バブル期の象徴、BMW 850iのレストモッド車両が売りに出される！内外装とも美しくカスタムされ3000万円オーバーで落札され、しかし取引がなされなかったナゾの個体

｜　BMW 8シリーズ（初代）は現在再評価の機運が高まっている　｜

程度次第だが、この価格でもさほど「高価」ではないようだ

さて、レストモッドビルダー、レナー・プロジェクツ（Renner Projekts）が渾身のカスタムを施してオークションへと出品したBMW 850iが話題に。

話題となっている理由につき、その美しさはもちろんですが「車両の不透明さ」、そして「落札の不自然さ」。

まず車両の不透明さについては、出品時には走行距離「38,000マイル」と記載があるものの、ベース車両は「2000年代に80,000マイル以上走っていた」ということがオークション開催中に明らかになっています。

つまりレナー・プロジェクツは「走行距離詐称」を行ったのではという疑惑が指摘されているわけですね。

落札後、なぜか出品者は取引には応じず

そして「落札の不自然さ」については、この詐称が指摘された後、100,000ドルあたりから2名の入札者が突然登場し、お互いが高額入札を繰り返しつつ、最終的には227,000ドルという高額にて落札されたこと。

ただし結局は取引がなされていないままだとされ、「メーター詐称がバレたのち、自社で入札を行ってオークションを終了させたのでは」という疑いが持たれています。

ただ、そういった疑惑を抜きにしても、このBMW 850iが素晴らしくカスタムされているという事実には変わりはなく、ここでその内容を見てみたいと思いますが、まず搭載されるエンジンは（もともと積まれる、BMW M5由来の）4.9リッターV8ながらも、エンジンをリビルドする過程でARP製ロッドベアリングの追加、吸気側と排気側のエアフロー改善などが行われています。

トランスミッションは貴重な6速マニュアル、駆動輪は後輪のみ。

ブレーキシステムにも手が入り、フロントだとパッド、ローター、キャリパーそれぞれがE60 M5から移植され、リアはE39 M5からの流用品。

ホイールにはディープリムを持つメッシュが選択され、1990年代っぽい雰囲気を演出しています。

ボディカラーは美しいブラウン、そして・・・。

インテリアはこれまた美しい「タン」。

インテリアでは内装「フル張替え」に・・・。

デュアルエアコン装着、アルカンターラ製ヘッドライナーなど、細部に至るまで手が入り・・・。

センターコンソールには、このクルマの存在意義を示す「Projekt 8」のプレートが設置されています。

初代BMW 8シリーズはまさに「名車」だった

初代BMW 8シリーズ（E31）は1989年のフランクフルト・モーターショーで公開され、それまでのBMWとは大きく異るリトラクタブル・ヘッドライトを装備して登場したことがトピックのひとつ。

リトラクタブル・ヘッドライトのBMWというと1970年代の「M1」を思い出しますが、同じ形式のライトを採用することにより、8シリーズがM1というスーパーカーのイメージに「引っ張られる」ことになったのも当時話題となった理由のひとつかもしれません。

日本での発売時はV12エンジン搭載車（850i、1450万円）というラインアップのみで、価格は非常に高価であったこと、「ゴルフバッグが積めなかった」ことから売れ行きがさほど良くなかったと言われますが、その部分的対策として、後に排気量をダウンしたV8エンジンを積む840Ci（1050万円）が追加され、1999年まで都合9年にわたって販売されています。

日本においてはバブルの象徴のようなクルマであったと認識しているものの、今見ても色褪せない、美しいスタイリングを持つクルマの一台でもありますね。

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参照：Bring A Trailer