BMWが新たな「ディーゼル不正」疑惑にて調査対象に。環境テスト時のみ排ガスがクリーンになるチートデバイスを仕込んだという疑いがもたれる

｜　なお、ドイツ当局は10年かけてこの問題を調査し続け今回尻尾を掴んだもよう　｜

一方でBMWはこれを否定し黙秘を貫く

さて、日本ではすっかり忘れ去られた感のある欧州の自動車各メーカーが引き起こした「ディーゼル不正事件」ですが、欧州では今なお多くの問題が未解決のまま残っており、しかも「新しい問題」すら出てきているもよう。

そして今回出てきた火種が「新しくBMWがディーゼル不正事件の調査対象になった」というもので、ドイツ連邦運輸局が「BMWによるディーゼル排ガス改ざん疑惑について調査を開始した」と報じられています。

ディーゼル不正事件とは一体何なのか

そこでこのディーゼル不正事件についておさらいしておくと、本来は環境基準を満たしていないディーゼル車を販売するため、フォルクスワーゲンやアウディ、ポルシェが「テストの時だけ出力を下げて排ガスをクリーンにする」というデバイスを車両に仕込んで検査を通したというもので、まさにこれは利益を優先したがための許されざる行為。

これによって（環境意識の高い欧州にて、お金のために環境を犠牲にしたとして）フォルクスワーゲンは大きなダメージを負うことになり、そのために「ID」ブランドを立ち上げ、いち早く電動化を推し進めることで過去のイメージを拭い去ろうとしたほどです。

そして今回の報道だと、BMWにて問題となっているのは2リッターターボディーゼルエンジンを搭載した先代X3で、ドイツ連邦運輸局（KBA）によると「エアコンがオフのときに排出される窒素酸化物が少なくなる」という仕組みが導入されており、当局はこれが「テスト時にエアコンをOFFにすることで、本来の使用状況下で排出される数値とは異なるクリーンな排ガスを発生させるチートデバイス」だと捉えているようですね。

ドイツ連邦運輸局の判断次第では「BMWが厳しい局面に立たされる場合」も

ただ、テストは基本的にエアコンOFFにて行われるので、BMWは意図的に検査をパスしようと不正な装置を組み込んだわけではなく、これを「仕様」だとしてドイツ連邦運輸局と真っ向から対立しているとも報じられていますが、もし調査によってBMWが意図的に不正行為を行っており、規制を回避するために「意図的な回避装置」を用いたと判断された場合、BMWは刑事および民事訴訟に直面する可能性があるといい、さらにBMWにとって憂慮すべきことに、同じエンジンを積む1 シリーズ、X1、X2、X4、3 シリーズ、4 シリーズ、5 シリーズなどに問題が拡大する可能性も。

なお、ドイツ連邦運輸局は「BMWは明らかに排ガストリックに関して非常に巧妙であり、それが不正の尻尾を掴むのにこれほど長い時間がかかった理由である」と述べ、なんらかの不正の確証を掴んでいる可能性もありそうです。

ちなみに最初のディーゼル不正事件が発覚してからは10年が経過しますが、ドイツ連邦運輸局は10年もの時間をかけてBMWの不正を調査していたということになり、その執念たるや「あっぱれ」という感じ。

参考までに、フォルクスワーゲングループでは1,100万台もの車両が影響を受け、合計10億ドルの罰金が課せられたほか、多くの逮捕者が出ていて、そのために上層部を「一新」するなどの対応を行っています。

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