンパクトクラスから撤退する可能性がある、との報道。
その理由としては非常に明確で「利益が取れないから」というものですが、今後ラインナップ全般がEV化するにあたり、小型EVの販売台数は比率的に大きくはなく、しかも競争が厳しく利益率的にも非常に厳しいために「開発コストを吸収できない」とされています。※メルセデス・ベンツが「EQA」の方向性を翻し、EV専用設計からGLAのプラットフォーム転用へと動いたのも同じ理由だと思われる
現在と将来とでは大きく事情が異なる
ただ、現在のように「ガソリンエンジンがまだまだ主流」といった状況において、1シリーズのようなコンパクトクラスは「BMW全体としてのCO2排出量を引き下げるのに役立つ」ために存在意義があり、しかし電動化時代になり小型車用EVプラットフォームを開発した場合には上述のようにコストを吸収できず、新型X1のエレクトリック版「iX1」のようにガソリン車用プラットフォームをEV用に転用することも可能ではあるものの、この方法だと大きなバッテリーを搭載できず、より大きな車種のように「なんとかやりくりする」スペースもないためにEVとしてもハンパなクルマとなるもよう。
ちなみに現在BMWはコンパクトクラス用プラットフォームとして「UKL」「FAAR」を持ち、これはBMWとMINI両方に使用されていますが、いずれも2015年に導入され、最近アップデートが施されたものの、2027年には「廃止」となると報じられ、その理由は上で述べたとおり「エレクトリック時代に対応できないから」。
2030年には多くの市場においてガソリンエンジンの販売が禁止され、となるとピュアEVもしくはPHEVしか販売ができなくなり、しかしUKL/FAARプラットフォームはこれに対応ができない、というわけですね。
なんとかUKLプラットフォームの存続も検討されているが
なお、BMWによれば「UKLプラットフォームの将来」について検討してはいるものの、その課題はあまりに多く、やはりメインの問題は「バッテリーを積むスペースが少ない(ソリッドステートバッテリーが実用化されれば問題は解決しそうだが、コスト的にこれをコンパクトクラスに積むのは難しいだろう)」。
加えて米国ではコンパクトクラスがあまり売れず、中国では需要があるものの、ハッチバックよりもセダンのほうが人気があるといい、しかも中国市場では現地の自動車メーカーの販売するEVに比較すると価格的競争力を発揮できないのかもしれません。
ただ、コンパクトクラスは幅広い客層をそのブランドに呼び込むことが可能であり、その観点から「コンパクトクラスを存続させたいが」現実的には難しい、といったところなのでしょうね。
BMWのライバルはこう動く
そしてBMWが考えねえばならないのが他社の動向。
つまりライバルがどう動くかということで、メルセデス・ベンツやアウディがコンパクトクラスにどう対処するかによって戦略が変わり、メルセデス・ベンツは(一時期拡大した)コンパクトクラスが”やりすぎ”だったと認めて縮小の意向を示していて、アウディはA1とQ2を廃止してA3を最小のモデルとすることを発表済み。※メルセデス・ベンツはブランドの若返りを狙い、若い顧客を呼び込むことを目的に大量にコンパクトモデルを投入した
要はBMWのライバルたちは「コンパクトカーに見切りをつける」ということになりそうですが、アウディの場合は「同じグループにフォルクスワーゲンが存在するので、コンパクトEVはそちらに任す」という判断があったのかもしれません。
現時点ではBMWがコンパクトクラスをどうするのか決定はなされていないと報じられ、実際のところひとまずX1はフルモデルチェンジを迎え、1シリーズはフェイスリフト(マイナーチェンジ)を迎える予定があるといい、「ガソリンエンジンが存続する範囲では」コンパクトクラスを販売し続けるものの、エレクトリック時代になるとそこから先はわからない、ということになりそうです。
参照:Autocar